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『平成幸福論ノート』著者・水無田気流氏に聞いた

男性の生涯未婚率”驚異の16%!” その裏にあるのは「年収600万円の壁」と「一夫多妻制」!?

mizuna.jpg水無田気流氏こと田中理恵子氏。

 世の独身男性にとって、将来の不安は多い。仕事、結婚、子ども、老後、孤独死……。そんな不安だらけの要因は「孤立」と「枯渇」に求められるという。この「孤立」というキーワードと共に種々の社会問題を取り上げ考察したのが社会学者であり、詩人の顔も持つ水無田気流氏こと田中理恵子氏著の『平成幸福論ノート 変容する社会と「安定志向の罠」』(光文社)である。今回、水無田氏に、当サイト読者の中にも身につまされている人も多いだろう「現代の結婚をめぐる状況」をテーマに話を聞いた。

――『平成幸福論ノート』というタイトルですが、幸福論について書こうと思った経緯を教えてください。

水無田気流氏(以下、水無田) 現在、幸福論というものが錯綜していること、またGNH(グロス・ナショナル・ハッピネス:国民総幸福量)のような形で幸福像や幸福指標の見直しが進んできている、という事態についてもっと根本的な問題から検討すべきだと思ったんですね。以前、「若者不幸社会」というテーマで『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)に出演した際、どうも「主観的な幸福感」と、世代会計や若年層に不利な雇用環境のように、「制度的な不平等」の問題が、混同して考えられているなと感じました。この混乱は本当に問題です。解決の糸口すら、つかめなくしてしまう。主観的に幸福か不幸かという問題と、制度上の不平等の問題を、今一度整理して考え直す必要がありますね。

――制度上、不平等な立場にある若者に対して書かれたということですか?

水無田 日本では、ある意味誰もが「明るく楽しい消費者」であることを強要されているところがあります。とくに若い人たちはそれ以外あまり考えないし、何か真剣に社会の問題について考える人は、むしろ「特殊で異常」なことにされてしまいますね。でもそのツケが回ってくるのが30代からです(笑)。若年男性の場合、結婚なども含めた家族関連行動を考え出すのが30歳を過ぎてからで、20代だとほとんど考えない。ところが、30歳をすぎて結婚、パートナーの出産、そして育児に直面して、初めて制度の不備などに直面することになります。もう少し前から、こうした問題を考えてもらいたいなと。もうひとつは、年齢層が上の人たち、「今の若者は草食化して、自分から女性にアプローチしないからけしからん」と言うような人たちは、この晩婚化・非婚化、それに少子化などを「若者の自己責任の問題」として捉えているところがあります。そうではなく、問題の背景に何があるのか、ということを分かっていただきたいなと。つまり不平等に気づかない若年層、問題を若年層の自己責任で済ます中高年層、どちらにも向けて書いています。

――結婚をめぐる現代の状況ということについて詳しく聞かせてください。昨今では、ほとんどが恋愛結婚です。そうすると、まず異性にモテなければ、結婚相手を見つけることができません。男性の間の”モテ格差”は拡がっているんでしょうか?

水無田 これはかなり拡がっていますね。経済的な問題が大きいですが、人口動態的な理由もあります。人口動態的な問題というのは、元々男性のほうが出生性比率は高いのですが、昔は乳幼児死亡率も高かった。ですが、医学が進歩したため男性の乳幼児死亡率が低下しました。人口性比で見ると1995年から2005年にかけて結婚適齢期の男性のほうが、3%程度女性人口を上回っています。おのずと、男性のほうがパートナー獲得のための競争率は高まります。

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