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野村総研、社員によるワイセツ被害女性を“逆に”訴えた恫喝訴訟で実質上の全面敗訴

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。

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野村総研、社員によるワイセツ被害女性を“逆に”訴えた恫喝訴訟で実質上の全面敗訴 – Business Journal(2月1日)

「Thinkstock」より

「ブラック企業アナリスト」として、テレビ番組『さんまのホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、「週刊SPA!」(扶桑社)などでもお馴染みの新田龍氏。計100社以上の人事/採用戦略に携わり、あらゆる企業の裏の裏まで知り尽くした新田氏が、ほかでは書けない、「あの企業の裏側」を暴く!

 日本を代表するシンクタンク・株式会社野村総合研究所(以下、野村総研)の幹部が、2007年12月に取引先の女性営業担当者に強制わいせつ行為を働いたとされる、いわゆる「野村総研強制わいせつ事件」。野村総研がわいせつ行為の被害者へ起こしていた民事裁判は、同社が無条件で訴えのすべてを取り下げ、実質上の同社全面敗訴となり終了した。今後は、同社の被害者の支援活動をしている人に関する裁判が残るのみだが、これも同社は裁判所から「いい加減まともに前提を立証(証明)しなさい」と言われている内容すらも立証できずにおり、見通しは暗い。

 概要としては、野村総研の上海支社副総経理(当時、日本の副社長に相当)のY氏が、取引候補先の女性社員を誘い出し、酒を飲ませ酔わせて、帰路に就く女性のタクシーに乗り込んできて、女性が家に着くとY氏が上がりこんで抱きつき、キスまで迫った事件。

 この女性は必死に抵抗したためにそれ以上の被害は免れたものの、ほかにも上海の大学で開催されたミスキャンパスのイベントに際し、Y氏は野村総研と三菱商事が共同出資するグループ企業「iVision Shanghai(アイビジョン上海)」(中村柔剛総経理代理:当時)を通じ、同社会計からの協賛金の拠出やイベント用ウェブサイトの無償構築をイベント主催企業社長へ打診。その見返りに、イベントプログラムの中に水着撮影コーナーを設けることを提案し、Y氏自らがカメラマンとして参加。さらにコンテストに参加した女子大生らを、Y氏個人の旅行に同伴させていたという。

 この事態を知った野村総研は、「Yは恋愛と思ってやった、ミスキャンパスは手伝おうと思ってやったことだ」と主張してY氏になんの処分もしないことを決定し、さらにY氏を被害者女性たちの近辺に配置しない要求についても拒絶。そしてY氏自身は被害者女性たちが求める謝罪も、本人たちに近づかないという誓約も拒絶し続けている。

 その後Y氏は、JALや東方航空の客室乗務員、他社の女性社員へ、意識を失わせた上で性行為や強制わいせつ行為を行っていた疑惑が発覚。さらに上海でY氏が無免許の飲食店舗を経営し違法操業を行わせている事実、マカオにてY氏とアイビジョン社のメンバーとで集団買春を行っているなどの、公序良俗に反する事実も発覚した。その証拠を押さえられて通知をされた野村総研は、今度はなんら十分な証拠もなく、被害者女性までを民事裁判で訴え、「法人の精神的苦痛」として1000万円以上もの巨額の金銭を個人に要求したのが、この野村総研の裁判だ。そのため、当初から本裁判は「被害者個人を黙らせるための恫喝目的である」という見方が大半を占めた。

●スーパーフリーが使った恫喝訴訟と同じ手口

 このような恫喝のために裁判の権利を悪用する手口は「恫喝訴訟(SLAPP)」と呼ばれ、日本では早稲田大学の学生を中心としたレイプサークル「スーパーフリー」が行っていたので有名となった手口である。

 性犯罪のような犯罪は「親告罪」といって、被害者が訴えないと犯罪として立件できない。そこで性犯罪者側は民事裁判制度を悪用して、被害者が親告するのを妨害するのだ。具体的には、

・立場の弱い個人の被害者に対し、「性犯罪など事実無根で、名誉棄損だ」と逆に訴える
・「名誉棄損の賠償金」名目で、法外で巨額な金銭請求などを行う
・裁判になると、被害者の個人情報も公開されることになるため、被害者個人に精神的な苦痛を与える
・裁判を長期化させて、被害者に弁護士費用の負担をかけさせ、経済的に苦しめる

と、被害者にとっては実に都合が悪い手口なのである。しかも、このように民事裁判が長引いてしまうと、警察も検察も民事裁判の結論が出るまでは動きにくくなるため、刑事事件として立件に至るまで時間稼ぎができることになる。また裁判所では裁判官が多忙であるために判決を書くのを嫌がることが多く、被害者にも和解を求めてくるケースが多いため、それを利用して和解の成立を狙い、親告罪が成立しないようにする効果もあるのだ。

