日刊サイゾー トップ > 社会  > 前田日明から見た「三沢光晴の死、そしてプロレスの未来」(後編)
【緊急インタビュー】

前田日明から見た「三沢光晴の死、そしてプロレスの未来」(後編)

maeda02.jpg撮影/田附愛美

■前編はこちら

──誰にでも起こる可能性がある。

「ちゃんと検証しないとね、絶対また誰かやるよ。みんなね、自分たちが危険なことをやってるって認識がない。全員がプロレスをナメちゃってるんですよ。やってる人間も、レフェリーも、観客も。どっかで『大丈夫だろう』と。年間100試合もやってると、どんどん麻痺してくるからね。今テレビなんか見てると、投げ捨ての技で選手が変な角度で落ちても、セコンドやレフェリーが『あ、ヤバイ』って顔をしないんですよ。平気で眺めてる。俺たちが若い頃は『本気でコイツ壊したいと思ったら投げ捨てろ』と教えられた。それくらい危ないんですよ、投げ捨ての技というのは」 

──ただ、そういった過激な技の応酬や、投げ技の”危ない角度”は、ファンが求めたものでもあると思うんです。

「なんて言うかね、なんて言ったらいいのかな……、俺らが思っていたプロレスというのは、試合が始まる前にインタビューで何をしゃべるか、それで、なんで俺とあいつが戦うのか、そういう緊張状態を高めて、お互いに『やってやる!』という前提があって、『さぁ、どうなる?』っていう、そういうのがあるんです。ヤクザ映画で言うとね、組の対立をしっかり見せてから抗争をやる、というような。『何が起こるんだ!?』という緊張感だよね。今はそういうのは置いといて、いきなり機関銃や戦車を持ってきてドンパチやり始めるという風になってる」

──プロレスから物語性がなくなって、代わりに技だけが過激になっている。前田さんが新日本にいたころは、そうした対立の構図や設定を専門に考える人がいたんですか?

「いない、いない。誰も考えてない。選手が勝手に考えてやるんですよ。そういう感覚をみんな持っていて、みんなが自分のほうに周りを引きずろうとする。それで、いちばんその力が強いヤツがみんなを引きずっていくんだよ、無理やり」

──昔はレスラーそれぞれが「こうしたら盛り上がるのに」と考えていたと。それは、今の選手には足りない部分。

「足りないよね。そういった意味では(キックボクシングの)魔裟斗なんか最高です。興行を盛り上げるってことをよく分かってる。いい試合を見せるだけじゃ客は付いて来ないんですよ。本当は、いろいろ考えてやればね、ちょっと動くだけで、何気ない技でも盛り上げられるんです。パンチ一発でも客を『おおっ!』と言わせることができるんですよ」

──選手の体力面ではどうでしょうか。

「今は選手のコンディションも昔より悪くなってる。みんな、練習をしないんだよね。新日本に関して言えば、山本(小鉄)さんとか小林(邦昭)さんに言わせるとね、今の若手は全然ダメ、本当に練習しないって」

──資質という部分で言えば、今回の事故を受けて、全日本、新日本、NOAHの3団体で統一のプロレス・コミッションを作って、ライセンス制を敷こうという動きもあるようです。プロレスラーのライセンス制度というのは、現実的なのでしょうか。

「今は……ムリだと思うよ。だって、じゃあ『ハッスル』はどうすんの? っていう話になる。芸能人出るじゃん。あれはもうプロレスラーじゃないよね。それに『ハッスル』だけじゃない。アントニオ猪木がタッキー(滝沢秀明)とプロレスやっちゃったじゃない(00年3月14日/横浜アリーナ)。よく『前田日明がプロレスを壊した』なんて言われるけど、そうじゃない、アントニオ猪木が壊したんですよ。タッキーとやった時点で、観客もガッカリしたし、選手もガッカリしたし、俺も涙が出るほど悔しかったよ。猪木さんが何を、金のためにこんなことしてんの、って。プライドはどこにいったの、って。プロレスであれが許されると、もう誰も『ハッスル』のことなんて言えない。『ハッスル』もプロレスだって言うしかない。そしたら、ライセンス制なんてムリですよ」

