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ラジオ批評「逆にラジオ」第27回

辛口2トップの知性と感性が絡み合う、禁じられた遊び『井筒とマツコ 禁断のラジオ』

izutsumatsuko.jpg文化放送『井筒とマツコ 禁断のラジオ』

しゃべりと笑いと音楽があふれる“少数派”メディアの魅力を再発掘! ラジオ好きライターが贈る、必聴ラジオコラム。

 「禁断」という言葉には、間違いなく人を惹きつける魔力がある。何かを禁ずるのは、それによって人間がコントロール不能な状態に陥ってしまうからであり、逆にいえばそこには人知を越えた根源的な力があることを意味する。『井筒とマツコ 禁断のラジオ』(文化放送 毎週金曜深夜2:30~3:00)は、映画監督の井筒和幸とマツコ・デラックスの辛口2トップが敵陣自陣関係なくゴールを決めまくる、まさしくその名の通り禁断のラジオである。

 番組は進行役の文化放送アナウンサー寺島尚正と、ツッコミ役で映画パーソナリティのコトブキツカサを含めた4名で進められるが、そもそも守備役を2枚置いたこの4人編成という大所帯のフォーメーションが、2トップがいかにアウト・オブ・コントロールであるかを逆説的に物語っている。さらに、それだけではやはり禁句の発動を止め切れぬため、最終的な防御策として「危険な発言部分にかぶせて『オクラホマミキサー』を流し続ける」という特例措置がとられており、時には延々と同曲が掛かり続けることもあって、ラジオをつけるタイミングによっては異様に牧歌的な音楽番組だと思うかもしれない(直後には間違いなくその夢から叩き起こされるが)。

 2枚看板を置いた番組の場合、やはり気になるのはそれぞれの魅力が並び立つのか否かという問題だが、この番組においては井筒の放つ強力な言葉が主導権を握る場面が多く、マツコはそこに反応する形でコンビネーションを形成している。毒舌同士という意味ではテレビで有吉と組んでいる時のマツコを連想するし、年輩者相手という意味では池上彰との組み合わせが思い起こされるが、ここでのマツコはそのどちらとも違う感触で、両者以上に井筒とのシンクロ率の高さを感じることが多い。特にエロスに関して手加減のない表現を好む井筒の言語感覚が、マツコの中にある女の部分を思いがけず引き出しているようなところもあって、反対にどんな言葉(たとえば「自衛隊」)からもエロスを連想できるマツコの想像力に、井筒が感心する場面も少なくない。

 トークの内容は政治から井筒とコトブキの主戦場である映画、そしてドのつく下ネタに至るまで森羅万象にわたるが、それらが分け隔てなく、理屈と感情を総動員して同じまな板の上でシームレスに語られるのがこの番組の特徴である。真面目な戦争の話と下世話な下ネタの果てに共通の「死」を見だし、徹底的に考え抜いた上で感情を爆発させる。何が上で何が下というのではなく、あらゆる物事を並列に扱うことで見えてくる真実がある。エロ雑誌の付録の使用済みパンティを全員で嗅いでみるという謎の時間帯の直後に、内閣の話をするなんていうカオティックな展開もあった。ちなみに井筒は、かつてはみんな嗅いでいたし自分も嗅いだことがあると告白したのち、しかし雑誌の付録としてつけることには異議を唱え、「もっと牧歌的なノリで嗅げよ。オーガニックに」と憤慨してみせた。付録という、その取ってつけたような形式が「詩的じゃない」とのことだが、この怒るポイントの意外性と、わかるようでわからない、でもやっぱりちょっとわかるというギリギリのラインを突いてくるこの厳密な表現力は、目の前の対象がどんな題材であれ、やはり知性というべきだろう。

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