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「出会いと別れ…」クラピッシュの新作群像劇『PARIS』

parismain.jpg(C)CE QUI ME MEUT – STUDIO CANAL- STUDIO CANAL IMAGE – FRANCE2 CINEMA

 2008年ももう終わり。何かと一年を振り返る機会の多いこの時期、思い出すのはやはり人との新たな出会いや別れではないでしょうか? そんな季節にぴったりの映画が『PARI(パリ)』(公開中)。タイトルが示すとおり、舞台はパリ。この街に住むさまざまな人々の人生を描く群像劇だ。

 ムーラン・ルージュでダンサーとして活躍していたピエール(ロマン・デュリス)は、心臓に重い病が見つかり、踊れなくなってしまう。しかも、余命もあまり長くなく、心臓移植の手術を受けるしか方法はないが、移植手術の成功率は40%。微妙な可能性にとまどいながらも、移植提供者が現れるのを静かに待つしかない。仕事を辞めた彼は自分の暮らすアパルトマンの窓から街を見渡す。そこにはさまざまな人々の十人十色の日常が繰り広げられている。ピエールの姉でシングルマザーのエリーヌ(ジュリエット・ビノシュ)は、大切な弟と残り少ないかもしれない時間を過ごすため、子どもたちを連れてピエールに部屋にやってくる。

 監督は『猫が行方不明』『スパニッシュ・アパートメント』などで、映画ファンには知られる存在のセドリック・クラピッシュ。『スパニッシュ~』やその続編『ロシアン・ドールズ』『百貨店大百科』など、クラピッシュとえば群像劇を描く手腕の評価は高い。そんな彼が、故郷のパリを舞台に、これまでの集大成ともいえる作品を作り上げ、人種も年齢も職業も異なる10人以上の登場人物たちの人生を切り取っている。

 多くの登場人物がいる中で、ダンサーのピエールが一応の主人公といえる。死を宣告された青年が主人公ということになるが、だからといってことさら悲劇的な映画でもない。一方でむやみにハッピーなわけでもない。出てくる人物たちは恋をしたかと思えば失恋したり、新しい命に恵まれたかと思えば大切な人を突然失ったりする。映画の中には人生の酸いも甘いもが描かれていて、「死」を意識した主人公の存在から「生きる」ということの中で繰り返される数々の出会いと別れが浮き彫りにされていく。パリの街に生きる人々を俯瞰するように、ありのままを描いているようで、生や死を描いていても湿っぽすぎずに意外とあっさりとした仕上がり。もう少しドラマ性もほしいとは思わなくもない出来だが、過剰にドラマチックではないからこそ、観客も自分の人生とスクリーンの中の人々の人生とを照らし合わせて考えることができそう。今年はどんな人々との出会いや別れがあっただろうか? そして来年は?

 あわただしい年の瀬だからこそ、ちょっと落ち着いた映画を見て新年を迎えたいという気分にもピッタリの映画かも。
eiga.com編集部・浅香義明)

作品の詳細は以下より。
『PARIS(パリ)』
eiga.com 2008冬特集「一年を振り返る」

スパニッシュ・アパートメント

青春です。

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最終更新:2008/12/27 12:00
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