セレソンゲームをめぐる旅路も大団円!?　すべてが解き明かされる完結編ついに公開!!

大杉智役の江口拓也氏（左）と神山健治監督（右）。

　上映時間が「増しまし」になったため、当初に予定していた1月9日から3月13日へと公開が延期された『東のエデン 劇場版II Paradise Lost』。ロードショーに先立ち、3月4日に完成披露試写会と舞台挨拶が行われた。

　昨年4月から6月までフジテレビ「ノイタミナ」枠で放映されたテレビシリーズ『東のエデン』から足掛け一年。完結編となる今回の『劇場版II』は、前作『劇場版I The King of Eden』のラストシーンに続くシークエンスから始まる。

　「残金100憶円がセットされたノブレス携帯を使い、この国を正しい方向へ導く」任務を強制的に課せられた12人の日本代表が争うセレソンゲーム。次々にセレソンが脱落するなか、事態はNo.1物部大樹、No.2辻仁太郎、No.9滝沢朗、三つ巴による最終局面を迎えていた。

　ニューヨークから帰国した滝沢と咲は、逝去した内閣総理大臣・飯沼誠次郎の後援会員に空港で接触。滝沢は飯沼の別邸へ向かい、咲は子犬の「豆柴」を連れていた女性を探すべく別行動をとることになった。

(C)東のエデン製作委員会

　はたして滝沢は何者なのか。セレソンを選抜したゲームマスターのMr.OUTSIDE、セレソンゲームの進行管理兼”なんでも屋”を務めるジュイスの正体は？　東のエデン株式会社の面々は官憲に追い詰められつつも、滝沢、咲と協調して事件の解決を目指していく──。

　上映を終えて舞台挨拶に登壇したMCの江口拓也（大杉 智役）と神山健治監督は万雷の拍手で迎えられた。

──監督はテレビシリーズと劇場版を続けて手掛けられるのは初めてだったと思いますが、振り返ってみていかがでしたか？

「想像を絶する大変さでした。よく自分でも倒れなかったなと思うくらい。2009年の記憶がほとんどないにもかかわらず、体感としては09年は二年間くらいあった気がします」

──大杉（智）くんもそうなんですけど、平澤（一臣）がMr.OUTSIDEの正体に迫ったり、春日（晴男）とパンツ（板津豊）が一緒に行動していたり。『劇場版 I』に比べてそれぞれのキャラクターが活躍する場面が多かった。

「できれば最後に一人ひとり、見せ場を用意してあげたいなという思いがあり、ああいったシーンにしました」

(C)東のエデン製作委員会

──おネエがトレーラーをものすごい勢いで運転するシーンもありました。

「あれは女性スタッフにはウケがよかったですね。カッコイイ、男らしいな、と」

──一方、セレソンサイドでは物部と滝沢の会話に緊張感があって。物部は平気で人を、車で跳ね飛ばす男じゃないですか。その物部を相手に、何が起こるか分からない感じで。

「正攻法に出たというか。物部は会話とネゴシエーションですべてを解決してきたという自負がある男なので、滝沢を説得しようという意図があったのでしょう」

──（ジュイス関連に関するネタバレ質問のあと）

「いつも事前打ち合わせをしないで（声を）アテてもらうので、（ジュイス役の）玉川砂記子さんには”ほんとに監督はひどいです”って終わったあとに言われるんです。だけど、あまり強制してはよくないという思いと、たぶん（何も言わなくとも）こう演じてくれるんじゃないかなという思いで、わりとおまかせにはしているんです。ほぼイメージを外すことなく、毎回神業を披露していただきましたよね」

(C)東のエデン製作委員会

──ちなみに恋に破れた大杉くんなんですけど、彼は今後どうなるんですかね？

「僕のなかではですよ。『劇場版 II』の段階では、新しい彼女が出来つつあるというシナリオを書きかけていたんです。就職した大手スポーツメーカーの同僚で、空港に駆けつけたライトバンの助手席には、いっしょに営業に回るために出てきた女の子がいるという一行を書きかけて、やっぱり大杉くんにはひとり身でいてもらおうと。咲ちゃんを迎えに行くときにそれはヘンだろうということで、なくなったんですけど」

──そういうことがあったと分かっただけでもよかったです。

「どのキャラクターも大好きだし、演じている方々の顔が脚本を書くときにどうしても浮かんでしまうんですね。アフレコに来るときに幸せな気持ちになってもらいたいと思うし、ついサービス精神で書いてしまうんですけれども、今回は心を鬼にしました」

──最後に監督から、試写にお越しいただいた方々にご挨拶を。

「すごい反響を『劇場版 I』でいただき、一日も早くお届けできるよう、年末年始もなく作品に携わってきて、ようやくみなさんにお目にかけられる状態にまで持ってこられたことをうれしく思い、感激しています。『劇場版 II』の最初の目撃者になっていただけたことを本当に感謝しています。この作品にお集まりいただきまして、本当にありがとうございます」

　冷たい雨の下に劇場へ詰めかけた熱心な観客は、作品の内容と監督の裏話に満足しているようだった。

　なお『劇場版 I』のBlu-rayとDVDが、3月24日に発売されることが決定した。テレビシリーズを再構築した総集編ディスクや、オリジナルドラマCDが特典として付くという。公開となる『劇場版 II』とあわせ、『東のエデン』の全貌を知る材料となりそうだ。
（取材・文・写真＝後藤勝）

東のエデン 劇場版I The King of Eden DVDスタンダード・エディション

3月24日発売

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