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シアターNクロージング記念『トールマン』監督インタビュー

フランス映画界の鬼っ子パスカル・ロジェ監督が描く、本当の“悪魔”『トールマン』の正体とは……!?

tallman1.jpgシアターN渋谷のクロージング作品となる『トールマン』。
近藤支配人いわく「ハリウッドからの誘いを振り払ったロジェ監督が
インディペンデント精神で撮り上げた作品。
怖い話ですが、ホラーではないのでご安心を」。

 ずっと大切に育んできたものを、ふいに奪い去られるという怒り、憎しみ、悲しみ、そして痛み……。7年間の歴史に幕を下ろすシアターN渋谷のクロージング作品として11月3日(土)より公開される『トールマン』は、大事な我が子を連れ去られた肉親が感じる恐怖を描いた新感覚スリラーだ。慎ましく暮らしていたのに何故? 街の人たちが噂する“トールマン”の仕業なの? 米国では年間約1000人もの子どもたちが忽然と姿を消すという。この“神隠し”現象は、クリント・イーストウッド監督が『チェンジリング』(08)でノンフィクションタッチに、ギレルモ・デル・トロ製作による『永遠のこどもたち』(07)ではダークファンタジーとして描かれた。だが、それら佳作とはまた異なるテイストを持つ『トールマン』を撮り上げたのは、フランス映画界で今もっとも尖った作品を撮っているパスカル・ロジェ監督。前作『マーターズ』(08)は過激さを極めた暴力描写から世界各国で物議を醸したが、新作『トールマン』はジェニシカ・ビールらハリウッドの人気俳優たちを迎え、一瞬も目を離すことのできないサスペンスフルなドラマに仕上げている。来日したロジェ監督が、『マーターズ』と『トールマン』、そしてハリウッドとフランスにおける映画事情について語った。

──ロジェ監督の前作『マーターズ』は、シアターNで公開されて“史上最凶のフレンチホラー”として話題になりました。少女拉致監禁事件の顛末を描いた『マーターズ』は、表現活動に寛容なフランスでも大論争を巻き起こしましたね。

ロジェ そうなんだよ、フランスでは不理解からさまざまな誤解を受けたんだ。特にカトリック系の団体がものすごい難色を示して、18歳以下は鑑賞できないようにしようと上映反対運動が起きたほど。表現の自由が認められているフランスでR18指定されるのは、ポルノ映画だけなんだ。R18だと一般の映画館で公開できないし、DVD化されてもレンタル店ではアダルトコーナーでしか扱ってくれなくなってしまう。R18に指定されるということは、年齢制限というより、作品の存在そのものを殺してしまうことと同義なんだ。R18指定になったことを知ってボクらは文化庁へ通い、文化庁の映画担当者や文化大臣に直接会って話をすることで、ようやくレイティングの再審査にこぎ着けたんだ。再審査でも際どい票数差で、なんとかR16指定になったんだよ。

──すでに確定していたレイティングを覆えらせるとは、すごい熱意&行動力! 我が子を守る母親の心情じゃないですか。

ロジェ ほんと、そうだよ。『マーターズ』は撮影だけでも6カ月かかったからね。今回の『トールマン』は親子愛をテーマにしているけど、自分が苦労して撮り上げた映画が無事に上映されるまでは、肉親が我が子を見守るのと同じような心境だね。

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