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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.177

毒カレー、オウム真理教、光市母子殺害……“悪魔の弁護人”と呼ばれる男の素顔『死刑弁護人』

shikei_bengonin1.jpg極悪人を擁護する人でなし、鬼畜弁護士……と激しいバッシングを浴びる
安田好弘弁護士。「マスコミは人を痛めつけることが多い」と
マスコミを毛嫌いする。(c)東海テレビ放送

 悪魔の弁護人。マスコミは弁護士・安田好弘のことをこう呼ぶ。「オウム真理教事件」の麻原彰晃、「和歌山毒カレー事件」の林眞須美、「光市母子殺害事件」の元少年……。どれも安田弁護士が担当している死刑事件だ。マスコミや世間は、凶悪事件の弁護を請け負う安田弁護士のことを猛烈にバッシングする。それでも彼は法廷に向かう。刑事事件、しかも死刑事件を引き受ける弁護士はそうそういないからだ。裁判に勝つ見込みは限りなく少なく、国選でない場合は身銭を切ることがほとんど。ではなぜ、安田弁護士は極悪人とされる被告人たちの弁護を続けるのか? その真相に迫ったのが、ドキュメンタリー映画『死刑弁護人』だ。マスコミぎらいで知られる安田弁護士の密着取材に成功したのは、東海テレビの齊藤潤一ディレクター。戸塚ヨットスクールの戸塚宏校長を追った『平成ジレンマ』(10)に続いて、齊藤ディレクターが再びバッシングの渦中の人物をクローズアップした、ローカル局発の問題提起作となっている。

 1998年に4人の死者を出した「和歌山毒カレー事件」。夏祭りに提供されたカレーの中から大量のヒ素が見つかり、カレー鍋の近くにいた林眞須美に疑いが向けられた。林眞須美はヒ素を使った保険金詐欺の常習犯だった。マスコミの報道は連日過熱し、マスコミに突き動かされる形で警察は逮捕に踏み切った。留置中の林眞須美は故三浦和義を介して安田弁護士に助けを求める。このときの安田弁護士が弁護を引き受けた理由は明快。「林眞須美はこれまで保険金詐欺で稼いできた。だから、一銭の得にもならないことをやるとは思えない」と安田弁護士は語る。だが、最高裁は直接証拠や犯行の動機が見つからないまま、林眞須美に死刑を宣告する。

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