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生活保護を取り巻く受給者バッシング――“ナマポ”は本当に悪なのか!?

 また、水際作戦には、別の側面からの問題点も指摘されている。元ケースワーカーの大山典宏氏は『生活保護 vs ワーキングプア』(PHP新書)でこう語る。「多くの人たちは『壊れる』という形で生活保護のネットに救われることとなります。厳しい労働条件の仕事でぼろぼろになるまで傷つき、家族関係の葛藤に悩まされ、心の病―うつ病―になって初めて生活保護の対象になるのです。(中略)皮肉なことに、水際作戦を展開すればするほど、壊れる若者を増やして生活保護からの自立を難しくしているのです」

 生活保護を取り巻く問題は、これらの「受給者バッシング」と「行き過ぎた水際作戦」の間を揺れている。報道される際も、この両極端の問題にのみフォーカスが当たることが多いものの、それは生活保護の一部の姿でしかない。あくまで本質はその中間にある。「生活保護は、働ける可能性のある人たちにとって、もう一度労働市場へ復帰するためのトランポリンのような存在であるべきです」と岩田氏は解説する。

■生活保護がなくなったら……

 「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と憲法第25条に記されている通り、生活保護は国民として当然の権利。

「生活保護は国民の最後のセーフティネットなのです。これ以下の生活に堕ちることは、誰にとっても好ましくないという基準を示しています」(岩田氏)

 しかし、国の予算がひっ迫する中、生活保護の総支給額は増加の一途をたどるばかり。このまま増え続ければ、受給者一人当たりの受給額を減額しなければならないのだろうか。

「生活保護総額の増大は、貧困の増大を背景としています。貧困を減少させないと、生活保護水準を下げても問題は解決しません。とくに強調したいのは、生活保護基準を下げると、最低賃金の基準も下がってしまうことです」(岩田氏)

 ワーキングプアが生活保護受給者に嫉妬の視線を向けることが、最低賃金引き下げという形で当のワーキングプアたちにも跳ね返る。あたかも「貧困スパイラル」と形容されそうな状況で得をするのは、カネを握っている国や大企業だ。しかし、不況が続く日本では、生活保護制度そのものが立ち行かなくなってしまう可能性もある。どうすれば、無理なくこの制度を存続することができるのだろうか?


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