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なぜカニエ・ウェストは人種差別的な小説に惹かれた? 現代アメリカ文学が描く“時代”を気鋭研究者が徹底分析!

文=飯田一史(いいだ・いちし)

写真:Ron Sachs/Consolidated News Pictures/Getty Images

 アメリカのポップ・カルチャー(音楽、ドラマ、映画等々)の情報は日本でも大量に流通して論評されている一方で、「2010年代以降の現代アメリカ文学を代表する作家・作品は?」と訊かれて、どれだけの人が具体例を挙げられるだろうか。

 あるいは、「どんな作品を書いていると思う?」と問われれば、「#MeTooやBLM(Black Lives Matter)、移民のこととか書いてるんでしょ?」と答えるかもしれない――。

 8人のアメリカ文学研究者によるウェブ連載をもとに書籍化された『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』(書肆侃侃房)。そこから見えてくるのは、行儀のいい「多様性重視」「反トランプ」では片付けられない作家・作品のありようだ。

 未邦訳のアーシュラ・K・ル=グウィン 『ゲド戦記』シリーズ最新作から、チャック・パラニューク『ファイト・クラブ2』、一世を風靡した『レス・ザン・ゼロ』『アメリカン・サイコ』のブレット・イーストン・エリスの新作、グラフィック・ノベル(マンガ)やゲーム『デトロイト』、ドラマ『13の理由』、アニメ『サウスパーク』なども扱いながら、“アメリカ文学”が今、何を描いているのか迫っている。そんな本の著者のひとりである青木耕平氏に訊いた。

青木耕平、加藤有佳織、佐々木楓、里内克巳、日野原慶、藤井光、矢倉喬士、吉田恭子著『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』(書肆侃侃房)

 

多様性は企業の金儲けにすぎない

――この本では、白人至上主義者やミソジニストに持ち上げられている――が、実はそれは誤解である――作家のブレット・イーストン・エリスなどを引きながら、「今言われている『多様性』は大企業やマジョリティに資するものになっていないか?」と問い、それに陥らないスタイルや思考を模索していくところが印象的です。「トランプに親和的な何かか、Netflixのドラマにあふれているような多様性か、その2択しかないの?」とモヤモヤしている人は少なくないと思いますが、そこに突っ込んでいくのが刺激的でした。

青木 ラッパーのカニエ・ウェストが2013年にアルバム『Yeezus』を出したときに、エリスの『アメリカン・サイコ』(1991年作、2000年映画化)をパロディにしていたんですね。ちょうどそのとき僕は『アメリカン・サイコ』についての論文を書いていましたが、この作品の一般的な評価は「フェミニズム嫌いの白人男性が書いた人種差別的な小説」でしたから、カニエが好意的に取り上げたことに驚いた。そして、エリスが始めたポッドキャストの第1回目のゲストがカニエだった。2013年当時、カニエはアメリカ音楽シーンにおけるお金の問題に苛立っていた。「ビリオンダラーの黒人が何人いるか知っているか?」と。

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