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週刊!タレント解体新書 第5回

ヒロミから読み解く「ブレーク=破壊」的バラエティ論 ここ最近の出演番組を徹底検証!

hiromi0703.jpgビィーカンパニーによる公式プロフィール

 ほぼ10年間芸能活動を休養していたタレントが、これほどあっという間にど真ん中に返り咲くから、テレビというメディアは面白い。まるでオセロの白い盤面をたった一手で真っ黒に塗りつぶすように、ヒロミは今、テレビを自らの色に染めつつある。これほどまでに見事なブレーク劇が過去に果たしてあっただろうか? 10年間のブランクがまるでウソか夢であったかのように、ヒロミはまさしく現在進行形で、ブレークという名の革命を起こしている。

 それではなぜ、ヒロミはこれほどまでのブレークを果たしているのか? あるいはなぜ、ブレークするのはヒロミでなくてはならなかったのか? それが最も顕著に表れたのが、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)(6月17日放送)への出演だった。この日の企画は「密室検証!もしもこんな2人を飲ませたら?」。ヒロミはロンドンブーツ1号2号・田村淳とサシ飲みを交わし、過去の自身の見え方と、ならびに現代のバラエティの状況を的確に批評する。

 「正しくしなくちゃいけない時代」とヒロミが評するバラエティの現状。それに対して不満をこぼすように、淳はヒロミに向かって「テレビ壊してくれねぇかな」とつぶやく。これはおそらく淳ならずとも同世代やその下のタレントにも、あるいはまたテレビ制作者にも共通する本音でもあるだろう。バラエティの本質とは破壊である。予定調和や常識を徹底的に破壊するのが、バラエティの醍醐味だといえる。少なくとも淳たちに近い世代はそのようなバラエティに憧れてこの世界に入ってきているわけで、その破壊者としての象徴の一人がヒロミであることは間違いない。

 ヒロミがバラエティの中心で活躍していた10年前と比べて、今のテレビがどうこうと言うつもりはない。それを口にしてしまうことは、すなわちバラエティの敗北を認めることになるだろう。だがある種のバラエティ制作者には、先人に対する敬意があり、現状に対する意地がある。それは過去への郷愁ではなく、未来への決意だ。だからこそヒロミという破壊者としての象徴が要求され、そして結果としてヒロミはブレークする。

 「ブレーク」とは、すなわち「破壊」である。ヒロミがブレークするという現状はそのまま、バラエティはもっと破壊を目指すことができるはずだという、バラエティ制作者たちの決意表明だと言えるだろう。それは決して偶然やただのタイミングではなく、時代の要請であり、つまりは必然なのだ。

 このように必然としてブレークを果たすヒロミは、破壊者として、異端者として、ヒロミしかできないやり方で華麗にバラエティをかき回している。『内村とザワつく夜』(TBS系)(6月24日放送)では内村光良と25年ぶりの共演を果たすことで、歴史という壁を破壊し、明日への期待を視聴者に抱かせる。『人志松本のすべらない話 10周年スペシャル』(6月28日放送)にプレイヤーとして出演した際は「俺はハズしたらまた休むから!」と言い放ち、番組から求められる役割そのものを破壊しにかかる。

 そしてこれは明らかに、まだ序章に過ぎない。休養していた10年間で出来上がったテレビのルール、現在のバラエティのお約束、それらすべてのコードをヒロミは破壊するのではないか。そう思わせてくれるには充分なほど、ヒロミの肩は仕上がっている。

 前述した『ロンドンハーツ』で淳から「テレビ壊してくれねぇかな」と言われた、まさにその番組の中で、ひな壇に座ったヒロミは言う。「俺(『ロンハー』に)出たくねえ!」と。下の世代である芸人たちがチームプレイで笑いを取りに行く姿を見ながら「本当に申し訳ないんだけど、全然やり方わかんねえ」と口にするその姿は、確かに破壊者としてのそれであった。

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