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“紀州のドン・ファン”の呼称がパワーワードに? NHKも使いはじめた異常事態 妻への報道には疑問点も…

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※イメージ写真(GettyImagesより)

 2018年5月に「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山在住の資産家・野崎幸助氏が77歳で死亡した件が、再び騒がしくなっている。

 野崎氏が亡くなった当時、和歌山の自宅には連日報道陣が集まり、野崎氏の妻に報道陣が押しかけたものの何も語らなかった。しかし、それから3年後の4月、殺人容疑がかかり先日逮捕さている。そのニュースを民放各局やNHKのニュース番組・情報番組が、大々的に報じている。

「やはり『紀州のドン・ファン』というキャッフレーズがパワーワードとなっている。普段は愛称や通称を使わないNHKですら、その呼び名で報じていた。須藤氏がこれから起訴されれば、公判は和歌山で行われることになるが、現地にメディアが大挙して押しかけることが予測される。今後も捜査に進展がある度に、大々的に報じられることになるだろう。一方で、橋下徹氏なども言及しているが、逮捕された事実以外は、警察内部からのリーク情報だけで報道がなされているケースがあまりに多い。あまつさえ、本人の過去の職業を掘り起こしたり、芸能人とのツーショットがまるで“悪いこと”のように報じられていることにも、疑問が残る」(テレビ局関係者)

 たしかに、こうした報道をもとにして、SNS上ではさっそく誹謗中傷で溢れかえっている状態だ。過去にも事実以上に報道と世論が盛り上がって、結果的に立件されてしまったケースも多くある。報道やSNS上での言及には注意が必要だろう。

 ところで野崎氏の名前が一躍知れ渡ったのは、2015年1月。元彼女で27歳の自称フリーモデルに、自宅から現金など6000万円相当を盗まれた事件の被害者として情報番組に登場したことに端を発する。インタビューを受けた際、「1億円なんて紙切れ」と発言してその金満ぶりが注目されていた。

「その後、『美女4000人に30億円を貢いだ』と本人が発言。その人柄におもしろさを感じたフリーライターが現地に通って口説き、16年にその半生や女性遍歴をまとめた『紀州のドン・ファン 美女4000人に30億円を貢いだ男』(講談社)が発売された。そんな経緯もあったので、亡くなった時は大々的にニュースになった」(週刊誌記者)

 ところで、いつの間にか野崎氏の代名詞になっていた「紀州のドン・ファン」だが、「紀州」は野崎氏が住んでいた和歌山の昔の国名「紀伊国」の別称。そして「ドン・ファン」はといえば……。

「周知の通り、17世紀スペインの伝説上の人物で、いつの間にかプレイボーイ、女たらしの代名詞としても使われるようになった。『ドン・ファン』は英語風で、イタリア語風だと戯曲にもなっている『ドン・ジョヴァンニ』。1995年には米映画『ドン・ファン』が公開され、ハリウッドスターのジョニー・デップが『1502人の女を虜にした』と吹聴する伝説の人物ドン・ファンを演じていた」(映画ライター)

 こうした“パワーワード”が定着することで、世論が巻き込まれることも多分にある。十分に注意が必要だろう。

黒崎さとし(編集者・ライター)

1983年、茨城県生まれ。ライター・編集者。普段は某エンタメ企業に勤務してます。

Twitter:@kurosakisatoshi

くろさきさとし

最終更新:2021/05/03 17:00
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