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元木昌彦の「週刊誌スクープ大賞」第139回

紳助の次はエリカ様! ‟2011年下半期週刊誌売上No.1”文春のスクープ力

 私には過大評価だと思わざるを得ないが、橋下徹大阪市長への期待が高まっていることは間違いないようだ。

 現代は政治担当の記者50人に野田と橋下を比較させ、どちらが総理に適任かというアンケートをとっているが、橋下支持が23人、野田が20人、どちらでもないが7人だそうである。

 これだけ見ると、現職で消費税増税や震災復興、原発再稼働で批判が強まっている野田首相が意外に健闘しているように思える。

 文春の記事は国政から遠くはなれて、橋下市長が前代未聞のイレズミ調査をして、100人超の「イレズミ職員」を炙り出したが、その多く(110人のうち73人)が働く環境局の「イレズミ職員」にインタビューしている。

 環境局はゴミ収集のほかに焼却・破砕工場、斎場や霊園、し尿処理や公衆トイレの管理などに就いている、典型的な3K職場である。

 イレズミというと暴力団のイメージが強く、そこに働いている人たちが肩身の狭い思いをしているようだ。

 だが、この職員がイレズミを入れた動機はこうだ。

「若気の至りで、学生時代にアートタトゥーを入れました。他にもサーフィンをやっているような職員で何人かは知っています」

 環境局の職員はケガを防止するため、真夏でも長袖長ズボンを義務付けられている。そのため、人目に触れることはないという。だが、橋下市長のやり方には我慢ならないと憤る。

「職員同士でチンコロ(密告)合戦させてるようなもんでしょ。市民の視線も職場の雰囲気も最悪です。(中略)公務員を敵に仕立て上げて英雄を気取る手法はいい加減うんざりです」

 年寄りの家に一軒一軒ゴミをとりに行くサービスが、橋下市長によれば過剰サービスだというが、

「ゴミ出すのもしんどい足腰悪いお年寄りもおるんですわ。家の中まで入って『おじいちゃん大丈夫か』と声をかけてね。実際、中に入ったらおばあちゃんが倒れててあわてて救急車呼んで、その間に救命措置をして一命を取り留めたこともあったんです」

 60代前半の元環境局職員が、昔はし尿汲み取りの業者がそのまま市の職員に採用されたことがあり、し尿汲み取りというのは西成の飛田に本拠地がある酒梅組の資金源だったために、準構成員の若い衆が市の職員になった時期があったという。だが、今はそのほとんどがいなくなっている。

 件のイレズミ職員は、西成の公衆便所掃除の汚さや苦労を語っている。中でもあいりん地区と呼ばれる旧釜ヶ崎を抱える西成には飛田新地という遊郭も現存し、暴力団事務所も星の数ほどある。

 橋下市長はここを免税特区にして子育て世帯を呼び込む活性策をブチ上げているが、イレズミ職員はこう言う。

「(橋下市長は)子どもが七人もおるんやから、家族を連れて西成区に引っ越してくるべきでしょう。そして、私らと一緒に西成の公衆便所掃除してほしいわ」

 現場を知らず、思いつきだけでコロコロ変わる「政策」を打ち出す橋下市長への痛烈な批判である。

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