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ラジオ批評「逆にラジオ」第20回

ふとした思いつきをねじれた笑いに変える、短絡思考の魔術『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』

ogiyahagiradio.jpg『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』

しゃべりと笑いと音楽があふれる“少数派”メディアの魅力を再発掘! ラジオ好きライターが贈る、必聴ラジオコラム。

 あの柔らかな物腰の語り口に騙されてはいけない。メガネが2人並んでるからといって、安易に信用したり説得力を感じてる場合じゃない。むしろその信用ならない安直な物言いこそが、いま最も信用できるねじれた笑いを生み出している。『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』(TBSラジオ 毎週木曜深夜1:00~3:00)とは、シンプルな入口から招き入れた聴衆を、複雑怪奇な出口へと誘う魔性のラジオ番組である。

 まず何よりもおぎやはぎ最大の魅力は、そのあまりに純度の高い「短絡思考」にある。「短絡」というと聞こえが悪いかもしれないが、笑いが一般的な価値観を壊す機能を持つ以上、短絡的な発想はその強力な武器になり得る。たとえば、世にばっこする変態おじさんを「変なおじさん」と名付けキャラクター化した志村けんも、タモリに「昼メガネ」とあえて表層イメージのみであだ名をつける有吉弘行も、そのまんますぎて誰も通れなかった道を発見し、それを勇気を持って提示することで破壊的な笑いを生み出してきた。

 そもそもが、小木と矢作で「おぎやはぎ」である。コンビ名からしてそのスタンスは徹底されている。そんな彼らの担当する番組名が、2人ともメガネをかけているから『メガネびいき』である。ちなみに小木は、ちょうど奈歩夫人との熱愛発覚直後に始まったこの番組の第1回で「結婚すべきか否か」をリスナーに問い、「結婚したほうが(奥さん以外の女性に)モテる」という意見に心を揺さぶられて結婚したと公言している。もちろんそこまで単純な話ではないだろうし、実際に結婚してみたら思ったほどモテなかったと嘆いてもいるのだが、放送第2回で早速入籍を発表するというスピード感も含め、聴き手としてはあまりの早計さに衝撃を受けつつ、グッと心を掴まれた記憶がある。

 ほかにもAKB48に対する発言など、主に小木の率直すぎる物言いが話題になりがちな番組ではあるが、一方でスペシャルウィークにおける斬新な企画の数々も、この番組の大きな魅力である。

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