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“神に最も近い男”角川春樹 宇宙、宗教、映画を斬る!(後編)

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新作『神様のパズル』は獄中で思いついた

 常人には推し量れないビッグスケールな言動で、世間を驚かせ続ける角川氏。原寸大で戦艦大和を復元してみせた『男たちの大和/YAMATO』(05年)、角川氏の前世であるチンギス・ハーンの生涯を描いた『蒼き狼 地果て海尽きるまで』(07年)、“世界のクロサワ”の大傑作を織田裕二主演でリメイクした『椿三十郎』(同年)……とカムバック後もとてつもない作品を手がけてきたが、新作は大学生たちが“宇宙創造”に挑む青春ドラマ『神様のパズル』。角川氏が獄中にいた期間に、映画化を企画したもの。一般社会から隔離されたことで、宇宙や神の存在に惹き寄せられた?

「いや、そういうわけじゃない。03年の三が日、正月休みで刑務所内での作業もなく、やることがなかった。そのとき、突然自分の中にいろんなビジョンが閃きだしたんだよ。瞑想しているわけじゃないのに、自分の魂が宇宙へと飛び出していったんだ。そこで、人間が認識できる宇宙の外側にある外宇宙、さらにその先にある宇宙の根本となっている太陽のような存在も見たんだ。それが宇宙全体を機能させているものだとわかった。そして宇宙自体は、人間の存在には興味を持っていないこともわかった。結局、神という存在は、人間の想念が生み出したのであって、自分自身の中にあるものなんだ。そのことが宇宙に飛び出して、地球に帰ってきたことでわかったんだよ。その時点で、自分は映画界に復帰できるかどうかわからなかったが、『神様のパズル』の原作小説を刑務所に取り寄せて読んでみたところ、映画にしたいなと強烈に思ったんだ。それまでにも『ねらわれた学園』『時をかける少女』と学園ドラマは手がけているし、大学を舞台にしても学園ドラマとしていけるだろうとね」

 監督には、邦画界でひとり気を吐く、三池崇史氏を初起用。完成した『神様のパズル』は、ホモセクシャルの愛を描いた『46億年の恋』や、映倫が審査を拒否した『インプリントぼっけえ、きょうてえ』といった過去の三池作品とはまるで違う、爽やかな理数系青春映画になっている。

「三池監督と初めて組んでみたけど、オレたちはいいコンビだと確信したね。三池の『スキヤキ・ウエスタンジャンゴ』を観たんだが、アイツには『お前は変態だ!』と言ってやったんだよ(笑)。それで、今回は『オーソドックスに撮れ』と厳重に言ったんだ。これまでとは違う作品を撮らせたかったからね。でも、三池らしさは十分に出ていると思う。アイツ、ゼロ号試写のとき、オレに殴られるんじゃないかと前日眠れなかったらしいんだ(笑)。そんなに繊細な男だとは思わなかった。アイツも若い頃はかなり鳴らしていたんだろうけど、オレも不良だから、そういう相手は得意なんだよ。この作品は、三池とオレという不良の2人がつくった青春ラブコメというわけだ。もう、それ自体がコメディだよなぁ(笑)」

「本当の映画」は毒にも薬にもなる

 常識に縛られず、自由な精神のもとに生きることを信条とする角川氏。安直な難病ものやケータイ小説を原作にした薄っぺらな感動作がはびこる邦画業界を、どう感じているのか聞いてみたい。

「まぁ、映画はビジネスとして成り立たなくてはいけないわけだが、今の映画会社はテレビ局の下請けと化しているよな。テレビで視聴率の良かったものを映画にしているが、それ以外のオリジナル企画を考えなくちゃダメだ。テレビ局と組むときもあれば、組まないでやる企画も必要。マーケティングも大事だが、今の映画会社はそれをあまりにも重視しすぎ。そういう状況からは、新しいものは生まれないよ。テレビでやっている毒にも薬にもならないドラマを、映画でやっても仕方ないだろう。映画は、毒か薬にならなくちゃいけないよ」

 生涯“不良青年”を自称する角川氏は、ビジネスには遊び感覚が重要だとも語る。

「人間がこの世に生まれてきたのは、修行して来世に備えるためなんて考えがあるが、それはウソだよ。宗教はウソ。人間はただ一点、楽しむために生まれてきたんだ。オレは刑務所の中で宇宙を体験してきて、それがわかった。オレがやっている一行詩も会社運営も、すべては遊び。その中でも映画製作は、かなり大掛かりな遊びだな。人生を楽しむことこそが、最高の境地なんだよ」

 映画・出版以外のビッグビジネスにも乗り出しているという。神へのカウントダウンが進む角川氏から、
ますます目が離せない!
(長野辰次|文 伊丹 豪|写真/「サイゾー」5月号より)

角川春樹(かどかわ・はるき)
1942年、富山県生まれ。角川書店時代、映像と活字のメディアミックス戦略によって『犬神家の一族』『人間の証明』『蒲田行進曲』『時をかける少女』などを大ヒットに導く。95年に角川春樹事務所を設立し、現在は顧問。映画『男たちの大和/YAMATO』『蒼き狼 地果て海尽きるまで』『椿三十郎』と、“荒ぶる魂”の行方を現代人に問い掛け続けている。また実業家とは別に、形骸化した俳壇に引導を渡すべく、“魂の一行詩”運動を行っている一行詩人でもある。

『神様のパズル』
寿司屋で働く落ちこぼれロッカーの基一(市原隼人)は、双子の弟の代わりに大学のゼミに参加。天才少女・サラカ(谷村美月)と共に「人間に宇宙は作れるか?」という命題に挑む。発育盛りな美月ちゃんの短パンジャージ姿に、萌えること間違いなし! 主題歌は、角川氏が見出した21世紀の歌姫・ASUKAが熱唱。(エグゼクティブ・プロデューサー/角川春樹 原作/機本伸司 監督/三池崇史 出演/市原隼人、谷村美月、松本莉緒ほか 配給/東映 6月7日、全国東映系ロードショー)

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最終更新:2008/05/09 12:03

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