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有名イラストレーターが伝授する”落書きの教科書”『ラクガキ・マスター』

rakugaki.jpg『ラクガキ・マスター』美術出版社

 落書きをしなくなって久しい。教科書もノートも、いたるところ落書きだらけだったが、歳をとるにつれ、余白から落書きは消えていった。人はいつから落書きをすることをやめてしまうのだろうか。大人になる過程で、自分の絵心の無さに嫌気がさし、描くことが楽しくなくなってしまうのだろう。

 しかし、草なぎ剛レベルの絵心の持ち主でも、描くコツさえ分かればあっという間に落書きの達人になれる。『ラクガキ・マスター 描くことが楽しくなる絵のキホン』(美術出版社)は、JTの広告「大人たばこ養成講座」や東京メトロのマナーポスター「家でやろう」などでおなじみのイラストレーター、寄藤文平(よりふじ・ぶんぺい)氏が、ラクガキの描き方を記した本だ。寄藤氏が、絵を描くときに何を考えているかを自分自身に取材し、まとめている。ラクガキの教科書であり、著者の絵にまつわるエッセイであるともいえる。どこか気の抜けたような味のあるイラストと、ユーモア溢れる文章が楽しい。

 「ちょっと待て。ラクガキに描き方なんて、あるのか?」

 あるんです。絵を描くのに、センスも才能もいらないが、どこを大切に描くかが重要であるという。『ラクガキ・マスター』では、ものの見方、いろんな線の描き方、表情を出すカラダの描き方、何となく”感じ”を出す方法、空想のキャラクターの作り方、全体のイメージの仕方など、大きく6項目に分け、寄藤氏がラクガキを描くときに注意する点を紹介している。読むとなんとなく絵が上手く描けるような気分になってくるから不思議だ。

 落書きは目の前の景色をそのまま写し取るものではなく、余白から大きな世界を描く小さな絵。好きなものを好きに描けばいいのだ。上手に描くことは重要ではないと寄藤氏は言うが、描き方をマスターしたら落書きもぐっと楽しくなるはず。この”落書きの教科書”を読んで、大人の落書きを楽しもう。
(文=平野遼)

寄藤文平(よりふじ・ぶんぺい)
1973年長野県生まれ。武蔵野美術大学中退。イラストレーター、アートディレクター。JT広告「大人たばこ養成講座」をはじめ、ブックデザインなどで活躍中。共著に『大人たばこ養成講座』(美術出版社)、『自身イツモノート』(木楽舎)、『ウンココロ』(実用之日本社)、著書に『死にカタログ』(大和書房)、『元素生活』(化学同人)などがある。
<http://www.bunpei.com>

ラクガキ・マスター 描くことが楽しくなる絵のキホン

落書きの奥儀!

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最終更新:2010/03/04 18:00
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