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ネットにはびこる“闇サイト”は法的に規制できるのか?(後編)

「たとえば名古屋の殺人事件のきっかけとなった『闇の職業安定所』は、職業紹介の営利事業というわけではありませんが、広告料を取ることで成立する無料職業紹介の新しいビジネスモデルになっている一面もあります。職安法を改正してこれを対象に入れることによって、表現の自由に関与することなく、闇サイトを規制できるはずです。しかし、実際には、今のところ改正の動きはありません。職安法は厚生労働省の所管なのですが、もし古物営業法や出会い系サイト規制法と同じく警察庁の所管だったならば、もうとっくに手をつけていると思いますが……」

 インターネットというメディアは確かに新たな世界を生み出したが、その普及があまりに急激であったために、現行の法令の枠を超えた多くの負の側面も同時に生み出した。現実に闇サイトなどを通じて多くの凄惨な事件が起きている現在、インターネットの「自由」についても考え直す時が来ている。

「必ずしも全面的に賛成というわけではないのですが、私は『インターネットの免許制』についても議論をしていく必要があると思います。もちろん表現の自由は守られなければならないものですが、ある程度の規制は必要だと考えているし、匿名が担保された上での表現の自由というのは、責任や覚悟がないと思う。私が大切だと考えているのは、責任や覚悟を持った上での闘う表現の自由。もちろん匿名での表現の自由も守られなければならないが、より覚悟のあるほうを優先すべきだと考えています」(前出・紀藤氏)

 前出の河﨑氏も「言うまでもなく自由は大切なものですが、義務があってこその自由。弊害ばかりが大きくなれば、他人に悪影響を与える自由は考え直す必要があります」という。

 表現の自由を確保しながらも、闇サイトに代表されるネット社会にはびこる犯罪を少しでも減らすためにはどうしたらいいのか? これは、専門家だけの問題ではなく、ネットユーザーである我々も、真剣に考えていかなくてはならない、大きな問題なのかもしれない。
(橋富政彦・文/「サイゾー」4月号より)

20080321_yami3.jpg(C)2008 Sony Pictures Digital Inc.
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[関連映画紹介] 『ブラックサイト』

 恐怖のウェブサイトの名は『Kill with me』──。そこでは誘拐され、拘束された男が薬物を注入されている様子を公開し、モニターに映し出されたアクセス数のカウントが増えるごとに、薬物が投与され、死に至るまでを中継するという残虐な犯行が行われていた。犯人を追うFBIのサイバー捜査官ジェニファー(ダイアン・レイン)が捜査を開始するものの、第二の犯行が実行されてしまい、サイトの恐ろしい噂が広まったことで、興味本位による世界中からのアクセスはさらに増加していく。被害者の命を握るのは全世界のネットユーザー、はたして彼らに罪の意識はあるのだろうか? そして、犯人の狙いとは──?

 インターネット時代の『羊たちの沈黙』と賞される本作品のメガホンを取るのは、『真実の行方』『悪魔を憐れむ歌』『ジャスティス』などを手がけた社会派監督、グレゴリー・ホブリット。アクセス数の増加に応じて、犠牲者の死期が早まるというスリリングな展開と、主人公を演じるダイアン・レインのタフな演技に要注目!(監督/グレゴリー・ホブリット 出演/ダイアン・レイン、ビリー・バーク、コリン・ハンクスほか 配給/ソニー・ピクチャーズ 4月12日(土)、渋谷東急ほかにて全国公開) オフィシャルサイト

【関連記事】 ネットビジネスで“一獲千金”の罠! 儲けの仕組みと違法性

最終更新:2008/06/17 19:12
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