日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > オアシズ大久保佳代子さんの至言「本当はOLを辞めたくなかったんだよなぁ……」(前編)
【第22回】小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談

オアシズ大久保佳代子さんの至言「本当はOLを辞めたくなかったんだよなぁ……」(前編)

akari_okubo000.jpg

 モテない、金ない、華もない……負け組アイドル小明が、各界の大人なゲストに、ぶしつけなお悩みを聞いていただく好評連載。第22回のゲストは、大久保佳代子劇団『村娘』で主役を務めているオアシズの大久保佳代子さんです!

[今回のお悩み]
「まだ、逃げ道が欲しいんです……」

――ご無沙汰してます! 実は4~5年前にトークイベントでご一緒させていただいたんですが……私のこと、覚えてますか?

大久保佳代子(以下、大) ……あー、言われてみれば見覚えが。私、何しゃべってました?

――確か、私のかぶっていた帽子を「その帽子、後でくれない?」って真顔で言われて、「あげた方がいいのかな?」って悩んでいる間にすごい早さで帰っていかれて……あれはなんだったんでしょう?

 本当? 私、言うだけ言って無責任に帰るってことが非常に多いので……ふふふ。それで、その後はどうしてましたか?

――その当時は売れないアイドルで、そのまま順調に売れませんで、2年ほど前にかろうじて単行本を出せたぐらいです。今はアイドル界ではライターと言い、ライター界ではアイドルアピールをするという卑怯な逃げ道でなんとか生活を……。

 ああ、良かったですね、お互い変わらずで(笑)。あ、日記形式の本なんだ、こういうの好き(『アイドル墜落日記』をめくりながら)。

――大久保さんはいつも女芸人のブログをチェックして、忙しそうにしているのを見ては嫉妬して、売れてなくて暇そうな芸人を見つけるまでネットサーフィンするって、『私、地味女』(大和出版)に書かれてましたね。私の本も、売れなすぎて毎日暇してゴネてる日記なので、もしお邪魔じゃなければ……。

 やった、今日読みます。

――いやいや全然、お暇なときで!

 いや、暇なんですよ。

――またまたそんな! OLさんお辞めになったばかりじゃないですか!

 そうなんですよ。ただ、今までは、芸能界の仕事の合間にOLをやっていたから「このままじゃ体力的にもキツいし、ストレスで死んでしまう」と思っていたんですけど、いざOL辞めたら単純にその時間がポコっと空いただけなので、時間を持て余していますねぇ。

――でも、テレビを見る限りだと忙しそうですよね。

 テレビの仕事が減ったってわけじゃないんですけど、収録が夕方からだったり、それも5~6時間で終わったりするじゃないですか。だから、午前中が毎日空いちゃって油断して前日飲んじゃうっていう、悪いサイクルに……。

――アハハ! 私、大久保さんを初めて『めちゃイケ!』(フジテレビ系)で見たとき、すごく短いスカートを履いてマッサージ嬢として登場されて、普段はOLっていうギャップがすごくって。だから、今、OLの肩書きがなくなったっていうのは、けっこう衝撃的ですよ!

 うん、それこそさっき小明さんが言っていた、アイドルの中ではライターで、ライターの中ではアイドルっていう、そういう逃げ道をなくしてしまったことは、今の段階ではまだ「どうしよっかなぁ」って思ってますよ。本来なら辞めたことも公表を延ばせるだけ延ばして、「OLは休職中なんです~」って濁そうとしていたんですけど、ご丁寧に『めちゃイケ!』が、「区切りをつけて宣言したほうがいい」って言ってきたので……今まで私の人生にそんなに関心がなかったくせに……。

――……あの、今日は私の「アイドルライター」とか言ってる逃げをなくすべきか聞こうと思ってたんですが……もしかして大久保さんも「現役OL」っていう肩書は、本当は捨てたくなかったんですか?

 捨てざるを得なかったんだよなぁ……。休職でよかったんだけど、退職に追い込まれたんですよ。そんなつもりじゃなかったのに……。

――かなり長いこと勤めてたはずですよね、なんでまた?

