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児童ポルノ禁止法改正案をも吹き飛ばす?! 美少女ゲーム新人声優イベント開催!

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。

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児童ポルノ禁止法改正案をも吹き飛ばす?! 美少女ゲーム新人声優イベント開催! – Business Journal(6月17日)

ステージで熱唱する田中理々(前列、赤い服)
(撮影/黒清)

 5月29日、アニメやマンガ、ゲームなどを取り扱う業界に激震が走った。自民、公明、日本維新の3党が児童ポルノ禁止法改正案を衆院に共同提出したのだ。改正案には「単純所持」の禁止、「自己の性的好奇心を満たす目的」での所持に1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科す規定が、新たに設けられている。この件について、日本漫画家協会やコミックマーケット準備会、出版労連などが疑問や反対の声をあげている。

 そもそも児童ポルノ禁止法とはなんなのか? 一言で表すと「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」である。法律の本来の目的である、実在の児童を性的被害から守る、という主旨については異論の余地はないものの、児童ポルノ禁止法がフィクションの世界にまで言及されるとなると、その是非の判断には慎重を期さねばなるまい。なぜかというと、児童の人権を守るために存在する法案が、日本が誇るコンテンツ産業を全面否定する存在にもなってしまうからだ。日本漫画家協会は今回の一件を、焚書のような事態、と表現した。

 このような渦中、くしくも5月29日の同日にパセラリゾーツ銀座店では美少女ゲーム人気声優であるまきいづみ氏(minoriがリリースした『ef』シリーズの新藤千尋役、Keyがリリースした『リトルバスターズ!エクスタシー』の神北小毬役など)が主催する、美少女ゲームを中心に活動する声優たちを集めたイベント「お姉さま達といっしょ♪」が開催された。

 このイベントは、トークを中心としたライヴイベントだ。新人の声優たちを「妹」、先輩声優を「姉」と称し、妹が姉に支えられながらパフォーマンスするという新人の応援、お披露目イベントであった。会場はファンで超満員にふくれ上がり、入場までに長蛇の列ができた。また、今回のイベントはまきいづみ氏の個人企画にもかかわらず、数多くのメーカー関係者も駆けつけ、美少女ゲーム業界がまさに一丸となって盛り上げていた。

 出演した声優たちは観客や関係者を巻き込んだトークを繰り広げ、会場は常に笑いで包まれた。特に観客からの要望に応えて即興でキャラとセリフを作り上げて披露するコーナーでは、姉、妹関係なく、プロの声優としての技量、対応力を存分に発揮し、会場を大いに沸かせていた。約2時間のイベントの最後は、児童ポルノ禁止法改正案がこれからもたらすかもしれない一抹の不安を吹き飛ばすような、ファンと業界関係者からの温かい拍手で無事に幕を閉じることができた。

 イベント終了後、まきいづみ氏に今回のイベントについてと、表に立つことが比較的少ない美少女ゲーム声優について、話を聞かせてもらった。

イベントは主に先輩である姉たちの司会で進んだが、
あくまでもメインは新人声優たちのパフォーマンスだった。

—美少女ゲームの新人声優をメインに据えたイベントを開こうと思ったきっかけは、なんですか?

まき 数年前まで、美少女ゲームの声優というのはもっと遠い存在だったんです。顔出しを控えたり、美少女ゲームに出演していることを隠したりする人が多かったんです。それがだんだんと、ユーザーの皆様がゲームを気に入ってくれて、キャラクターを愛してくれるようになり、声にも興味を持ってくれて、その声優自身までも応援してくれる人たちが増えるにつれて、自分が美少女ゲーム声優であることをオープンにする声優が増えてきました。それに伴い、ニコ生、ライヴイベント、ゲームやキャラではなく声優自身の歌や企画CDの仕事なんかも増えました。ユーザーの皆様の応援と願いが集まり、美少女ゲームの声優が身近な存在になれたんです。

 ですが、あまり声優同士が交流する場がなくて(※編注:美少女ゲームの声の収録はアニメと違い、個別で行われるのが一般的)、実際に会う機会は少なかったんです。そこで私が諸先輩から学んだことを、かわいい後輩たちに伝えるために考えた結果、美少女声優たちのイベントを開催することにしたんです。そうすれば、実際に会って私の培った経験を伝えられますし、美少女ゲームユーザーやお仕事関係者へのアピールの場としても活用できますから。

—確かに新人のお披露目をすることで、新作での起用を検討してもらえるなど、業界の活性化につながるかもしれませんね。イベントを終えて、率直な感想はいかがですか?

