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カルチャー

「東京ゲームショウ2010 開催発表会」レポート


TGSが大胆方向転換! アジアユーザーのための世界最大のイベントをめざす



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「東京ゲームショウ2010 開催発表会」のタイトル。この催しには、
参加要項を発表し、今秋の出展企業を募るねらいがある。

 2月26日、東京・赤坂にて今秋開催される「東京ゲームショウ2010」(9月16日(木)~9月19日(日)、千葉・幕張メッセ)の概要をアナウンスする「開催発表会」が催された。参集企業を募るための情報開示が主目的だが、今回は企業法人のみならず消費者も知るべきロードマップが示された。拡散・多極化するゲームをおおまかに「ゲーム的な総合エンターテインメント」と再定義し、それらを包括して扱う世界最大のイベントへと生まれ変わろう、というのである。

「(ゲーム関連産業が)非常に広がってきているのが実態。これをどう捉えるか。かと言って、いままで皆様に愛されてきた形であるゲームをないがしろにするわけではなく、これはこれで深めないといけない。それから、新しい形の"ゲーム"も非常に柔軟にサポートしていかなくてはいけない、ということだと思う」

 冒頭、和田洋一CESA会長はこのように「ゲーム市場の見方」を語った。「自分たちはゲームを作っていると思っていないかもしれないが、じつはゲームを作っている人々にもご参集いただきたい」とも言っていることから、ゲームに対する認識が業界的に改まってきていることはあきらかだ。

 東京ゲームショウは基本的にはコンシューマゲーム、つまり家庭用コンソールソフトウェアの展示会である。しかしアジアを含む海外ではPCオンラインゲーム市場が勃興し、また国内でも携帯電話・スマートフォン用アプリケーションの需要が高まっている現在、日本で主流とされているコンシューマゲームのみをゲームと捉えることには無理がある。そこで方向性を変えていこうというのだろう。

 東京ゲームショウが20回目を迎える今年、ゲーム業界は分水嶺に立ったといえる。

「去年のいまごろはリーマンショックのただなか。ゲームの世界のようにヒーローが現れて救ってくれないものかと思ったが、そういうわけにもいかない。しかし明るい経済指標も出てきている。今年はいけるんじゃないかという、ほのかな期待がある」

 と、平田保雄日経BP社長が語るように、回復基調に後押しされたこともあるのかもしれない。それにしても不景気を脱しきれていない現状にあって、あえて世界一をめざすプランをぶち上げる強気は頼もしい。

 和田会長、平田社長の挨拶の後、中村均日経BP事業局事業部長による前回東京ゲームショウ2009の報告と、東京ゲームショウ2010の概要発表が行われた。

 東京ゲームショウ史上のピークを迎えた2008年に比べて入場者数は1万人減少したが、それでも18万5,030人を動員(歴代4位)し、出展社数も歴代3位の180社と、まずまずの成績を達成した。しかしその「身の丈」に満足せず、イノベーションをもたらすような明確な成長戦略を打ち出した点が興味深い。

 今年以降に向けた中期ビジョンは、以下の2点が示された。

・1)エンターテインメントを楽しむ消費者のライフスタイルにマッチし、今後のトレンドを生み出すエンタメ総合イベントへ

・2)ゲーム分野において現状のTGSに足りない要素を補充し、アジアのゲームファンが注目、来場するイベントへ

 また、東京ゲームショウが最終的に世界一へ到達するためのロードマップは4段階で示された。現在の国内ゲームユーザーのためのイベントという位置づけをPhase1とし、4つのフェイズを踏んでいくという。今年の東京ゲームショウ2010はアジア圏ゲームユーザーのための世界最大規模をめざす(Phase2)が、次のPhase3ではアジアのゲームユーザーを確保しつつ、既存のゲームに留まらない視点を導入し、国内エンターテインメントユーザーのための世界最大級イベントをめざす。さらに最終フェイズとなるPhase4では、アジア圏エンターテインメントユーザーのための世界最大級イベントへと成長させることになる。

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中期ビジョンのロードマップは、具体的には4つのフェイズに分かれる。

 中村事業部長に、新しい路線の狙いについて訊いた。

■ゲームはメディアを問わない形になっていく

──回復傾向にあるとはいえ不景気感が拭えないなか、あえて一番高いところに目標を置いたわけは。

「辻本春弘CESA常任理事の考えが強いのですが、東京モーターショウがひとつの反面教師になってはいるんですね。日本市場におけるイベントという考え方では、アジア圏で埋没してしまう。他国に主導権が移動してしまう可能性もあります。しかし東京ゲームショウは世界でもブランド力が強いですから、強いうちにいろいろな手を打っていこうと、新しい方向性を打ち出したということです」

──アジア他国では日本と異なりPCオンラインゲームが好まれるなど多極化していますし、たしかに埋没する可能性もありますね。

「それも過渡期だと思います。映像や出版ビジネスもそうですが、どこかで融合していく。細目は分かれるかもしれませんが、そのカテゴリーがゆるやかにまとまっていくと思うんですね。いまPCオンラインと家庭用は対立するような構図で捉えられていますけれども、ハードがPS3であれWINであれ、いずれ近いものになっていく。ハードを問う形でコンテンツがちがうということは、たぶんなくなってきて。PCオンラインゲーム、あるいは家庭用コンソールのゲームという考え方自体はいまの時期だけで、それを通り越したときには、再びひとつの塊にまとまっていくと思うんです。そのときを見据えて、いまのうちに手を打っていくことが大事なのかな、と」

──ひとつのコンテンツをいろいろな経路で楽しむことになるわけですね。

「小説もそうですよね。携帯電話で読もうが紙で読もうが、雑誌で連載を読もうが、小説を読むという行為にかわりはない。そういう形にゲームも"こなれてくる"と思うんですね。ハードを問わない、メディアを問わないという形になっていく。そのためには、いまのうちにいろいろなパートナーに、東京ゲームショウに対してのロイヤリティを高めるための施策を、どんどん打っていく必要があるのかなと思います」

 きたるPhase4が実現すれば、総合エンターテインメントを扱うイベントが「ゲームショウ」のままでいいのかという論議は当然起こる。はたして、その新しい概念がどう呼ばれることになるのか。景気の底でつい下を向きがちなこのご時勢に、制作者を勇気づける、夢のあるストーリーが描かれたようだ。
(取材・文・写真=後藤勝)


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2010.02.27 土  



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