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どのように日本のポップカルチャーは中国に影響を与えたのか? 『ギャグマンガ日和』の「給力」が記憶に新しい「動漫」文化の変遷

 広島市のJMSアステールプラザにて隔年で開催されている広島国際アニメーションフェスティバルでは毎回、1つの国をフィーチャーしたアニメーション特集が組まれている。第16回の今回は日本特集として27プログラムが組まれ、『火垂るの墓』『AKIRA』などが上映された。

hiro16china1.jpg写真:JMSアステールプラザ

 広島では各賞を競うコンペティションが短編作品のみであることから、特集上映でも歴史的な価値が高い日本の短編や、過去に上映された日本の短編が多く取り上げられた。また通常、広島で上映される作品は日本国内よりも海外の作品が多いことから、いわゆる「アニメ(Anime)」よりも「アニメーション(Animation)」が多くなるのも特徴だ。

 そうした状況もあり、最終日22日に実施された「日本のポップカルチャーと中国」は、講演で取り扱われる題材としては非常に珍しい講演となった。なお本稿における「アニメ」と「アニメーション」の使い分けは、講演者の発言に準拠している。

 登壇したのは北京大学外国語学院准教授・古市雅子。「日本のアニメーションや世界のアニメーションの積み重ねがあった上で、現在また別のところで日本の消費文化としてのアニメーションが影響を与えていること、日本の商業アニメが中国でどのようにして受け入れられていったかをテーマに、視点を変えてお話させていただききたく思います」といったところから講演はスタート。

 古市は「中国のマンガやアニメがどういう状況であったのか、というところからご紹介したいと思います」と、戦前の上海でアニメーション・マンガが活況を呈していたことを説明。「マンガは戦前の上海のものが有名で、輝かしい作品群が残っています。戦前の上海というと“東洋の真珠”と呼ばれ、日本よりも都市文化が発達していた場所ですので、マンガの専門雑誌が出版されてまして、風刺マンガが発展してたんですね」「これはアジア初の長編アニメーションです」と、1941年に制作されたアニメ『鉄扇公主』を紹介した。

hiro16china2.jpg写真:古市雅子

「(戦前に、画期的な)こういった作品が育てられた国なんですけども、中国語に動画と漫画を合わせた『動漫』って言葉があります。ただこれは色んな定義がありまして、もともとは『ACG(アニメ・コミック・ゲーム)』と、ゲームも含めたサブカルチャー的なものの総称として使われています。逆に日本ではそういった言葉がないのでオタク文化と言うか、マンガ・アニメ・ゲームって羅列しないといけないですね」(古市)

「動漫」「ACG」といった単語が誕生したのには「文化大革命が終わってから、1980年に外国産アニメーション第1号として、白黒の『鉄腕アトム』が輸入され、中国中央電視台(CCTV)で放送されます。これは高倉健や山口百恵が主演の映画やドラマが輸入されたのとほぼ同時期です。その後『一休さん』『花の子ルンルン』『ジャングル大帝』とかが(中国に)入ってきます」といった経緯があるのだとか。

「ただこの当時は経済がこれから伸びていく時期だったので、テレビがまだ普及してなかったんですね。各家庭にテレビがあるわけではなく、職場の食堂だったりとか、持ってる人のところへ行ってみんなで観る時代だったので、こうした面白いアニメーションがあるらしいと聞いた人たちが、どういう風に受容していったかというと、『連環画』というマンガと絵本の間のような、手のひらサイズの本があるんです」(古市)

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