 逆に長かったから、最初ちやほやしてくれた職場のメンバーも辞めつつあって、私のことを知っているメンバーも、私が触れてほしくないオーラをすごい出すから、「別にいてもいいんだけど、休むし、遅刻はするし、注意はできないし……」みたいな。みんな優しいから言わないけど、そういう空気は感じていたんですよね。だから私も大人だし、「辞めてあげましょうかね」と思ったけど、「どうなるか分からないから休職にしておこう」と思って、「今、もう1個の仕事が忙しくて……」って話をしたら「じゃあしょうがないですね!」って結構早い段階で休職じゃなくて退職の書類を出されちゃって……。辞めるなんて言ってないのに!

――ちょっと寂しいですね……。でも、これでよりいっそう芸能の仕事に力が入るんじゃ?

 それで急に私が俄然やる気出して、どんな仕事でも「ちょっとちょっとー!」って前に出ても、おかしな話でしょ?

――確かに、決して自分から前に出るタイプではないですよね。

 うん、うん。出れない。もう、自分から発言するのは他の人に任せて、振られたときに何か言えるようにしとこうって思うんですけど、それも難しいんですよね……。ボーッとしちゃうから。1時間くらい喋ってないと、よっぽどのこと言わないとダメでしょ?

――一つの発言で確実に狙わなきゃいけないのはプレッシャーかかりそうです……。『おねマス!』『ちょいマス!』(テレビ東京系)も、女の子たちがすごい面白いじゃないですか。

 ね! あれも最近は普通の視聴者みたいに、スタジオに行って楽しんでいるだけになりましたけど、本来は「女の子に怒ってください」とか「ひがみを言ってください」って言われてたんですよ。でも、あの子たちどんどん自分で処理しちゃうから。

――若いのに、みんな見せ方もトークも上手すぎますよね。大好きな番組です! でも、大久保さんも彼女たちと同年代だった24~25歳の頃は劇団で活動されてたんですよね。

 やってましたね。テレビの仕事がなくっても、変なポジティブシンキングで「いやいや、私はこんなところで終わるはずはない」って思って。ほら、劇団ってすぐ出来るじゃないですか? 自分でお金出して劇場借りて、人から「何やってる人なんですか?」って聞かれたら「俳優やってます~」って言えるし。アレはアレでいい経験になったなぁ。

――その経験が今の『大久保佳代子劇団』につながってるんですかね。新作の『村娘』は『めちゃイケ』新メンバーのたんぽぽのお二人も出ているし、共感できる卑屈なセリフがたくさんあって面白かったです!

 ですよね、ブスを大量発注しただけありますよ。

――ブスの中でのヒエラルキーとか、美人の振る舞いにいちいち過剰に反応する卑屈な感じとか、学生時代を思い出しました。千葉の田舎でキラキラした同級生を憎んで生活していたもので。

 光浦さんはそういう脚本を書くのが本当にうまいんですよ。心の叫びなんですよね。私も光浦さんも高校3年間男子とほぼ一言もしゃべらずに過ごしたんですよ、共学なのに。今年の正月に同窓会みたいなものがあって、まあ、高校時代のだから、かっこいいって言われていた男子たちとは喋ったこともないんだけど、会場に行ったらみんな私のことをチラチラ見るんですよ。私が芸能人だから。それで徐々に近寄ってきて、「活躍してますね~」ってお酌してくるんですよ。でも、みんなはとっくに結婚もして幸せな家庭もあるし……何もなかった。もっと何か特別なことがあるかな~と思ったんですけどね。

――そもそも火がつく焼けぼっくいもないですからね……。私もグラビアをやっていたときは、地元で偶然会った全然仲良くないヤンキーに「あいつアレじゃね? 中川翔子の友達じゃね?」「しょこたんと仲良いんでしょ? 紹介して!」とか言われるくらいでしたね。せっかく芸能界に入ったのに、「しょこたんの友達」ってことでしか話しかけられない自分に落ち込んで、傷つかないためにもそいつらを見下すようになって……でもそいつらも、もう家庭作って幸せそうにしてるんですよ! もう、見下したり羨んだりで、何もないのに頭の中が忙しいです。

