日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 妖怪ウォッチ、海外進出の勝算は

『妖怪ウォッチ』は第2の『ポケモン』になれるのか――海外展開成功のカギは「ジバニャン」の扱い方!?

──「おこ武者」とかも難しそうですね。直訳するなら「angry goblin」とかでしょうか。

マット 日本の「鬼」という概念も難しいんです。デーモンだと悪霊だし、ゴブリンだと単に悪い精霊になってしまいます。でも日本の鬼はいろんな役割があって、人間がコントロールできない現象、自然の象徴なんです。どんなに技術があっても、人間が大津波や台風、大地震などに対抗するには限界があるじゃないですか。そういう危機をキャラクター化してしまえるのが、日本文化のチャーミングで魅力的なところだと思います。日本は昔からアニミズム、多神教の文化だから、あらゆる物に神様が宿るというアイデアがありました。だから、日本ではいろいろと擬人化したキャラクターが作られやすいように思います。

──そう考えると、自然に生息している生物──モンスターを捕獲していくという『ポケモン』と、日常の現象をキャラクター化した妖怪と友達になっていくという『妖怪ウォッチ』は、似て非なる作品だとよく分かります。

マット 『ポケモン』は、どちらかというとSFに近いように思います。細かい技術については語られないのですが、モンスターボールという不思議なアイテムを投げつけたらポケモンをゲットできる、という理屈はまさにSF的発想です。

 ただ両者に共通している点があるとするなら、『ポケモン』も『妖怪ウォッチ』も、そのルーツは百科事典文化ではないかということです。日本では江戸時代に『和漢三才図会』という日本や中国などの文物を集めた百科事典が作られていますし、鳥山石燕の『画図百鬼夜行』はそのパロディでした。その頃から日本では百科事典がはやっていましたし、おそらく日本人は物や情報をコレクトすること自体が好きな国民性を持っているとも思います。『ポケモン』や『妖怪ウォッチ』は、モンスターや妖怪を捕まえるというゲーム的な要素ももちろんあるんですけど、集めることで百科事典を作っていくという過程はすごく日本的だと思います。

──ちなみにアルトさんは、ジバニャンをどう訳されますか?

マット う~~~~ん(笑)。 たぶん「ジバニャン」という名前は、そのままじゃないかな。でも、ジバニャンって地縛霊+猫又でしょ? 日本では猫に対して、何かに変化したり、いたずらをする「化け猫」というイメージがありますが、アメリカの猫は化けるというより「魔女の使い魔」のようなイメージが強いですから、アメリカ人はジバニャンのことを、ただのかわいい猫のマスコットとして受け取るかもしれない。お化けであることをしっかり説明しないと、子どもたちは理解できないかもしれないですね。そこがうまく説明できないと、『ポケモン』の二番煎じのような見られ方をするかもしれません。

──その「妖怪」としての設定をきちんとアピールできるかどうかが、『妖怪ウォッチ』海外展開の成否を分けるといったところですね。

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