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「日本に行っても稼げない……」多発する中国人研修生犯罪に見る、外国人研修制度の闇

jitco0318.jpgJITCO – 公益財団法人 国際研修協力機構

 広島県江田島市のカキ養殖場で、中国人研修生が従業員らを襲い、8人を死傷させた事件では、人材のグローバル化が進む日本社会を震撼させた。

 中国人研修生が起こした凶悪事件は過去にも例がある。

 2006年8月には、千葉県木更津市の養豚場で、当時26歳の中国人研修生の男が3人の男女を死傷させている。また、2009年7月には、北海道音更町の牧場内の建物で、当時20代の中国人研修生2人が刃物を持ってガソリンをまき、1時間にわたって立てこもる事件が起きている。

 これらの事件を起こした中国人研修生に共通するのは、研修現場で不満を抱えていたということだ。事件に至らずとも、研修生と受け入れ側にはトラブルが絶えない。

 法務省によると、外国人研修生の総数は2011年末時点で約14万2000人。そのうち3分の2以上に当たる約10万7000人を中国人が占めている。しかし、外国人研修生の中でも中国人による事件が目立つのは、母数の大きさだけが要因ではなさそうだ。

 中国事情に詳しいフリーライターの高田信人氏は、中国人研修生の募集に関する問題点を指摘する。

「外国人研修生として日本に派遣されるには、まず、現地政府に認定された『送り出し機関』に登録する必要があります。外国人研修制度の推進団体である「国際研修協力機構」(JITCO)によると、研修生を募集し日本へ派遣する認定送り出し機関は、中国国内には289。実はこの送り出し機関というのがクセ者で、研修生から保証金や手数料名目で不当に金銭を巻き上げて利益を上げているところも少なくない。また、認定送り出し機関には、人材会社に委託して研修希望者を募っているところも多い。孫請けひ孫受けと複数の中間業者が介在することで、研修生の手数料も高額化しています。それでも送り出し側による『日本に行けば稼げる』という甘言に釣られ、100万円以上の手数料を借金して支払ったという研修生もいる。しかし、いざ来日してみると、あくまで『研修』扱いの彼らの給与は、聞いていたほど良くはない。そうなると、自暴自棄になり、凶行に走ってしまう者もいるのでは。ちなみに過去に、日本で問題を起こした研修生を派遣した送り出し機関が、認定取り消しなどのペナルティを受けたという話は中国では聞いたことがありません」

 途上国への国際貢献を目的として創設された外国人研修制度だが、今後、そのあり方は再考を迫られそうだ。
(文=牧野源)

最終更新:2013/03/19 16:00
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