 野村総研による今回の訴訟は、どう見られるべきものなのだろうか? 都内の弁護士に聞いた。

「訴訟資料を確認しましたが、こんなまともな根拠が何もない内容で、野村総研は被害者に対して提訴までしており驚きました。そして、野村総研は無条件で訴えを取り下げていますが、これは実質的に完全敗訴です。和解もせずに取り下げることは、訴えに理由が認められず、この裁判で勝てる見込みがまったくないことを自ら認めたと言ってよいでしょう。裁判経緯を見ると、野村総研側は全面敗訴が予想される中で、その判決を受けるのが嫌で、訴えの取り下げをして逃げたのだと思います」

●野村総研は謝罪、防止策を一切拒否

 野村総研はこれまで、

「恫喝訴訟などではないのは明らか」
「原告(野村総研)の主張が認められるのは明らか」

だと、担当している弁護士4名を通じて裁判書面でも強硬に主張していたが、そこまでしたにもかかわらず、結局、無条件全面取り下げによる実質上の全面敗訴となったのだから、もはや恫喝目的の訴訟だといわれても仕方がないだろう。

 訴えを取り下げた上で、被害者側への謝罪と犯罪的行為の防止措置をとっているというなら、野村総研の行為は企業としてのモラルがあるようにとれるが、取材した結果、野村総研は現在も被害者側への謝罪を拒絶したままであり、さらにY氏の処分も被害防止のための異動も拒絶し続けたままだという。

 この裁判における、野村総研側の対応は、ひどいものだった。同社側は当初より「事実と違う」と述べており、被害者に対して巨額の「損害賠償金」を請求していたわけだが、その「事実無根であることの証明」も、「損害の立証」も、まったくできていなかった。さらに同社側は「相手(被害女性)がもう反論しないというなら、われわれの主張を書面で出す」という、後で嘘が露呈して弾劾されることを怖がった主張をしてきた。それも裁判所に認められず、提訴から約1年もたった2012年4月16日にようやく出してきた主張書面で、今度は被害額については「野村総研という法人の精神的損害なのだから立証の必要はない」という主旨の主張を行ってきたのだ。

 法人の精神的苦痛といっても、その相場はせいぜい数十万円の前半であり、1000万円以上の請求とはいかにも法外な金額だ。野村総研の担当弁護士たちは日本4大法律事務所の一角、森・濱田松本法律事務所に所属しており、相場を知らないはずがない。この、故意に不当な請求をしている問題もクローズアップされ、本サイトでも報じている。

 すると報道を受けて慌てたのか、野村総研は今度は2012年7月2日付で人事部のT氏の陳述書として「実は精神的苦痛だけではなく、野村ホールディングスやIYホールディングスがかけられた実損の損害だ、さらにインターネット上の書き込みの調査・監視を強いられたから、その費用を被害者に請求しているのだ」という主旨の主張を行ってきたのだ。

●まともな証拠がない

 これについて、本資料を確認した都内の弁護士はあきれて言う。

「裁判で実損を請求して認められるには、違法性だけではなく、その損害の発生や因果関係、金額算定根拠を立証しなければいけません。しかし、本件では性犯罪者側が被害者側に対して損害賠償を求めており、そもそも違法性はもちろん、損害の発生も因果関係も何もまともな証拠がないのであって、こんな請求が認められるわけがないでしょう」

 挙げ句に野村総研がネットの監視を勝手にしていると主張して、その費用を請求しているのだから、もはや笑い話のレベルといえる。

 この裁判の弁護士は、森・濱田松本法律事務所の労働法とM&A専門のパートナー弁護士である高谷知佐子、上村哲史、山内洋嗣、増田雅史弁護士の合計4名の弁護団。ちなみにこの高谷弁護士は、オリンパス社で内部告発したことがきっかけで、不当な人事配置による報復をされたとした社員が同社と争った裁判で、オリンパス側の代理人となり、最高裁で全面敗訴となった弁護士だ(2011年8月31日東京高裁判決等)。その後、2012年1月27日、東京弁護士会はオリンパスに対して人権侵害警告を行っている。

 その同じ弁護士が今度は野村総研の代理人としても、法外な請求を被害者に行った挙げ句、実質上の全面敗訴が確定したのだから、痛い黒星となっただろう。現在、高谷弁護士は、市民団体から懲戒請求も出されている

 本裁判結果について野村総研に取材し、被害者側への謝罪をしたのかも含め文書で取材依頼を送付したが、期日までに回答はなかった。

 また、野村総研が本裁判で「被害を与えられた」と実損を主張している野村ホールディングスやIYホールディングスには、今回の同社の実質上の全面敗訴を伝えた上で、同社に対し不適切な行為を慎むように何か対応をされるのか、もしくはされたのかについて文書で取材を申し入れたが、両社からも期日までに回答は得られなかった。

 大企業が個人に恫喝訴訟を行った挙げ句、その手口の実態が露呈し、実質上の全面敗訴が確定した本裁判では、今後の展開と野村グループ各社の対応に注目が集まっており、本サイトでも続報予定である。
(文=新田 龍/ヴィベアータ代表取締役 ブラック企業アナリスト)

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最終更新:2013/02/27 07:00
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