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首都圏「食品や水は心配ない」スーパー・コンビニの品不足にメーカー回答

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 東日本大震災の影響で首都圏では"想定外"の食品不足が起きている。現在、スーパーやコンビニなどの棚から水やパン、ラーメンなど一部の食品がほぼ消える事態が頻発しているのだ。ところが品薄となった食品のメーカーに確認すると、その供給能力が極端に落ちたというワケではない様子。一部で「水道水が汚染されるから飲んではいけない」といった流言飛語やお騒がせメールなども飛び交うなか、人々の不安感が募り「万が一何かがあったら」と大量に買いだめする人々が増えているのが"食品消失"の主な原因となっているようなのだ。

 「すみません、もう売るものがほとんどないんです」

 都内は世田谷区内にある大手スーパー「SEIYU」の一店舗では14日、駐車場の入り口を閉め、ガードマンが訪れる顧客にこう説明して帰している。


 首都圏のスーパーやコンビニなどでは、11日の地震の直後から「水やラーメンなどを大量に買い込むお客さんがいた」(スーパー店員)という。そして後から来た消費者も、品薄となった棚を見て不安にかられることで「念のために」と買い込むことになり、さらに需給がひっ迫する悪循環に陥っているようなのだ。

 特に不足が目立つのは、非常用ともなる水やラーメン、パンなどだ。

 実際、スーパーで水を買いそびれた主婦は「知人から石油化学工場の火災や原子力発電所の爆発などで水道水が汚染されるから飲んではいけない、といった内容のメールが回ってきたりしています。それで、まさかとは思うけど、やっぱり心配なので、少し水を多めに買っておこうと思って来たのだけど......。でも皆さん同じこと考えているんですね」と話すと、違う店へと脚を向けた。

 そのうえ14日には、東京電力が計画停電に踏み切ったことなどを受け、昼間に店を閉める大手スーパーなども出始め、その結果、スーパー周辺の小売店やコンビニなどにも通常以上に人が流れて、地場の小さな食料品店などでも一部の品物が消えてしまった。

 水やパンが完全に売り切れていたコンビニで店長は、パンなどは地震の直後から「発注した品物が十分に入らなくなった」と語り、水やスポーツ飲料が消えた14日からは「残っていたお茶の類も急に売れ始めた」という。また今後も「うーん、次の入荷がいつになるか分からないんですよ」(店長)と苦笑した。

 だが、店内の棚がガラガラ状態で、出入り口で顧客の出入りの制限までしていた小規模な食品店で話を聞くと、意外な答えが返ってきた。

「いやぁ、うちの倉庫に品物は十分にあるし、新しい品物も入って来ている。ただ、お客さんが一時的に殺到し過ぎたんで、品物が補充できなかった。それで今、少し入店を待ってもらっているだけ。全然、心配ないですよ」

 そこで、多くの店から消えていた水、パン、ラーメンについて、それぞれの大手企業に供給能力の確認してみると、やはり大規模な生産停止などは起きていないようだ。

 飲料水の「天然水」で30%近いトップシェアを持つサントリーは、「天然水」を製造している山梨県の白州水工場について、「地震による被害はなく、生産が落ちているということはありません」(広報担当者)と断言。もちろん関西地方の工場にも問題はない。

 ただ、同社では自主的に東北を中心とした被災地に100万本の飲料水を送ることを決めるなど、他社も含めて被災地への供給が優先されている部分があるほか、地震のせいで「物流に多少混乱が出ている」(同)ことなどで、首都圏での流通に支障が出ている可能性は否定できないという。

 とは言え、水不足の一番要因は「この1日~2日、お客様がお店に殺到したことではないでしょうか」(同)とも話しており、基本的に生産能力が落ちているわけではないので、時間が経てば品不足は解消されると見るべきだろう。

 パンについては、製パン業界トップの山崎製パンに話を聞いた。すると、確かに被災地にある「仙台工場が停止している」(広報)という。ただし、仙台で作られたパンが流通していた「東北の販売店網もほぼ壊滅してしまった」(同)ため、反対に、それが首都圏の流通に影響する話ではないのだという。

 同社では、その他、東日本で地震が発生した金曜と土曜に操業を停止していた工場もあるともいうが、仙台を除けば、いずれも日曜以降、生産を再開している。

 このため、首都圏でのパン不足について「他社さんのことまでは分かりませんけど、供給能力の不足というよりも、お客様の買う量が増えていることの影響が大きいのではないでしょうか」(同)と話している。

 今後についても、被災地への出荷を優先することや計画停電の影響など不確定な要素があり、首都圏への供給が「減ることも考えられなくない」とはいうのだが、やはり根本的に生産能力が失われたわけではないので、多少の混乱はあっても品不足はいずれ収まると見るべきだろう。

 一方、即席めん最大手の日清食品では、国内にある4つの工場のうち、茨城県の取手市にある関東工場が、地震の被害で生産を停止しているという。

 また、東北から関東の各地にある倉庫や物流の拠点で「商品の荷崩れや水没などがあったことで供給が減少したところもありました」(広報担当者)ともいう。

 関東工場については、今週半ばから来週の操業再開を目指して「復旧作業を進めています」(同)という状況だ。

 確かに即席めんの国内シェアで約40%を誇る同社の主力工場の一つが停止すれば、その影響は小さくはないのかもしれない。だが、国内の即席めんメーカーは数多く、すべてのメーカーの即席めんが売り切れるのは消費者の買いだめのせいとみるべきで、日清食品の生産量も近々には戻る見通しだ。

 気象庁がマグニチュード7.0クラスの余震への警戒を訴え、福島の原発事故も収束のするメドが立たない今、確かに「備えあれば憂いなし」と食品を買いだめする心理も分からなくはない。しかし、こうした非常事態だからこそ譲り合いの精神も必要だろう。

 未曾有の事態に、どこかの業者が買占めでもしている可能性なども含め、食品流通の混乱はしばらく続くのだろう。そして、こうした状況を早期に改善する大きな要素は、一人ひとりが過度な買いだめを控えることと思われるのだが......。

世界がもし100人の村だったら

誰かのことを考える余裕を。

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最終更新:2011/04/11 17:11
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