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『深海生物―奇妙で楽しいいきもの』発売記念インタビュー

「深海生物はギャンブル!?」“海の手配師”が語る、深海生物の魅力と気になるお値段

石垣 深海では8割の生物が発光します。ハダカイワシの仲間が生息しているのは、とても暗い環境なのですが、わずかに届くかすかな光が影を作り、ほかの生き物から標的とされる危険性がある。ですから、影を消すために発光をするんです。ギンオビイカという面白い生物がいます。発光するエビを食べて、外敵から狙われた時に、墨ではなく発光液を吐き出すんです。

_MG_8203.jpgギンオビイカ

 ギンオビイカの生きている写真は、この本で初めて登場しました。これまでイラストや標本はあったんですが、イカなので死ぬと真っ白になってしまう。だから、こんなにギラギラ光るギンオビイカは、ほかの本では見ることができないんです! 生きている状態は、こんなに美しいんですよ。

――「生きている状態」に対して、石垣さんはとてもこだわっていますね。

石垣 深海水族館の使命は、生きた状態で来館者に見てもらうこと。特に深海生物が生きている状態を見るチャンスは少ないのですが、やはり、生きている状態は格別です。フジクジラという生き物は、死んだら真っ黒になってしまうんですが、生きている時は背中が鮮やかな藤色。これを泳がせている水族館は、今までもなかったですからね。

 あとは、このユメカサゴを見てください。唐揚げとして食べられているんですが、生きている時はこんなに美しい目の輝きなんです。この目が夢を見ているように見えるから、ユメカサゴという名前なんですよ。

_MG_9341.jpgユメカサゴ

――ロマンチックですね~。

石垣 生きている時の一番いい状態を、この本でも、水族館でも見せたいんです。

――そもそも、深海をメインにした水族館って、「沼津港深海水族館」のほかにあるのでしょうか?

石垣 ありません。水槽内では、長期間飼育しておくことが難しく、常に生きている状態で魚を集めなければなりません。イギリスの「THE DEEP」という水族館が深海生物の展示を試みましたが、継続的に生物が供給できず、メイン展示にはできませんでした。私が今も崇拝するアメリカの「モントレー水族館」は深海生物展を開催し素晴らしいものでしたが、
それでも常設展示というわけには、なかなかいきません。

――石垣さんは、海の手配師としても、さまざまな魚を取り扱っています。やはり、深海の生物は値段も高いのでしょうか?

石垣 かかった費用と獲ってからの生存率によりますが、メンダコで数千円。1~2m程度のタカアシガニなら数万円です。

_MG_8059.jpgメンダコ

 表紙にもなっているダイオウゾクムシは、最近、「1500日絶食している」とネットを中心に話題になった生物ですが、テレビ番組の企画用で150万円の予算をいただきました。でもメキシコ湾で船をチャーターしたり、冷凍機を設置したりしたら、600万円も経費がかかってしまったんです。

――まさにギャンブルの世界ですね。

石垣 結果的に15個体を、1体30万円で各地の水族館に販売することができたので、経費分だけは賄えました。深海生物はリスクが高すぎるので、ほかの業者は手を出さないんです。うちでも深海生物は、大赤字部門なので、商売として考えたら本当は手を出すべきじゃないんです。

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