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元祖聖地巡礼の旅【3】

無人駅で孤独に過ごすぜいたくな一夜 鉄道旅行の至高の楽しみ方

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 旅行はしたいけれど、カネはない。時間はやりくり次第でなんとかなるかもしれないが、移動にも3度の食事にもカネがかかるもの。とくに無駄に感じるのは宿代である。露天風呂を楽しむとか、上げ膳据え膳で豪華な食事に舌鼓を打つのでなければ、寝るためだけに宿代を支払うのは無駄だ。

 そこで挑戦してみたいのがSTB(station bivouac/ステーション・ビバーク)、すなわち、駅寝である。今回、飯田線沿線を旅することになった筆者は、最初から駅寝を前提に旅行計画を作成。途中でくじけないよう、財布の中には2万円だけ。東京駅で「青春18きっぷ」を購入したので、列車に乗ったときにはすでに残金は8,500円。駅寝前提ならば、これくらいで旅の資金は十分なのだ。

 正直なところ、最近では駅寝をする人の姿を見かけることは少なくなった。インターネットで簡単に宿を探せるようになり、うまくいけば3,000円台の宿も見つけられるようになったからだろう。それに、終電近くまで乗り降りがある街に近い駅だと、自分が不審人物に間違われたり、危険な目に遭う可能性もある。筆者も、山形県の某駅で寝ていたら、ロータリーは暴走族のたまり場だったらしく、恐怖に震えたことも。

 というわけで、まずは駅寝を愛好する人々に伝わる「STB憲章」を復唱して筆を進めていこう。

1 われわれは旅を愛し、旅の原点の「ビバーク」を愛する。

2 駅泊を旨とするが、1宿の義理は欠かさないつもりだ。「最終列車が 出るまで寝ない」「駅舎内で火は使わない」「始発列車が入るまでに去る」「ゴミはきちんとかたづける」。

3 そして人との「出会い」をたいせつにする。

■秘境駅で夜を過ごしたいのは俺だけじゃなかった

 さて、まず1泊目の宿に選んだのは、飯田線の秘境駅として名高いA駅(どの駅かは、空気を読んでね)である。最終電車を降りるときは、まさか誰も降りないだろうと思っていたが、なんと筆者のほかに2人も下車する人影が。先に駅舎に入った2人は早速、長椅子のあたりを確保していたので、まずはこちらからにこやかにあいさつ。お互いに「あれは何者だろう……」と不審な視線を送り合いながら一晩を過ごすのは、よい気分じゃない。大学生風の2人は友人同士のようで、なぜか手に持っていたスーパーの袋からはネギが飛び出していた。偶然出会った人とはあまり交流したくなさそうな雰囲気だったので、こちらからは積極的に話しかけないことにした。2人も気を遣っているのか、こちらが荷物を広げている間に、ホームの端まで移動して酒盛りを始めた。

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