──確かに、プロレスという言葉はすごく幅が広いですよね。UWFもハッスルもプロレスだし、電流爆破のFMWや、蛍光灯でバンバン殴る大日本もプロレスと呼ばれます。

「だからね、本当に統一コミッションで何かやるんだったら、レスラーになるための基礎的な教育だとか、小さな団体が興行に医者を連れて行く余裕がないんだったら派遣してやるとか、そういうことから始めたほうがいい。その前に、レスラー、レフェリー、関係者をみんな集めて、今回の三沢の試合を見せなきゃいけない。なんで大ベテランの三沢が死んだのか、みんなが試合を見て考えなきゃいけない」

──ファンの側から、何かできることはあるんでしょうか。

「ファンもね、やっぱり声を上げていかなきゃいけないんですよ。『三沢ありがとう』だけじゃダメで、『三沢がどうして死んだか』とね、声を上げていくことだと思いますよ。今は本当に、プロレス・マスコミがプロレスを一番ナメてるから、あいつらにプレッシャーをかけてやればいいんですよ」

●まえだ・あきら
1959年、大阪府生まれ。77年に新日本プロレス入団。エース候補として渡英し、帰国後、華麗な技と甘いルックスで人気レスラーになる。84年に「UWF」、88年に「第2次UWF」を立ち上げる。解散後、91年に総合格闘技団体「リングス」を設立、日本に総合格闘技を本格的に根付かせることになる。その後、プロレス団体「ビッグマウス・ラウド」、総合格闘技「HERO’S」のスーパーバイザーなどを務め、現在はアマチュア格闘技大会「THE OUTSIDER」を主催。

●THE OUTSIDER第7戦
・日時:
2009年8月9日(日)/開場14:00 開始15:00
・会場:
ディファ有明(東京都江東区有明1-3-25)
・チケット発売中:
OUTSIDER事務局
http://www.rings.co.jp/outsider_top.html
チケットぴあ
http://t.pia.jp/index.html

昭和プロレス

猪木……

amazon_associate_logo.jpg

【関連記事】 『THE OUTSIDER SPECIAL』戦慄の舞台裏レポート【1】
【関連記事】 プロレスでテレビを変える男・プロレスラー『マッスル坂井』
【関連記事】 「格闘技を通じてアニメを広めたい」長島☆自演乙☆雄一郎の再始動

最終更新:2009/06/26 17:44

前田日明から見た「三沢光晴の死、そしてプロレスの未来」(後編)のページです。日刊サイゾー芸能最新情報のほか、ジャニーズ/AKB48/アイドル/タレント/お笑い芸人のゴシップや芸能界の裏話・噂をお届けします。その他スポーツニュース、サブカルチャーネタ、連載コラムドラマレビューインタビュー中韓など社会系の話題も充実。芸能人のニュースまとめなら日刊サイゾーへ!

ページ上部へ戻る

絶対的満足度の至宝店すべて見る

人気連載すべて見る

元木昌彦の『週刊誌スクープ大賞』

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"元木昌彦による週刊誌レビュー

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士の最新情報をお届け! 嫁・麗子も時々登場。

トンデモ海外ニュース

世界中のびっくり珍事件をお届け。世界はやっぱり広かった!

深読みCINEMAコラム『パンドラ映画館』

最新作・話題作から珠玉の掘り出しモノまで、毎週1本必観の映画作品を徹底レビュー

じゃまおくんのWEB漫クエスト

マンガレビューブログ管理人じゃまおくんが、インターネットに埋もれる一押しマンガを発掘!

トップページへ
注目記事
  • facebook
  • twitter
  • googleplus
  • feed
イチオシ企画

【サイゾー筋トレ部】始動!

腹筋インストラクター・腹筋王子カツオさんが、自宅でできる簡単筋トレを紹介!
写真
特集

中居正広”円満独立”の余波

中居クンが3月末でジャニーズ退所!新しい地図、キムタクとの関係は?
写真
人気連載

新型肺炎はペストではない!

今週の注目記事・第1位「安倍首相補佐官<和泉...…
写真
インタビュー

離婚のうしろめたさとその解放

 離婚経験を持つ13人の男性に、その経緯や顛末を聞いたルポルタージュ「ぼくたちの離婚...
写真