深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.230
聞け、“泡沫候補”と呼ばれる男の魂の叫びを! 闘う父親たちのエレジー『立候補』『選挙2』
2013/07/03 21:00
#映画 #選挙 #パンドラ映画館
京大卒、伊藤忠勤務を経て貿易会社設立という経歴を持つマック赤坂。大阪府民をスマイルにするために府知事選に出馬する。『立候補』より。
世間から嘲笑されても、マスコミから無視されても、巨大な組織を相手に無謀な闘いを挑む男たちがいる。“泡沫候補”と呼ばれる人々だ。彼らは本気〈マジ〉だ。負けるとわかっていても、彼らはリングへと向かう。闘わなくてはならない、どうしようもない何かに突き動かされているらしい。その何かとは何か? ドキュメンタリー映画『立候補』(現在公開中)と『選挙2』(7月6日より公開)は政党に組みすることなく、自分の信念に従って猪突猛進する現代のドンキホーテたちの姿をそれぞれ追っている。
「結局、選挙では何も変わらないんだよ!」「所詮、選挙は多数派たちのお祭りに過ぎないッ」。YouTubeの画面の中で外山恒一はそう叫ぶ。山口県在住の藤岡利充監督による初めてのドキュメンタリー映画『立候補』は、外山恒一、羽柴誠三秀吉、マック赤坂ら、いわゆる泡沫候補たちを題材にしたものだ。2011年の大阪府知事選の様子を中心にカメラは収めていく。天下分け目の大阪の陣だというのに、何かが足りない。そう、羽柴誠三秀吉の姿がないのだ。カメラは青森へと飛び、彼が病床にあることを伝える。肺ガンらしい。それでも出馬しようとするのを、周囲が懸命になだめた。泡沫候補にとって選挙は遊びではない。高額な供託金と共に、自分の命をも賭けた真剣勝負の場であることが分かる。羽柴誠三秀吉不在の中、府知事選の候補者たちがそれぞれの選挙活動を始めるが、カメラは次第にひとりの男をクローズアップしていく。スマイル党の党首・マック赤坂である。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
17:20更新
イチオシ記事
Netflixが『地面師たち』の大根仁監督を「独占契約」、日テレ元Pが語る民放ドラマの展望とネトフリの巧妙な“戦略”