深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.258
SMマニアとSF愛好家との深くて親密なる関係性、壇蜜主演の特撮コメディ『地球防衛未亡人』
2014/02/06 21:00
#映画 #パンドラ映画館 #壇蜜
SMの女王からSF界のニューヒロインへ華麗なる転身を遂げた壇蜜。地球の命運は地球防衛軍のエースパイロット・ダン隊員に託された。
知性と痴性はよく似ている。まるで双子のようにそっくりだ。進学祝いに辞書を買い与えられた中学生は、接吻、手淫、淫売、肉欲といった熟語を夢中になって調べ始める。痴性を磨くことで知性がぐんぐん高まっていく。そんな知性と痴性との狭間にポンッと花開いた名花が今をときめく壇蜜である。壇蜜主演最新作『地球防衛未亡人』は知性と痴性が、狂気と狂喜が、SMとSFがせめぎあう快感ファンタジーワールドとなっている。
『私の奴隷になりなさい』(12)『甘い鞭』(13)とSM映画に主演することで現代のセクシーアイコンとなった壇蜜をSF映画のヒロインに起用したのは河崎実監督。筒井康隆原作『日本以外全部沈没』(06)やベネチア映画祭に公式出品された『ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発』(08)など特撮パロディを撮り続けているバカ映画界の巨匠だ。河崎監督の商業デビュー作『地球防衛少女イコちゃん』(87)はロリ系美少女とSF要素を融合させたもので、萌えカルチャーの先駆的作品として知られる。カリスマフードル・可愛手翔を主演にした学園コメディ『飛び出せ!全裸学園』(95)は記録的セールスとなり、そのオープンマインドな発想はSODの全裸シリーズへと受け継がれた。AKB48人気に便乗したガールズムービー『地球防衛ガールズP9』(11)は“ギミック映画の帝王”ウィリアム・キャッスルへのオマージュ作だった。その時代を象徴するアイドルを起用して、おかしな世界を作り上げ、壊してみせるのが河崎監督の流儀である。そして現代は熟女の時代。河崎ワールドに壇蜜が大人の女の色香を注入している。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
1:20更新
イチオシ記事
Netflixが『地面師たち』の大根仁監督を「独占契約」、日テレ元Pが語る民放ドラマの展望とネトフリの巧妙な“戦略”