日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 妖怪ウォッチ、海外進出の勝算は

『妖怪ウォッチ』は第2の『ポケモン』になれるのか――海外展開成功のカギは「ジバニャン」の扱い方!?

matalt.jpg来日12年目になるマット・アルト氏。アメリカの特許庁に勤務した後、日本の特撮やロボットアニメ好きが高じて、漫画・アニメ・ゲームのローカライゼーションを手がける株式会社アルトジャパンを設立。最近では、電子版『ドラえもん』の翻訳を手がける。

──現状、海外において妖怪は、「ポケモン」とは違う受け止められ方をしていますか?

マット 違いますね。ポケモンは生物、もしくはUMAのような存在です。対して、妖怪は生き物ではなく、一番近いのはイギリスとかアイスランドにいる妖精などかもしれません。海外では、大自然に魂が宿っているというコンセプト自体はそんなに珍しいものではありません。ただ妖怪が特殊なのは、そのバラエティと多彩なパーソナリティです。だから、妖怪は現代のキャラクター文化のご先祖様、ルーツであると強く思っています。

──昨年、レベルファイブの日野社長は、『妖怪ウォッチ』の世界展開を発表しました。すでにアメリカなどでは『ポケモン』が大成功を収めていますが、『妖怪ウォッチ』にもチャンスがあると思いますか?

マット あると思います。『妖怪ウォッチ』は『ポケモン』と同じように、萌え系とかニッチ系ではなく、そこまで性的な要素もなく、家族で楽しむことができるタイトルなので、その点では問題はないと思います。ただ、ローカライズという点においてハードルが高いと個人的には思っています。

──具体的にはどういうことでしょうか?

マット 伝統的にアメリカではやった日本のアニメやゲームは、舞台が日本に設定されていないものが多いんです。例えば『マッハGoGoGo』は世界中で自動車レースをする話だし、ロボットものの『マジンガーZ』は、日本が舞台になっていますが、ロボットに乗るという点がウケた。その精神は『パシフィック・リム』にも受け継がれています。『宇宙戦艦ヤマト』も、宇宙で旅をする話ですからね。そういう無国籍な感覚がヒットしたんです。

 反対に、日常系アニメは非常に訳しにくいです。例えば『クレヨンしんちゃん』。「こたつ」「だんご」「お茶」など、基本から説明しないといけない日本文化がたくさん出てくるんですが、そういう設定を解説するようにはお話が作られてないんです。日本人を楽しませるために作られた作品なので、日本人が知っているものが当然のように出てくるわけです。『妖怪ウォッチ』も妖怪が出てくるファンタジー作品ですが、問題は舞台が日本の日常に設定されているということです。

──なるほど。確かに『ポケモン』は、舞台を日本には設定していないですね。

マット そうなんです。ほかにも『NARUTO』も架空の、外国人の心にあるような日本の風景を舞台にしています。『NARUTO』は、いわば『ハリー・ポッター』のような作品だと思います。『ハリー・ポッター』は秘密のホームから列車に乗ると魔法の学校に行ける。『NARUTO』も同じように、隠れ里の場所さえわかれば忍者の学校に行けるかもしれない。この設定だと、日本を知らなくても、世界中のどんな子どもでも楽しめると思います。

 もう一つ、『妖怪ウォッチ』は妖怪の名前にダジャレを使っているパターンが多いです。例えばお母さんがいきなり怒りだす、というエピソードで出てきた「すねスネーク」。コンセプトとしては問題ないのですが、これを訳しても「なぜスネークなのか」という説明が必要になる。

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