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【元木昌彦の「週刊誌スクープ大賞」第14回】

エロ過ぎる!? 「週刊現代」が放つ”性”スクープの満足度

gendai1003.jpg「週刊現代」10月3日号(講談社)より

部数低迷が叫ばれ、その存在意義が問われども、テレビや大手新聞が”書けない”真実を暴く週刊誌ジャーナリズム──。毎週発売される各週刊誌の中から、伝説の編集長・元木昌彦が選りすぐりのスクープ大賞を認定!!

●第14回(9月15日~9月21日発売号より)

第1位
第1位「愛蔵版 性の奥義 進化するSEXをあなたに」(「週刊現代」10月3日号)

第2位
「アダム徳永『スローセックス進化論』」(「週刊ポスト」9月25日・10月2日合併号)

第3位
「10代女子の『セックス格差』」(「AERA」9月28日号)

 今週はシルバーウイークということもあり、民主党報道にいささか辟易しているだろうから、少し趣向を変えて、性を扱った特集を比較してみた。

 まずは「AERA」お得意(?)の、10代の性の実態に斬り込んだ特集から。この記事は、「未成年風俗嬢プロフで求人」と「リアルJKのセックス観」の2本立て。

 16歳のA子は、携帯サイトで知った援助交際ビジネスをやっている男から客を紹介され、1回で2万円稼げるからと、いまも「援デリ(援助交際風デリバリーヘルス=筆者注)」を続けている。都の調査によると、東京都の高3女子の約5割はセックスを経験済みだそうだが、誘惑が多い都会だから数字が高いと安心してはいけないのだ。

「ウィメンズクリニック・かみむら」(岡山市)の上村茂仁さんは、一昨年、人口1,000人程度の島にある、生徒数が100人に満たない小さな中学校から緊急の依頼を受けた。5人の女生徒が妊娠したというのだ。

「その約1年前、島にファストフード店ができ、子どもたちが集まる場所ができた。ある少女が出会い系サイトを介し、そこで男と待ち合わせた。友達も真似し、島外の男と会うようになっていた」(「AERA」)

 驚くのは、「10代の人工妊娠中絶実施率を見ると、トップは福岡の12.4%、次に熊本の11.6%と続く。東京は全国平均7.8%を下回る7.4%。岡山は9.8%だ」(同)

 JK(女子高生)にとってセックスについての話題が、いちばん盛り上がるのだそうだ。埼玉県の県立高校に通う3年生のマイコさんの初体験は16歳のとき。仲良くなった6人グループのうち、経験者が2人いたので、早く自分も経験したくて仕方なかった。

「高校に入って仲良くなった彼は二つ上の先輩。つき合って2週間くらいで、親がいない時に部屋に誘われた。好きだったから、チャンスだと思った。(中略)終わった直後に、『卒業しました♪』と、メールを一斉送信。お祝いの返信メールが嬉しかった」(同)

 ケータイによる性の拡散化は、全国隅々まで広がり、低年齢化に拍車をかけているようだ。

 第2位は、「スローセックス」を提唱して、これまで5,000人を指導してきた”性の伝道師”アダム徳永氏による性の奥義の誌上初公開。だいたいスローセックスってものが、どういう意味かわからないが、「女性はこれまで男性のジャンクセックス、つまり膣への挿入とピストン運動、射精だけを目的とした一方的なセックスを我慢し続けて来ました。(中略)しかし、性に関する情報が増えるにしたがって、ポジティブにセックスを楽しみたいという女性が増えている」(アダム氏)そうなのだ。

 これって、俺が20年以上も前に、「週刊現代」でやっていたことと同じじゃんと思いながらも読み進めると、セックスレスや熟年離婚に打ち克つ実践テクニックを教えるとある。

 まずは、射精という欲望を放棄せよとのたまう。「早く挿入して、早く射精したいという欲望こそがジャンクセックスの元凶です」(アダム氏)

 また、前戯では「気持ちいい?」より「痛くない?」と聞くべし。秘部は一点集中攻撃で。男だって全身を性感帯にすることができるから、二人で互いを開発せよ。「早く強く動かす」ピストン運動はNG。正常位よりも深く結合できる騎乗位なら、男の体力が温存できるから一石二鳥なのだそうだ。いやはや、ここまでやらなければいけないとは、男はツライ!

 最近「脱いだ女 脱がなかった女の50年史」という短期集中連載を始めたり、グラビアでもセクシー路線をひた走る「現代」は、毎週、セックステク特集を欠かさないが、今回は「愛蔵版」ときた。

 リードにこうある。「大切なパートナーを悦ばせることで、自らの悦びを得る。SEXが尊いのはこの一点に尽きよう。相手を絶頂に導きたい。だが、その気持ちだけでは遠い。技術が必要である」

 何時の時代も食欲と性欲は普遍だから、雑誌の売り物にはなるのだが、それほどテクニックにバリエーションがあるわけではないから、担当者は苦労するのだ。今回はどうやって新味を出しているのだろうかと思いながら読んでみる。

 奥義その1 エアークリーニングキッス。「口内には大きな性感帯のポイントがあります」(医学ジャーナリストの栗池満氏)。それは上あごの内側部分にあるのだそうだ。そこをキスの時、刺激してやると快感を与えられる。

 奥義その2 極泉。「『極泉』という有名なツボがあります。脇の下の真ん中の一番くぼんでいるところです。そこを刺激すると、その名のとおり、泉のごとく愛液がわき出ます」(鍼灸マッサージ治療師の回気堂玄斎氏)

 奥義その3 黄金地帯。下半身の鼠径部(股の付け根の内側)から太ももにかけてが”黄金地帯”で、女性の敏感なところなのだ。

 このようにして奥義その7までが、イラストを駆使し、微に入り細を穿って解説してくれている。

 いやはや、読むだけでうんざり、いや失礼、満腹してしまう。内容もこってり感も、現代が図抜けている。文句なし、堂々の第1位である。
(文=元木昌彦)

※筆者の事情により、9月28日と10月5日の「週刊誌スクープ大賞」はお休みいたします。

motokikinnei.jpg撮影/佃太平

●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。

【著書】
編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか

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最終更新:2009/11/02 19:22
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