まき 開催日は週のど真ん中である水曜日、しかも昼と夜の2部制で、かつ通常イベントよりやや早いスタートでした。また新人の応援が中心のイベントということもあり、不安もあったのですが、昼夜合わせて400人以上の方にお越しいただけて満員御礼となりました。イベント進行が拙いことも、妹たち(※編注:出演した新人声優)が右往左往することも多々あったかと思います。それにもかかわらず、大声で声援や拍手をいただいたり、進行の助け舟となる言葉を何度もいただくことで無事イベントを成功に導くことができました。ユーザーの皆様が、キャラクターを超えて私たち声優にまで会いに来てくださったことに深く強く温かい愛を感じ、本当に感謝しています。

早瀬ゃょぃ

早瀬ゃょぃは新人の中でも一歩前に出て存在をアピールし、イベントを盛り上げていた。彼女は元グラビアアイドルという異色の経歴を持つ。

—新人声優の皆さんにも話を聞かせてもらったのですが、性描写を演じることについて全員が「何も抵抗がない」とおっしゃっていました。声優養成所によっては、希望者には性描写の演技がカリキュラムとしてあるそうで、これには少々驚きました。

まき いまは声優自身が美少女ゲームの大ファンで、この業界に入ってくるというケースが、ずいぶんと増えてきているんですよ。

—新人の皆さんも好きな世界とはいえ性描写の練習はさすがに自宅ではできないようで、カラオケボックスやお風呂場でこっそり行ったりするそうですね(笑)。まきさんご自身は、美少女ゲーム声優として何か苦労されたことはありますか? 

まき 美少女ゲーム声優としての苦労は、多少喉に負担がかかるくらいで、特にありません。ただ、これは私ではないですが、精神的な面で苦労される方はいらっしゃいました。あからさまに下に見られたり、あれこれネットなどで書かれたりし、すごく悲しい思いをされていました。長く引きずっているのを見て、私も本当につらかったです。

夏野虹花

しっとりと歌い上げる夏野虹花。
最近の声優は歌手も兼任する。

—逆に、この職業を続けたからこそ得られた経験などはありますか?

まき 人とのつながりが急激に増えたことです! 美少女ゲーム声優をやって、このつながりができていなかったら、今日のイベントも開催できなかったわけですもの!(即答) それと、キャラクターから色々なことを教わることができる点でしょうか。『ef』の新藤千尋からは、ここでは話しきれないほどたくさんのことを教わりました。『リトルバスターズ!エクスタシー』の神北小毬からは、人のつながり、言葉にすること、実践の力などを教わったんです。美少女ゲーム声優でなければ、出会えなかったキャラクターたちですよね。

—美少女ゲームの声優を職業として続ける上で、大切なことはありますか?

水霧けいと

ステージの広さを駆使し、観客への煽りも含め、堂々としたパフォーマンスを見せる水霧けいと。

まき 自分を磨き続けること、自分を客観的に見ること、人のつながりを大切にすること、感謝の心を持つことが大切です。美少女ゲームの声優だからといって、大切にしなければいけないことは、何も特殊なことではないんですよ。

—くしくもイベントと同日の今日、児童ポルノ禁止法改定案が自民、公明、日本維新から提出されました。このところマンガやアニメ、ゲームでの表現規制が強く叫ばれていますが、美少女ゲーム声優としてどう思われますか?

まき 何が良くて、何がダメかは、時代により変化してしまうものです。法案ではポルノ表現ばかりがクローズアップされてしまった感がありますが、それも時代の変化なんでしょうね。見えない影響力で業界が揺れてしまうこともあるのかもしれない、と、考えることはあります。

—このままだと美少女ゲーム業界自体が、かなりきわどい立ち位置に追いやられてしまう可能性もありますね。

まき でも作品の中には、その物語性で人生に大切で貴重な影響を与えるものがたくさんあるんです。キャラの行動や考えに救われることも多いです。私自身もたくさん教わったし、ユーザーの皆様からいただいた感想で、胸を打たれることが何度もありました。美少女ゲーム業界の方々は、自分の好きな作品を、多くのユーザーが愛してくれる作品を、これからも作り続けてくれると信じています。私はこれからもずっと美少女ゲーム声優として、ステキな物語を紡ぐお手伝いをしていきますよ。

—本日出演した声優の皆さんが新たに感動を与える立場になって活躍していけば、もっと業界が盛り上がり、改定案に反対する声はさらに大きくなっていくでしょうね。本日は、ありがとうございました。
(文=Leoneko)

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最終更新:2018/12/12 14:14
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