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アイドル映画監督梶野竜太郎の【アイドル映画評】第2幕

『妄想少女オタク系』──初心者歓迎!? BLの世界へご案内

『妄想少女オタク系』(C)2007衛星劇場

アイドル映画をこよなく愛する「アイドル映画専門」映画監督が、カントク視点でオススメのアイドル映画を、アノ手コノ手で解説します。

●今回のお題
How to ボーイズ・ラブ
『妄想少女オタク系』
監督:堀禎一/女性主演:甲斐麻美・木口亜矢

 ボーイズ・ラブって御存知ですか? 通称BL系(ビーエルけい)っていいます。意味はそのまんまなのですが、ホモやゲイとは表現が違う、同性愛をテーマにした漫画やアニメのことです。同性が見て喜ぶ用ではなく(好きな人は好きかもしれませんが)、同性愛を異性が、つまり女の子達が見て喜ぶスタイルになってます。

 ちなみに、そのBL系好きな女の子のことを、彼女達自ら、腐女子と言っています。自虐的でよろしい。

sundome02.jpg『妄想少女オタク系』
“腐女子”がヒロインの同名コミックを映画化した青春ラブコメディ。ごく普通の男子高校生・隆弘が好きになったのは、オタクでボーイズラブ好きの妄想少女・留美だった。彼女はあろうことか、隆弘とその親友・俊祐がデキていると思い込んでいて……。

 初めて知った方は一回見て欲しい。物凄くキレイな男と男のラブ&エッチシーン。あそこは何気にしか描いていません。もちろん、DARKな領域に入ると、どリアルな物もあるらしいですが。気になった方は聖地・池袋の乙女ロードで探してみて下さい。「こりゃ、翌朝、便が太いな! がはははは!」とか、まったく想像出来ない美男花園世界。男から見れば愚の骨頂でも、腐女子の方々から見れば美の骨頂というわけです。

 今回の映画『妄想少女オタク系』の主人公の浅井留美も物凄い腐女子。演じているのは『魔法戦隊マジレンジャー』(テレビ朝日系)でマジブルーを演じた甲斐麻美。メチャクチャ可愛いのに、腐女子的な暗い&インドアな雰囲気も持つ。ちびまる子ちゃんでいうと、たまちゃん+野口さん。

 そして、ツンケンしたイヤミな女なのに実は腐女子だった! という松井曜子を演じるは木口亜矢。上手いキャスティングですね。2人とも思いっきりハマってます。この2人のどこがポイントかと言うと、監督目線で言うと、見事に”ぎこちなさ”の残る演技! とでも言いましょうか。正直、2人ともグラビアアイドルしながらも、映画にもたくさん出ています。たまに見せる女優としてのいい演技もいくつかあります。

 ただ、キャスティングが上手い! って言ったのは、女優としてはまだまだこれからな2人をあえて組ませた、演技としては、まだまだだけど、一生懸命演じようとする、でも、一生懸命な分、どんどん”ぎこちなく”なってしまっている。

 その”ぎこちなさ”は、芝居の上ではNGなはず……だけど、その自然に出てしまった”ぎこちなさ”って何かに似てないか?

 そう! その”ぎこちなさ”が、腐女子そのものなのです。男子中学生がベッドの下にエロ本を隠すように、腐女子の方々も、堂々とはしていない。生活の中に”ぎこちなさ”がある。それが、この甲斐麻美&木口亜矢から出まくっている。その演技では表現出来ない”ぎこちなさ”こそが、本物の腐女子と同じなのです。ナイス・キャスティング。

 物語は、主人公の留美は、オタクなので男子からはノーチェック組だったんだけど、まぁ、腐女子好きな男子ももちろんいるわけで、この中山麻聖(名前がモロBLっぽい)も、留美のかわいさにハマってしまったタイプ。

 腐女子って言っても別に変りものなわけじゃなく、そういう趣味というだけだから彼氏がいたっておかしくはない。まぁ、中森明菜・近藤真彦共演の永遠の珍作『愛・旅立ち』(85)の明菜役の女に比べればほとんどの女の子はまともです。明菜の愛読書は『耳なし芳一』で(怖いよ)、恋がしたいから病院を抜け出すわ! って言って芳一パワーで抜け出るお話です(マジ)。

 話がそれました。この麻聖くんは留美に告白するんですけど、留美は、麻聖くんは友人の徹(普通の名だ)と出来てると思いこんでいる。麻聖くんのことを最後の最後までBL系にしたくてしょうがない留美を、愛しく思いながら、BL役もさせられるという強制バイセク話。

 上にも書きましたが、この映画の面白さの全ては、女の子2人の”ぎこちない”演技を、そのまんまキャスティングし、そのまんま撮ったスタッフの方々にあります。濃くも、深くも、撮れる素材を、ピュアな青春物語に仕上げた方向性は正解ですね。

 これで、そっち系の監督さんが、「真・妄想困惑処女 オタクアンダーグラウンド系」とか撮らないかな。超エログロで。
(文=梶野竜太郎)

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●かじの・りゅうたろう
映画監督・マルチプランナー。1964年東京生まれ。短編『ロボ子のやり方』で、東京国際ファンタスティック映画祭の部門グランプリを受賞。2008年に長編『ピョコタン・プロファイル』でメジャーデビュー。今後の展開に『メンタイマン』他がひかえている。現在、トークライブ『オビカヂドカン!』に出演中。
詳しくは→http://mentaiman.com/

●アイドル映画監督梶野竜太郎の【アイドル映画評】INDEX
【第1回】『すんドめ』──オナニー禁止とチラリズムの限界点

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最終更新:2009/05/22 13:00
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