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仰天の新事実! 倒産した新風舎、そのあくどさ(後編)

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 数年前に退社した元社員からは、新たな“醜聞”も寄せられた。一時期、松崎氏に代わって社長を務め、倒産時にも役員だった人物が、社内で姿を見たことのない親族に賃金を支払っていたという。いまだに不可解に思っているそうだ。元社員からは、その証拠書類の提供を受けた。

 さらに、元社員の在職当時、お客にクレジット契約を結ばせる際、不正も行われていたとする。会社員の場合、勤続1年未満ではローンが組めなかった。そのため、申込書を改ざんして、1年以上に書き換えるよう上司が指示していたという。「別人で○○○○(伏せ字はローン会社名)にトライ」と明記された内部資料も確認した。


 結局、新風舎と関連会社2社、加えて松崎氏に対する破産手続は、3月12日に開始された。管財人は川島弁護士だ。手続の過程で、これらの“旧悪”が問われることはあるのだろうか。

 著者が出版費用を負担しながら、本の所有権のほとんどが出版社に移転し、追加で本が必要になれば、お客はさらに費用負担をしなければならないといった、まさに片務契約ともいえる出版ビジネスに対しては、再びこのような消費者被害を起こさせないためにも、なんらかの法的縛りが必要に思える。福田首相が創設を目指す消費者庁には、いくばくかの期待をしたいところだ。

 一方、新風舎と競合していた文芸社や幻冬舎ルネサンスの今後も気になる。文芸社には、新風舎と同時期に民事再生を申請し、文芸社が支援を表明した草思社の件とともに、新風舎の事業を引き継いだ理由を尋ねたいと取材を申し入れたものの(別媒体での掲載を前提にしてだったが)、草思社の扱いが裁判所で決定する7月までいったん待ってほしいとのことだった。

 毎日新聞は、「草思社 『文芸社が子会社化』が波紋 自主性は守られるのか」という記事を2008年4月24日付の夕刊文化面に掲載し、出版関係者のこんな発言を紹介した。「自費出版社として知名度の上がってきた文芸社は、名前がかえって邪魔になることがある。〈文芸社からは出版したくない〉というお客に対し、いい作品は〈草思社から出しましょう〉というセールストークが使えれば、これまでと違う客層が草思社ブランドで開拓できる」。大手マスコミに掲載されたコメントとしては、かなり辛辣な内容だ。

 甘言を弄してお客の錯誤を誘い、放漫経営を続けた新風舎のやり口を、同業他社が他山の石とするのかどうか、慎重に見守っていきたい。
(長岡義幸)

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最終更新:2008/06/25 19:29
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