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すべての元凶!? サマランチIOC名誉会長独占激白!(後編)

samaranti2.jpg写真/ペラ・プンティ

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莫大な金が五輪に必要か?
答えはイエスだ

——あなたがIOCの会長を務めていた任期中、五輪を商業化し、企業によるビジネスの祭典に変えてしまったという多くの批判がありましたが、今それについてどう考えていますか?

サ 五輪は、世界で最も大きなイベントにしてスポーツの祭典。その活動の一部が企業のスポンサー支援に支えられているのは、周知の事実だ。大会マーケティング収入の92%は、IOC、大会主催委員会、各国の五輪委員会、国際競技団体に配分されるが、これらの収益は、世界中で“スポーツと健康促進”の活動のための資金として使われており、IOCや五輪のためだけに使われているわけではないことを理解してもらいたい。


——とはいえ、スポンサーなどによる広告収入は実際にIOCの資金を増大させています。莫大な予算が本当に五輪に必要なのでしょうか?

サ 答えはイエスだ。私が80年に会長職に就いてからの大きな課題のひとつは、IOCの財務状況の改善だった。五輪の商業化やテレビ放映権の売却による財源の確保は、政治力などに影響されずに五輪が独立したイベントとして開催されることに大いに貢献している。五輪はすべての人類にとって、共通の財産でなければならないのだ。

——世界中で多くのメディアが、IOCの膨大な収益が不透明な金の流れを生み、組織の腐敗や収賄事件などを引き起こしている、と批判しています。実際に02年のソルトレークシティ冬季五輪の招致活動をめぐり、IOCのメンバーが買収されるという世界的スキャンダルが起こりました。それについてはどうお考えですか?

サ 残念ながら、こうしたことが起こる危険性があることについては誰も否定することはできない。しかし、IOCはこの事件について自ら厳正な調査を行い、規範に反したメンバーを追放することで組織に自浄機能があることを示したことを忘れてはならない。

——ソルトレークシティの事件は、あなたの任期中に発生した最悪の内部スキャンダルでしたよね。

サ 私は組織の責任者として、任期中に起きたことへの称賛も批判も甘んじて受けるつもりだ。しかし、私から後任のロゲ会長への最大の置き土産は、IOCを、よりオープンで透明な、かつ結束力が高く独立した組織として引き継いだことだと思っている。組織を改革したことで、現在IOCは、厳格なコンプライアンスを持った民主的な組織として、より公正な手段でアスリートが参加できるような大会運営を実現した。そして財政基盤の安定は、独立組織としての中立性を確立し、世界のスポーツ界のリーダーとしての役割を担うにふさわしい組織であることを保証したのだ。

——財政の安定はたしかに重要ですが、五輪が過剰にビジネス化してしまったのではないでしょうか?

サ 五輪は世界中に夢を与える最大の祭典だ。16日間、すべての国のテレビ局が中継を希望し、開催地はその間世界の中心になる。これは紛れもない事実だ。その注目度に相応なビジネスが発生するのは自然なことだ。

——あなたの任期中、最も成功したと思う大会は?

サ 10回もの大会で開催の指揮を執れたことは誇りに思っているし、そのすべての大会が忘れられない思い出だ。しかし、92年のバルセロナ大会は、私の故郷ということもあって、いろいろな意味で感慨深いものだ。今でも最も成功した大会のひとつとして参考にすべき点は多い。

——北京五輪はそのバルセロナ五輪を上回ることができるのでしょうか?

サ 北京がこれまでで最もすばらしい大会のひとつを演出してくれることを信じている。

——16年の五輪開催の候補地として、シカゴ、マドリード、リオデジャネイロとともに東京が1次選考を通過しましたが、大陸間の持ち回り制の原則をふまえて、
東京での開催の可能性についてどうお考えですか?

サ 1次選考を通過したすべての都市は開催にふさわしい資格があり、チャンスがある。リオデジャネイロは、新大陸での五輪開催の可能性を秘めている。東京はIOCの調査委員会の評価ではナンバーワンだった。シカゴはアメリカの中では突出した候補地だし、自分の国の首都でもあるマドリードは、過去に数々の大きなスポーツイベントを成功させてきた実績がある。

——もし、あなたがIOCに影響力を行使することができるなら、マドリードを推しますか?

サ 私の会長任期中は、こうした点で自分の意見を述べることは一切差し控えてきた。もちろん投票についても同じだ。常に公正を保ち、組織の代表としてふるまうことを心がけてきた。まあ、任期を終え、発言が何の影響も及ぼさない今だったらマドリードを推してもいいだろう。マドリードは世界規模の大会を開催できるすべての条件を持っている。

——東京は最終選考まで残れますか?

サ 最終選考には、五輪を開催するに最もふさわしい都市が選ばれる。その中には東京も入ると信じている。

 会長時代、最高権力者として絶大な権限を手にしたサマランチだが、就任期間中、その権限を絶対的なものにし、IOCの内外で彼に異論を唱えることのできる者はいない独裁政権を築いてきたと言われている。

 7年前にその地位を現会長のジャック・ロゲに譲ったあともIOC内で密かに影響力を持ち続けているといわれるサマランチは、終身名誉会長として、今後何があっても、身内であるIOCと五輪の名誉を守ることを第一義として余生を送るのだろう。

 IOC最大のスキャンダルとして報じられ、サマランチ自身がアメリカの法廷に証人として出廷したソルトレークシティでの招致に関するスキャンダルも、「過去のこと」と口をつぐむ。

 ソルトレークシティでの五輪開催に有利に働くよう、IOCメンバーがユタ州の招致関係者から120万ドル相当もの金品をはじめ、さまざまな恩恵を供与されていたことについての実態は、今後も彼の口から語られることはないだろう。

 北京五輪についても、チベット問題や環境問題など、開催地としての正当性が問われるような問題に世間の注目が集まっている現状を知りながら、「この問題は(中国の)当事者間のことであり、他者は介入すべきではない。反対するものは出場しなければいい」という発言は、開催地決定に深く関わった立場の人間としてあまりに他人事で無責任ではないか。サマランチに自己の名誉を守ろうとする保身と、自分の不用意な発言によってこれまで関わってきた組織を裏切ることはできない、
という身内意識が根強くあることは否定できない。その結果として、北京五輪が史上最高の成功として終わるのか、あるいは史上最悪の祭典と化すのか、じっくりと見届けたい。
(セルジ ソレ・文/納田康晴・翻訳/栗原正夫(EIS)・協力/「サイゾー」8月号より)

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最終更新:2008/08/04 21:10
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