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「ノリだけの楽曲が量産……」夏フェス傾倒が招く音楽界の暗い未来

82070899.jpg昨年のフジロック

 CDは売れないが、ライブにはそれなりに人が入る――。それが音楽業界の現状だという。夏フェスシーズンが近づく中、若手バンドを抱えたマネジメント事務所関係者が語る。

「どれだけ多くの夏フェスに出られるかで、若手バンドの将来は決まるといっても過言ではありません。実績のないバンドの場合、ノーギャラは当然で、出演を各イベンターさんに頼みこんでいる状態です」

 フジロック・フェスティバルやサマーソニックへの出演に際して、大物洋楽アーティストが”来日記念盤”をリリースするのはもはや恒例で、高いセールスを記録するものも多い。今や邦楽の若手バンドにおいても、夏フェス出演が先に決まり、それに合わせたリリースに向けて、レコーディングを進めるケースも増えているという。

「10年前であれば、CDをまず出し、そのプロモーションの一環としてライブをやっていました。現在では、ライブのためにCDを作っているバンドも少なくありません」(前出の関係者)

 夏フェスがプロモーションの場として重宝される一方で、レコード会社がフェス向けの楽曲制作を求めるため、アルバム全編がライブを盛り上げるための”アゲアゲ”な曲ばかりになる、という問題も起きているようだ。事実、人気ガールズバンドCの新作は秀作と評判ではあるが、一方でレコード会社関係者からは「やかましい曲ばかりで、本来の良さであったしなやかさが失われた」という声も聞かれる。

 制作の現場では、より辛辣な意見もあるようだ。

「エンジニアの中には、ミックスの段階で”ドラムとベースを強調してくれ”という指示を受け、辟易としている人間もいます。自分の信条や楽曲本来の良さすら無視されて、単純に”ライブでノれる”ものだけを求められたらたまりませんよ」(スタジオ関係者)

 音楽業界のドル箱として捉えられている夏フェスだが、2006年をピークに人気に陰りが見えている、と指摘する向きもある。いずれにしても、このフェスバブルが終焉を迎えた時、形骸化された”ノリ”だけの楽曲が音楽シーンに取り残されるのは、アーティストもリスナーも望まないだろう。
(文=玉井光太郎)

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最終更新:2009/06/26 15:29
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