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反骨心が生んだ意欲作!

声優・浪川大輔がメガホンをとった実写映画『Wonderful World』に込めた熱い想い

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 声優たちが多数出演する。しかも、監督を務めるのも声優。そんな前代未聞の実写映画『Wonderful World』が6月19日より公開される。

 アニメ本編のみならず、アニメソングのヒットや毎週のように開催されるライブやイベントの盛り上がりから、以前にもまして注目を浴びる機会が増えた声優。そんな彼らと、モデルの上原歩、女優の平田裕香、ミュージシャンの夢人(彩冷える)、お笑い芸人のヒロシなど各方面で活躍する芸能人を「コラボレーション」させ、一本の映画に仕上げたのが、自身も同作に俳優として出演し、監督も務めた声優・浪川大輔だ。

 なぜ、実写映画を撮ろうと思ったのか。声優として活躍する彼の胸の内に隠された、その真意を語ってもらった。

──初の監督ということで、苦労したことも多かったと思いますが。

浪川大輔(以下、浪川) まず、何をやっていいのかが分からないというのが、一番苦しかったです。自分が何が分からないのかも分からない。あとは知識の無さ。カメラの種類とか照明の種類一つにしても、どういう画角で撮ればどういう風に映るのか、本当に分からない状態からスタートして、やりながら覚えるという感じでした。でも補ってくれた役者さんやスタッフさんがいて、何とか完成までこぎつけました。最近知った言葉なんですけれど、「諦めた時が失敗である」みたいな言葉を見た時に、「諦めなければ失敗じゃないんだ」と思って。本当に忍耐強さと辛抱強さを鍛えられた一年でした。

──声優、モデル、ミュージシャンといった今まで映画とは違うフィールドで活躍していた人たちが映画を作る、というトピックに対する周りの反応はどうでしたか?

浪川 やっぱり初めて何かやる、それも今まであまり着目されてない所を狙っていく隙間産業的なものを始めると、それを叩く人や「そんなのうまく行くわけがない」って言う人は当然いるんです。でも誰かが新しいことをやってきたから今いろいろな職業が今あるんじゃないか、と思いますから。また周りの応援してくれる声や、助けてくれる仲間のために何か形にしたかった。終わった今、格好つけて言うと(笑)。

──映画としては、ご自身も「荒削りな部分もある」と以前言われていましたし、正直「声優の撮る映画ってどうなんだろう」という気持ちも世間にはあるとは思います。ただ個人的な感想ですが、いざ観てみたらそういう冠なんて必要ないくらい面白い映画だと思いました。

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浪川 ありがとうございます(笑)。だからコラボレーションという言葉なんですよね。確かにみんなの目は「声優」「モデル」「女優」「ミュージシャン」という部分に向いているんですけど、それってみんなが勝手に決めているだけだと思います。例えば世間には「声優が実写をやっている」という風に見えるのかもしれないけど、こちらとしては表現する、何かをみんなに伝えたいというのを分かち合って映画にしただけなんです。

──声優が実写映画を撮るという事は、そういった世間の目に対する反骨精神にも繋がるわけですか?

浪川 なんで声優と芸能人で分けなきゃいけないんだろう、と。僕だって映画をやっています。(主演の)宮野(真守)君だって実写で普通に仕事をしていますし、舞台だってやる。他にも劇団を持っている方もたくさんいらっしゃいます。だったらまず声優と舞台俳優を分けることもないと思いますし、お前はどっちだって聞かれたら「別にどっちでもいいじゃない」みたいな感覚です。

──とはいえ、市場が声優と芸能人を明確にわけようとしている部分もあるじゃないですか。そういう現状に対してどう感じているのかを聞いてみたいんですが。

浪川 正直に言いますと、僕も若かったのかもしれないけど、昔は声優と呼ばれるのが本当に大嫌いだったんです。でも声優だって人の心を動かすことができるんです。それに俳優さんがアニメや洋画に声を当てることがあってもいいと思うんです。僕なんてしょっちゅう比べられますよ。僕よりも全然若い役者さんが吹き替えを断ったら代わりに僕がやるとか、そういうことをいっぱい経験しています。「何で芸能人が吹き替えをやるの?」という声もあります。じゃあ声優陣もバラエティーなり、ドラマなり映画なりに出ればいいじゃないかと。考え方がそれぞれあるとは思うんですけど、そういう状況に対して誰かが何かをやらなきゃいけないんだったら、俺がやってやるって思って映画を撮ったんですよ。そういう意味では反骨心かもしれないですね。

──でも映画となると、「評価してやるぞ!」って気持ちで観るお客さんも多いですから、怖いところもありますよね。

浪川 そうなんです。映画には評論家がいるように、「評価」しに来る方が多いじゃないですか。これは確かに声優をやっていると感じない感覚かもしれない。でも、その「評価される」という感覚が、もう楽しくてしょうがないですね。アニメには好きとか嫌いとかはあっても、あまり「評価」というのは聞きませんものね。

──今後、再び自分で映像をプロデュースしたいというような願望はありますか?

浪川 またこういう風にできるかどうかも分からないですし、やりたいって言って簡単にできるものでもないのですが……。もし次に自分がやるとしたらやっぱり切なさを追いかけるものをやってみたいですね。ただ、今回悔しい想いをした箇所もそれなりにあって、それが抜けきらないから似たようなテイストの映画がまた撮りたいって思ってしまうのかもしれない。だから、今は軽々しく「次はこれがやりたい」なんて言えないですね。それは『Wonderful World』を作ったスタッフや出演者に失礼ですから。
(取材・文=有田シュン)

●『Wonderful World』
監督/浪川大輔 脚本/川添法臣 出演/宮野真守、上原歩、平田裕香、森久保祥太郎、杉田智和、甲斐田裕子、夢人(彩冷える)、ヒロシ、小山剛志、長沢美樹、斎賀みつき、勝杏里、大浦冬華、関智一、浪川大輔、藤原啓治、山寺宏一、内海賢二 配給/エバーグリーンプロジェクト 映画公開情報は公式サイト<http://www.wild-strawberry.com/movie/wonderful/>

●浪川大輔(なみかわ・だいすけ)
1976年4月2日生まれ。85年より「グループこまどり」に所属し、子役声優としてデビュー。以降洋画、アニメ、ゲームなど多数の作品に参加。アニメでは『君に届け』風早翔太役、『ヘタリア』シリーズのイタリア役といった話題作を主演する他、洋画吹き替えの現場でも、イライジャ・ウッド、レオナルド・ディカプリオの声を担当する人気男性声優。6月23日にはCDデビューも果たし、歌手としての活動もスタートする。

君に届け VOL.1

風早クンです。

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最終更新:2010/06/20 11:31
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