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一人勝ちココイチの秘密…ルーはハウス、値下げなし、独特FC

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一人勝ちココイチの秘密…ルーはハウス、値下げなし、独特FC – Business Journal(12月29日)

「カレーハウスCoCo壱番屋 HP」より

 今に始まったことではないが、牛丼チェーンは価格の上げ下げなど価格政策のダッチロール現象を繰り返している。吉野家が火をつけた「250円戦争」は、高単価メニューへの誘い水になるのか、それとも250円メニューに売り上げが集中して、客単価を下げてしまうのか。

 こうした懸念をよそに、カレーチェーンでは「カレーハウスCoco壱番屋」(ココイチ)が、ライバル不在の一人勝ち状態を続けている。

 ココイチの店舗数は11月末で1204店(国内)に達するが、他のチェーンを見ると、2番手の「ゴーゴーカレー」と「福島上等カレー」がそれぞれ約50店を展開している程度にすぎない。差が開きすぎて、比較のしようがないのが現状だ。

 ココイチは業績も堅調だ。ココイチを運営する壱番屋の発表によると、11月の既存店売上高は前年比1.0%増。客数は、前年に比べ土曜日が1日少なかったことなどから前年比1.1%減となったが、客単価は2.1%増となった。「当月から販売を開始したチキンスープカレー(880円)が好調であったことに加え、トッピングの出数が引き続き堅調であった」(同社IR)という。

 壱番屋の業績は、2012年5月期、売上高が前期比2.9%増の397億9600万円、営業利益は食材仕入価格の上昇を受けて、2.5%減の42億2000万円となったが、純利益は特別損失の減少などで7.5%増の22億3400万円と過去最高を記録した。13年度の売上高は、2.3%増の407億円を見込んでいる。

●ルーはハウス食品から調達

 ココイチの強さを支えているのは、まずはハウス食品との関係である。カレーチェーン経営のポイントのひとつは、ルーの安定調達力だが、ココイチはルー製造で国内最大手のハウス食品から調達している。ハウス食品は壱番屋の株式を約19%所有、持株比率で第2位の大株主で、壱番屋を持分法適用関連会社としている。

 ココイチは海外8カ国にも計95店を出店しているが、海外現地法人はハウス食品との合弁が多く、「上海ハウスカレーココ壱番屋レストラン有限会社」「台湾カレーハウスレストラン株式会社」「韓国カレーハウス株式会社」はハウス食品の連結子会社、さらに「イチバンヤ USA Inc.」「壱番屋香港有限会社」は持分法適用関連会社である。

●値下げはしない

 ココイチの強さの秘訣として次に挙げられるのは、商品政策だ。ココイチの料金は決して安くない。都内のある店舗で従業員に確認したところ「客単価は800~850円」。最も安いのは「ポークカレー」で430円。だが、この従業員によると「ほとんどの客はトッピングを注文する」といい、これが客単価を押し上げているのだ。11月もトッピングの出数が好調であったことは、先に触れた通りだ。

 ココイチのトッピングは40種類近く品揃えされ、客は、あれもこれもと選んでいき、さらに辛さとご飯の量を選べる。チェーン店でありながら“マイカレー”を食べられるのだ。この楽しさがおのずと料金を上げていくのだが、トッピングがヒットしている理由は、それだけではない。

 客にトッピングの注文を促している理由はソースの味にあると、外食関係者は指摘する。

「ココイチのカレーソースにはこれといった特徴がなく、平凡な味だ。だからトッピングとケンカせず、複数のトッピングを付けても、味全体が重すぎない。あえて平凡な味にして、トッピングを生かせるソースを開発したのではないだろうか」

 決して値下げをしないのもココイチの特徴だ。新店オープン時には、記念のオリジナルスプーンを来店客に進呈しているが、割り引きはしない。デフレ下で値下げしなくとも業績が堅調なのは、それだけ消費者に支持され続けているからだが、値下げに伴う負の側面を回避できている。

 マクドナルドや牛丼チェーンを見れば明らかだが、値下げは禁断の実を食べるような措置だ。劇薬効果はあるものの、値下げ価格がスタンダードになってしまうと値上げが難しくなり、セットメニューを増やして客単価を上げるという苦肉の策に出ざるを得ない。さらに原価コントロールも難しくなる。

●独特のFC方式で店舗増大

 では、いかにして1204店という店舗数に増えていったのだろうか?

 店舗数増加を支えているのは、「ブルームシステム」と呼ばれる社員へののれん分け制度である。ココイチの店舗はフランチャイズ(FC)方式で運営されているが、FCオーナーを一般から募集していない。すべて社員からの独立である。

 FCオーナーを目指す人が、「独立候補社員」として入社。リクナビに掲載されている求人広告によると、独立まで2~5年勤務して、この間に繁華街、駅前、ロードサイドなどさまざまな立地の店舗を約10店経験する。一般からオーナーを募集するFCチェーンでは、どこでも3週間程度の事前研修を経て店舗をオープンするが、ココイチでは事前研修に2~5年をかけている計算だ。

 しかも開業資金の融資を受ける際には、本社が債務保証をしてくれる。だから、どんどん独立できるのである。リクナビ掲載内容によると、すでに445人が独立し、彼らの平均年収は1000万円だという。

 壱番屋本社は愛知県一宮市にあるが、名古屋市内の飲食業者は、ココイチのFC方式を次のように見ている。

「他の飲食FCチェーンに比べて、ココイチのFCオーナーは社員として数年間を過ごしているだけに、本部との一体感が強い。ココイチからは、他の飲食FCチェーンのような、本部とFCとの不協和音が漏れ伝わってこない」

 そして、こうした強みを有するココイチを育て上げたのが、創業者の宗次徳二氏と妻の直美氏の二人三脚によるリーダーシップである。業界内では、「他のカレーチェーンが成長しないのは、宗次夫妻がいないからだ」という声も聞かれる。

 消費者の立場からは、複数のカレーチェーンが拮抗したほうが、商品、サービス、価格でありがたみが出る。しかし、こうして見ると「ココイチを追随せよ」と他のカレーチェーンに求めても、一朝一夕には難しそうだ。カレー好きにはアンチ・ココイチも多いだろうが、対抗できるチェーンは当分現れそうになさそうだ。
(文=編集部)

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最終更新:2012/12/30 07:00
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