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【元木昌彦の「週刊誌スクープ大賞」第12回】

各紙「民主党よいしょ特集」に辟易のなか光る『セブン』の斜め斬り

scoop0907.jpg「女性セブン」9月17日号

部数低迷が叫ばれ、その存在意義が問われども、テレビや大手新聞が”書けない”真実を暴く週刊誌ジャーナリズム──。毎週発売される各週刊誌の中から、伝説の編集長・元木昌彦が選りすぐりのスクープ大賞を認定!!

●第12回(9月1日~9月7日発売号より)

第1位
「幸夫人の前夫激白!『あの夫婦 仮面の下の忘恩と不実』」(「女性セブン」9月17日号)

第2位
「独占カラー 民主田中美絵子『コスプレ風俗ライター』時代」(「フライデー」9月18日号)

第3位
「嵐山光三郎『コンセント抜いたか』マゴマゴ政権」(「週刊朝日」9月18日号)

「政権交代」だけが争点になった衆議院選挙がようやく終わったかと思ったら、週刊誌は鳩山民主党のよいしょ大特集ばかり。そこで、私同様、そうした記事にうんざりしている向きにオススメの3本を選んでみた。

 第3位は、「朝日」で長期連載の名物コラム。嵐山光三郎さんは、元平凡社の編集者で、「太陽」の名編集長だったが、才能が溢れすぎて編集者という枠では収まらなくなり、作家に転身した。出版社をつくって大儲けしたり、テレビの人気者になったりと、八面六臂の活躍を続けているが、私は、彼の軽妙洒脱なエッセイが好きだ。

 今週は民主党政権誕生に触れて、口調は軽いが、中身はゾッとするほど鋭い。

「歌舞伎の擬音に波の音があり、笊に豆を入れて傾けるとザーッと音をたてる。右へザーッ、左へザーッ、また右へザーッと豆が一斉に片よって、それが波の音に聞こえる。(中略)極端である。危ない兆候である」

 民主党が新設するという国家戦略局についてこう書いている。

「国家戦略局とは、なにやら戦時中の軍部を思わせる名称である。『省庁縦割りの予算を見直し、総予算の全面組み替えを政治指導で実現する』というから、革命軍による粛正隊である。(中略)しかし、政変による粛正人事が、優秀な人材をつぎつぎと抹殺してきたことは歴史が証明している。(中略)民主党の成り上がりアンちゃん議員と、おべんちゃら審議官が、よってたかって有能なる官僚を断頭台におくる様子が、茶番劇のように見えてくる」

 ムダを徹底的に排除すると言い出したのはヒットラーであった。だが、その行きついた先は書くまでもないだろう。自民党が壊れた今、民意の憎悪は霞ヶ関に集中している。それを受けて、民主党が我が物顔に振る舞うと、結局、そのツケは国民に返ってくる。ことは慎重に進めなくてはいけない。

 第2位は「小沢チルドレン」の一人で、あの森喜朗元首相を4,000票差まで追い詰め、比例で復活当選した田中美絵子(33)議員の華麗なる前歴をスクープした記事。

 彼女の経歴の中で、すっぽり抜け落ちている「職業」を発見する。それは、一時期、風俗ライター・渋谷有栖として風俗嬢にインタビューするというものだが、そのやり方が、コスプレしてインタビューというものだけに、ちょっとビックリ。その上、彼女が、チアリーダーのコスプレ姿で「ブラチラ、パンチラ」を披露しているのだから、もっとビックリした。

 風俗嬢インタビューのさわりもしっかり載せている。

ありす 印象に残ったお客さんっていますか?

▲▲▲ やっぱりプロレスラーのお客さんですかね。今までに体験したこともない体位で×××しましたから(笑)

ありす えぇー!! どんな体位で?(中略)

ありす 何それ!! 私もヤッてほしい(笑)

 他にも浴衣姿あり。必見ですぞ。早速、新聞記者たちに、この件で質問された田中先生だが、即答はできず。近いうちに会見を開いて話すそうだが、これぐらいでオドオドしていては、官僚たちとは戦えませんぞ!

 第1位は、その田中先生の大親分である鳩山代表にまつわる記事である。

 激白しているA氏は、1960年からサンフランシスコで日本食レストランを、姉夫婦と3人でやってきて、大成功した。

 日本企業社長の紹介で、67年に幸さんと結婚する。それから3年後、日本の名士から、留学中の鳩山由紀夫青年を世話してくれと頼まれ、受け入れる。

 しかし、それが徒となる。

「由紀夫くんが幸に一目惚れしてしまったようです」(A氏)

 その後、幸さんと由紀夫氏は黙って駆け落ちしてしまうのだ。

「『家を出て行きます』という置き手紙だけがありました。ただただ茫然自失の状態でした」(A氏)

 鳩山代表と幸夫人の「略奪婚」は、本人も自慢げに吹聴しているから、各週刊誌も取り上げなかったのだろう。だが、鳩山氏を世話したあげく、女房を寝取られた前夫の心境はいかばかりだっただろう。

 二人の結婚が決まったと、A氏のもとへ挨拶に訪れたのは、鳩山氏の母親・安子さんだった。

 鳩山氏は、室蘭にいたときも、独り寝の寂しさから水商売の女性に手を出し、トラブルになると、今度は女房に出てもらって尻ぬぐいをさせている。鳩山家は女が強い家系にしても、あまりではないか。

 この人の唱える「友愛」精神は、特に女性に向けて発信されるようだが、このような人物に、この国を任せることができるのか。

 アメリカ大統領には100日間のメディアとのハネムーン期間があるという。政権交代がしょっちゅう行われているアメリカでは100日程度でいいかもしれないが、日本では戦後初といってもいい政権交代だから、せめて6カ月ぐらいは、民主党が進める政策を見守ってやりたいとは思う。

 しかし、それと、個々の政治家の資質を、さまざまな観点から検証することを、メディア、特に週刊誌は怠ってはならない。それこそが週刊誌の存在理由なのだから。
(文=元木昌彦)

motokikinnei.jpg撮影/佃太平

●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。

【著書】
編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか

ようこそ「鳩山レストラン」へ―いつものおかずで、いつでもウェルカム

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最終更新:2009/11/02 19:33
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