 卑屈ですねぇ……。小明さん、まだまだ大丈夫そうなのに。

――姉が元カリスマ読者モデルで、ほぼ同期の友達が超売れっ子で、私のすっぴんの写真が、コレですよ。(携帯を見せる)自意識過剰にもなりますよ。

 これは……頑張ってますね! ここからここまで持ってくるのは立派ですよ! アハハ! 私の場合は光浦さんがそうだけど、分かりやすく比較できる人間が近くにいて、自分の方が下だったらツラいですよね。私も、「比較されない世界に行った方が精神的に楽だろうな」って思うけど、私の場合、もともと人を上下で見る人間だから、どこに行っても「この人は上だけど、こいつは下だ」ってランクを付け出すんですよね。それで、下の人にはやたらと余裕を持って接するっていう。だから、「この人、光浦さんと比較して私のことを下に見てる!」とか、そういう意識が出るのも、自分がそういう人間だからなんですよ。

――なるほど、残念だけど、分かる気がします。でも、それだと友達ぜんぜん出来ないですよね? 結局、自分と似たような人を周りに集めるのが一番平和なんでしょうか?

 そうですね、でも私は似たような人の中でも、「ここならトップに立てる」って思っちゃう人間なので。そうすると、「私が卑屈なのはこいつらのせいじゃないのか?」って気になってきて、もっと上にあがろうとするんですよ。それでいざ上にあがると、「違う、この人達といると卑屈になる!」って、また下にさがったりして……ちょうどいい人がいないの。私の周りには。
後編につづく/取材・構成=小明)

●おおくぼ・かよこ
1971年、愛知県生まれ。92年に幼なじみだった光浦靖子とお笑いコンビ「オアシズ」を結成。長くOLとタレント生活を両立させていたが、10年8月に退職している。主演を務める「大久保佳代子劇団」第2回公演『村娘』(コンテンツリーグ)DVDが発売中。

●あかり
1985年栃木県生まれ。02年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。
ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/
サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中

大久保佳代子劇団 「村娘」

お気づきでしょうが、当サイトは大久保さん推しです。

amazon_associate_logo.jpg

小明の「大人よ、教えて!」”逆”人生相談バックナンバー
【第21回】 Kダブシャインさんの至言「宇多丸は、Kダブをシャインさせない」
【第20回】 楳図かずおさんの至言「世界を相手にやっている人は、友達作っちゃうと危ない!」
【第19回】 キングオブコメディさんの至言「いつ辞めてもいいから、続けられるんです」
【第18回】 バカリズムさんの至言「モヤモヤは、そのまま持ち帰って立ち向かいます」
【第17回】 島田秀平さんの至言「小明さんの手相にはアブノーマル線があるんです」
【第16回】 小森純さんの至言「写真のチェックとか、自分では一切しないんです」
【第15回】 堀江貴文さんの至言「もうメジャー路線っていうものは存在しないかもしれない」
【第14回】 稲川淳二さんの至言「自分の子どもを殺そうか、と思った自分が一番怖かった」
【第13回】 蝶野正洋さんの至言「自分の役割の中で、最大限に光らなきゃならない」
【第12回】 有野晋哉さんの至言「アイドルは『育ちがええねんなー』っていうのが大事です」
【第11回】  鳥居みゆきさんの至言「やりたくないこと、やらないだろうな、ってことをやるの」
【第10回】  宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」
【第9回】  桜木ピロコさんの至言「あたしいつもだいたいいやらしいことしてるもん!」
【第8回】 伊集院光さんの至言「結局、うんこを食うしかない状況になるんです」
【第7回】 ルー大柴さんの至言「ライフっていうのはマウンテンありバレーありです」
【第6回】 大堀恵さんの至言「私、いつも『アンチ上等』って思ってるんです」
【第5回】 品川祐さんの至言「なったらいいなと思ってることは、だいたい実現する」
【第4回】 福本伸行さんの至言「俺は『面白いものを作ろう』じゃなくて、作れちゃう」
【第3回】 大根仁さんの至言「ネットの書き込みなんて、バカにしていいんじゃない?」
【第2回】 杉作J太郎さんの至言「そんなことより『ファフナー』見ろ、『ファフナー』を」
【第1回】 河原雅彦さんの至言「もう無理やりヤラれちゃえばいいんじゃない?」

最終更新:2018/12/19 15:01
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

『24時間テレビ』強行放送の日テレに反省の色ナシ

「愛は地球を救う」のキャッチフレーズで197...…
写真
イチオシ記事

バナナマン・設楽が語った「売れ方」の話

 ウエストランド・井口浩之ととろサーモン・久保田かずのぶというお笑い界きっての毒舌芸人2人によるトーク番組『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日...…
写真