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 >   > 「日本人はもっと情報公開を求めるべきだった」スペイン人から見た福島とチェルノブイリ
『チェルノブイリ――家族の帰る場所』発売記念インタビュー

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 福島第一原発事故以降、原子力や放射性廃棄物、被ばくなどをテーマにした本や映画が多数発表されている。いったいなぜこんな大事故が起こってしまったのか、そして私たちはこれからどう原子力や放射性物質と向き合っていくべきなのか――。答えが見えない闇の中、ひとつの手掛かりとして再注目されているのが、1986年4月26日に旧ソビエト連邦(現・ウクライナ)で起こったチェルノブイリ原発事故だ。“史上最悪の原発事故”とされるこの事故では、大気中に50トンもの放射性物質が放出、600近い村や町が避難対象となり、30万人もの人が愛する土地を離れることを余儀なくされたといわれている。原発から3キロのところにあり、4万7,000人もの人口を有した中都市・プリピャチは事故直後に放棄され、事故から26年たったいまでは完全にゴーストタウンと化している。事故による汚染が2万5,000年と続くともいわれるが、いまなお300人ほどが避難区域内に住み続けているとされる。

 そんなチェルノブイリに生きた人々の心情を軸に、この事故を描いたグラフィックノベル(漫画)『チェルノブイリ――家族の帰る場所』が昨年スペインで発売された。奇しくも出版のタイミングが福島第一原発事故と重なり話題を集めた本作が、この度日本でも出版されることになった。ここに描かれたストーリーを通して、いま福島で起こっていること、土地を失うということ、土地に留まり続けることの意味が痛切にわかり始めるだろう。スペイン人である彼らは、どうしてこの題材を描こうと思ったのか。そして、福島の事故をどのように見ているのか。来日中の原作者フランシスコ・サンチェスと作画を担当したナターシャ・ブストスに話を聞いた。

――2006年にスペイン・バルセロナで開催されたチェルノブイリ原発事故20周年を記念する展示会がきっかけでこのテーマを扱うことに決めたそうですが、事故当時、チェルノブイリ事故はスペインではどのように受け止められていましたか?

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フランシスコ・サンチェス

フランシスコ チェルノブイリ原発事故では周辺の20カ国にも影響があり、その範囲は16万平方キロにおよんだといわれていますが、スペインではほんの一部のエリアが影響を受けただけで、直接的な被害はあまりありませんでした。そういったこともあり、個人レベルでも、国全体としてもそれほど強い関心を集めなかったように思います。昨年はチェルノブイリ原発事故25周年ということに加え、福島第一原発の事故があり、原発や原子力に対する国民的関心は以前よりも高まってはきているのですが、残念ながらいまも昔もやはり、“遠い国のこと”として見ている感じですね。

――本書では、原発事故によって村からの避難を余議なくされた祖父母、事故によって命を落とした父、そして幼いころに母とともにプリピャチの町を追われた兄妹、3世代にわたる家族の物語が描かれています。事実よりも主人公たちの疎外された戸惑いや不安といった感情に焦点を当てたそうですが、一番描写に苦労したのはどんなところですか?

フランシスコ 当事者であるなしにかかわらず、人に焦点を当てれば、その気持ちというのは推し図れると思います。同じ体験をしなければその人がどういうことを感じたのかわからないという部分ももちろんありますが、だからこそさまざまな資料を集め、被害者・犠牲者の気持ちに近づこうと努力しました。悲惨な状況に陥ったときの人間の感情というのは、人種や文化を超えて共通するものがある。だからこそ、その感情を表現したいと思ったんです。

――スペインでは昨年4月に刊行されましたが、国内での反応はいかがでしたか?

フランシスコ 出版の1カ月前に起こった福島の原発事故と偶然にもタイミングが重なったということもあり、マスコミからは多く取り上げられましたが、それがすぐ売り上げに直結するという感じではありませんでした。こういった出来事というのは、スペイン人全体からすると自分の生活からかけ離れたものとして認識されているところがあるんです。

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ナターシャ・ブストス

ナターシャ この本(スペイン版)が印刷に入ったときにちょうど福島の事故が起こりました。チェルノブイリ事故から25年というタイミングに合わせて出版するつもりだったのですが、急にマスコミから脚光を浴びることになってしまい、正直、複雑な心境でした。

――福島第一原発事故は、スペインではどのように報道されていますか?

