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元木昌彦の「週刊誌スクープ大賞」第139回

紳助の次はエリカ様! ‟2011年下半期週刊誌売上No.1”文春のスクープ力

motoki0528.jpg「週刊文春」5月31日号 中吊り広告より

第1位
「沢尻エリカは大麻中毒 決定的証拠公開」(「週刊文春」5月31日号)

第2位
「6億円を集めて逃げた『慶大生』の華麗な生活」(「週刊新潮」5月31日号)

第3位
「現地ルポ 大阪市イレズミ職員が『橋下市長、西成で便所掃除せんかい!』」(「週刊文春」5月31日号)

 このところ週刊朝日が元気がない。タイトルを見ても、読んでみようかと思わせる迫力に欠けるのだ。「橋下徹 選挙戦略の全貌」「切り札は『ミスター年金』長妻昭元厚労相」「トヨタVS.パナソニック」「全国医療機関 漢方が処方できる1721」と並んでいるが、すべて体言止めなのでおとなしくてリズム感がない。

 朝日ほどではないが、週刊現代にも一時のワクワク感が薄れてきている。世界金融恐慌が始まる、橋下徹と野田佳彦の比較、皇太子に後を任す天皇の不安、生活保護問題などいろいろ取りそろえてはいるが「今週のこの一本」が見当たらない。

 現代は文春、新潮のようにスキャンダルを積極的に狙う週刊誌ではない。私が現代の編集現場にいる頃、先輩から「うちはスクープはいらない」と言われたことがある。

 なぜなら、現代は「サラリーマンの週刊誌」を謳い文句にして、毎週のように「コンピュータを知らないと出世に遅れる」「同期より早く出世するための10のノウハウ」と、出世こそサラリーマンのすべてであるという記事づくりで、文春、新潮を部数で圧倒していたからだ。

 出世のほか、サイドビジネスのやり方や株情報、それに風俗情報を加えて「色・カネ・出世」こそサラリーマン最大の関心事であるという何十年一日の誌面づくりで、後発の週刊ポストと首位争いを繰り広げていたのである。

 しかし、私が編集長になった1990年前半にはバブルが弾け、出世はもちろん年功序列や終身雇用までも危うくなってきて、それまでのような誌面づくりでは読者を獲得できなくなっていた。

 そこで、ない知恵を絞ってサラリーマンの「不安」に寄り添う週刊現代などと謳ってみたり、小沢一郎批判キャンペーン、果ては苦し紛れに「ヘア・ヌード」なる言葉をひねり出し、なんとか部数を右肩上がりにすることができた。

 私が編集長の時よりも、今の編集長たちはもっと悩んでいることだろう。被災された方には失礼な言い方になるが、東日本大震災は週刊誌にとって追い風になった。

 その後、島田紳助突然の引退もあり、昨年後半、大方の週刊誌は前年と比べて部数を伸ばした。

 2011年の下半期(7~12月)の部数調査(ABCランキング)が発表された。文春は約49万部で前期比103.24%とトップを維持し、週刊現代は約43万部で伸び率は112.7%と文春より大きかった。

 3位が週刊新潮で約39万部で前年比101.45%。週刊ポストは110.31%と伸ばしてはいるが約33万部と、3誌に水をあけられている。

 ちなみにフライデーは約19万部、前年比103.51%。週刊アサヒ芸能は前年比を122.62%と大きく伸ばして約12万部。

 だが、週刊朝日は約13万部で前年比89.31%、サンデー毎日も約7万部で前年比86.8%と大きく部数を落としている。

 こうした追い風は今年に入ってやんで、各誌とも部数的に苦しんでいるようだ。現代を劇的に伸ばした鈴木章一編集長が交替する。再び冬の時代に入りかけた週刊誌だが、どこが斬新な企画やスクープで驚かせてくれるのか、注目したい。

 さて、先週に続いて今週も文春の元気のよさが目立つている。

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