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アジア・ポップカルチャーNOW!【vol.27】

“田名網チルドレン”続々……アジア各地で熱烈支持されるサイケデリック・マスター

EccentricT_paper_T32.jpgTanaami Tee x 100展より (c)Keiichi Tanaami
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 これまでも、ポール・スミス、モンクレール、ルシアン・ペラフィネなど、名だたるファッションブランドとのコラボレーションを果たしてきた田名網だが、彼にとってTシャツは、あるときは反体制のシンボルでもあり、エロティックな対象でもあったという。自身がTシャツに長年抱いてきた憧れや思いの丈が、この展覧会に結実した形だ。

 その実、本人は「生まれてから一度もTシャツを着たことがない」という。

「でも、人が自分のデザインしたTシャツを着るところを想像すると、興奮します。Tシャツの中に生身の肉体が滑り込む一瞬を想像すると、すごくエロティックですね」(田名網氏)

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 Tシャツの上で2次元で表現されたグラフィックが、身体にまとわれることにより、3次元の彫刻となる。そして、Tシャツが、身体の動きや鼓動と一体化するときが、アートとして最高潮に達する瞬間なのだという。「Tシャツ=アート」の、田名網らしい、エキセントリックな定義だ。

 この展覧会が発表されたとき、アジア各地のクリエイターたちが喝采した。「Tシャツという“アート”が街に出たとき、誰もが楽しめるものになる」という、明快でハッピーなコンセプトは、アートやデザイン、ファッションを切り離すのではなく、逆にボーダーを超えて活動する多くのアジアのアーティストたちにこそ、もしかすると深く共有されているのかもしれない。

 6月末には、上海のギャラリーに招かれ、彼の地では初めての大型個展が予定されている。先のTシャツ展も、すでに上海、シンガポール、香港など、アジア各地から巡回のラブコールがかかり、各国の「田名網チルドレン」がその開催を熱望しているという。今やアジア全域に広がり、しっかりとその根を伸ばしている田名網敬一というDNA。それがこの先、どんな形に結実するのか。想像するだけでわくわくしてくる。
(取材・文=中西多香[ASHU])

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●たなあみ・けいいち
1936年東京生まれ。武蔵野美術大学デザイン科卒。1991年より京都造形芸術大学教授を務める。1960年代から、メディアやジャンルの境界を横断して精力的な創作活動を続けている。伝説的ロックバンド「モンキーズ」や「ジェファーソン・エアプレイン」のアルバムジャケットに作品を提供するなど、日本におけるサイケデリックアート、ポップアートの先駆けとして語られる一方で、今日の現代美術における「アートとデザイン」「アートと商品」「日常と美の関係」といった主要な問題に挑戦を続けてきた先覚者としても再評価が進む。

●「Tanaami Tee x 100」展
6月8日まで、南青山のvalveat81で開催中。見てよし、着てよし、贈り物にもよし。サイケデリック・ガーデンに100点の花(Tシャツ)が咲き乱れるさまを、ぜひ体感してほしい。作品は、ウェブでも購入可能 (http://contrarede.com/bleed/)。

なかにし・たか
アジアのデザイナー、アーティストの日本におけるマネジメント、プロデュースを行なう「ASHU」代表。日本のクリエーターをアジア各国に紹介するプロジェクトにも従事している。著書に『香港特別藝術区』(技術評論社)がある。<http://www.ashu-nk.com >
オンラインTシャツオンデマンド「Tee Party」<http://teeparty.jp/ashu/>

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