ナターシャ 最初の爆発から1カ月くらいは毎日、新聞の一面で伝えられ、テレビでもトップニュースとして扱われていました。でも、なんとかコントロールできる状態になってきたというニュースをきっかけに、だんだんと取り扱われ方が小さくなっていきました。先日は事故から1年ということで再びクローズアップされましたが、その後は“終わってしまったこと”として、忘れ去られつつある印象を受けます。

フランシスコ 事故直後は原発が制御されているかどうかがスペインの人々の関心事だったようで、これ以上大きな被害にならないだろうと思われた時点で、パタっと関心が失われたような気がしますね。事故発生当初、私たちはこの本を出版する準備をしているときだったので、これはチェルノブイリのようなことが繰り返されるのではないかと危惧していました。当時はメルトダウンとまではいかなくても、冷却水が漏れ出るといったような事故が起こるのではと思っていました。

――チェルノブイリでは当時、社会主義国で起こった事故だったということもあって、なかなか情報が公表されず、被害が拡大しました。今回の福島の事故でも、先進国であり民主主義国家であるにもかかわらず、なかなか正確な情報が公表されず、逆に海外のメディアの情報を頼りにする人も少なくありませんでした。スペイン、あるいはヨーロッパから見て、このような日本の状況をどう思われますか?

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『チェルノブイリ――家族の帰る場所』本文より

フランシスコ 日本人のみなさんは、もっともっと情報を要求するべきだったと思います。情報を追究して、隠されているかもしれない事実を見つけ出し、それを公にしていく。それはメディアの使命でもあります。その情報がどんな悲惨なものであっても、すべてに透明性を持たせるように要求すべきです。それがたとえ、実は避難区域が原発から20キロや30キロでは済まなかった、あるいは、もっとひどい被害や影響が出ているというような、私たちにとって辛い現実であっても、真摯な報道、情報公開を求めるべきです。

――スペインでも現在8基の原発が稼働していますが、たとえば国内で同じような事故が起きた場合、スペインの人々も積極的に情報公開を求めていくのでしょうか? またメディア側には、人々の要求に応えるだけの土壌がありますか?

ナターシャ スペインにもそういうことをすべきという考え方の人は多いとは思いますが、実際に事故が起こったときにはたぶん、スペインでも情報が隠されたり、あえて公表しないといったことが起こると思います。そういったときの国民のリアクションというのは、日本のみなさんと同じでしょう。原発問題に限らず、ある特定のテーマに対してセンシティブに反応する人がいて、心配する人がいる。何か行動を起こさなくてはならないと人々に呼び掛ける人もいると思います。けれども、大多数の人は、なるだけ自分からはアクションを起こしたくない。日々の生活が無難に過ごせればそれでいいという人が大半でしょうし、そういった場合、自分から進んで「この情報をくれ」と言う人は日本と同じくらいいないのではないかと思います。

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――今回、来日することを躊躇しませんでしたか?

ナターシャ まったくしませんでした。この本を作ったことで原発や放射能に対する基本的な知識はありましたし、日本全体を恐れる、ということはありませんでした。

フランシスコ 放射能についていえば、自然放射線をはじめとして地球上のどこにいても影響を受けるわけで、ここにいるから安全だというのは、この地球規模では言えません。そういう意味で、絶対安全という場所はないんです。このことを、みなさんの心に刻んでほしいと思っています。今回の滞在ではスケジュール的に福島に行くことができなかったのがとても残念です。将来、自分たちの目で見て肌で感じて、グラフィックノベルというかたちかどうかはわかりませんが、福島をテーマにした作品をつくりたいと思っています。

――最後に日本の読者へのメッセージをお願いします。

ナターシャ この本はチェルノブイリの「事故」についての物語ではなく、チェルノブイリに住んでいる「人」、住んでいた「人」のヒューマンストーリーです。この事故が人々にどんな影響を与えたのかを自分なりに考え、結論を出すひとつの扉になってくれればうれしいです。

フランシスコ わたしたちの本が福島第一原発事故とその後の事態を憂いている日本人のみなさんに役立つことを望んでいます。チェルノブイリと福島の事故が関連しているというのは避けようがない事実ですし、この本で語られている人間の営みは双方の事故を経験した人々に共通しているものがあると思います。「人間の経験」として、ここから日本のみなさんが何かを読みとってくださればうれしく思います。
(取材・文=編集部/撮影=後藤匡人)


チェルノブイリ――家族の帰る場所


1,155円(税込)/朝日出版社刊/絶賛発売中


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