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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.197

この“明るいヘンタイ”っぷりがいいんじゃない!? 会田誠のアートなエロス『駄作の中にだけ俺がいる』

dasaku_2.jpg会田誠の名前を世に知らしめた代表作。
《巨大フジ隊員VS キングギドラ》1993 年
アクリル絵具、アセテート・フィルム 310 × 410cm 高橋コレクション蔵、東京 
Courtesy: Mizuma Art Gallery

 やがて会田少年は新聞広告の切り抜きを使ったコラージュでは満足できなくなり、顔写真だけを参考にして丸ごとヌードイラストを描くようになる。これならポージングも自由自在である。射精のために自分の妄想を写生した。性欲の高まりと共に、会田少年の描写力はみるみるうちに上達した。会田誠というアーティストは自分のリビドーにとても正直な人であることが、少年期のエピソードから伺える。ヌードモデルにほしのあすかを起用した『少女ポーズ大全』(コスミック出版)という美術教本が2011年に発刊されているが、会田誠が監修・構成を務めている。美少女曼荼羅絵図を思わせるこの『少女ポーズ大全』も実用性と芸術性が両立する素晴らしい内容だ。会田誠は信頼に値する芸術家だと断言できる。

 『駄作の中に−』では会田誠と小中高校と一緒だった友人が、少年期の会田について証言する。会田の新作「灰色の山」のモデルも務める会田作品のよき理解者であるその友人によると、会田は小学生の頃からかなり個性的だったそうだ。スカートめくりが小学生の頃に流行っていたが、会田少年は何と大胆にも仰向けで寝た状態のまま床をズルズルッとスライドして女の子のスカートの下にひょいと顔を突っ込んでいたという。これはすごい。自分のリビドーに正直すぎる。会田自身も自分の少年期を振り返るが、今でいうADHDだったとのこと。注意力散漫で、思い付いたことにすぐ熱中する代わりに飽きっぽい、いわゆる問題児だった。まぁ、当時はADHDなんて小難しい用語もなく、集団生活を送るに難のある困ったガキと周囲から認識される程度で済んでいたらしい。

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