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被害額は東京オリンピックの予算並み! 無法地帯「FC2動画」壊滅に向けて立ち上がったAVメーカーの熱意

 インターネット上にはびこるコンテンツの著作権侵害に関する裁判は数多く行われているが、その中でも、この裁判の注目度は高い。そもそも、アメリカにあるFC2に対して日本国内での提訴を実現させたのは、昨年、改正民事訴訟法が施行されたことが要因の一つである。これは、海外法人が日本向けに事業展開をしている場合などの裁判管轄について明文化されことにある。

 本件について報道された10月20日のNHKニュースにおいては、今後に大きな影響を与える裁判という弁護士コメントの紹介もあった。この裁判の結果いかんで、インターネット上の違法にアップロードされたコンテンツへの対策が大きく前進する可能性もあるのだ。

 しかし、初めてのケースゆえに、今後の争点やスケジュールはどうなっていくのか? 原告側弁護士の畑中鐡丸法律事務所に聞いた。

「争点としては、まず裁判の管轄です。すなわち、本件について、サーバーが所在するアメリカを中心に見て、アメリカの問題とするのか、もしくは、視聴者の多数が存在する日本を中心に見て日本の問題とするのか。そのいずれによってかで、管轄が日本にあるかどうかが問題となります。これを乗り越えたとしても、各ユーザーの不法行為を『FC2自身の行為』とみなすことができるのか、ユーザーの行為によってFC2のサイトは賑わっており、アフィリエイト等を介してFC2が儲けているということから、FC2自身が著作権侵害の主体とみることができるかどうか、が問題となります。訴訟開始直後であり、どのような進行になるのかは不明ですが、新規な論点をはらんでおり、重大な訴訟と思われますので、慎重に進められることかと存じます」

 どうも、無法地帯を壊滅させるためには、なかなか困難がある様子だ。

 しかし、アダルトビデオメーカーが立ち上がったことをきっかけに、今後は一般メーカーも含めFC2に対して、被害に遭っている著作権者が次々と訴訟を起こすこともありえるだろう。FC2ではアダルトだけでなく非18禁の動画投稿サイトも運営しているのだが、こちらには日本のメーカーが制作したアニメが、無数に違法アップロードされているからだ。そうした被害を受けている企業のひとつ「ソニー・ミュージックエンタテインメント」に話を聞いたところ「違法アップロードされた動画が多数存在していることは把握しており、定期的に監視および削除要請を行っています」という。しかし、それがもはやイタチごっこに過ぎなくなっているのが現実だ。

 コンテンツを制作し、流通させる人々へのリスペクトもなく、違法行為によって収益を得る企業の存在は許されない。本サイトでは、引き続きこの問題を追っていく予定だ。膨大な情報が流通するネットという文化がもたらした海賊版の蔓延、ゾーニングの不徹底といった問題に対して、この裁判が何らかの一石を投じる事を願ってやまない……。

 なおFC2側に取材を申し込んだところ「取材にはお応えすることはできかねます。全ての主張は、法廷で明らかにさせていただきます」との回答があった。
(取材・文=昼間たかし)

最終更新:2014/03/03 15:36
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