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『にっぽんフクシマ原発劇場』発売記念インタビュー

人のにおいが消えた集落、荒廃したDASH村、にぎわう歓楽街……写真家が語る、百人百様「福島」の風景

L1025552dash.jpg誰もいなくなった「DASH村」(本書より)

 震災直後、あちらこちらで盛んに叫ばれた「あの日を忘れない」といったスローガン。だが、いつしかめったに聞くことがなくなり、2015年現在、もはや“震災をテーマにした本は売れない”という現実は、出版界では常識となっている。震災に対する人々の興味は遠のき、事態は風化の一途をたどりつつある……。

 そんな中、4月に『にっぽんフクシマ原発劇場』(現代書館)を刊行したのが、写真家の八木澤高明氏。彼は、震災直後から福島県双葉郡浪江町津島という小さな集落に足しげく通い、村を襲った現実にレンズを向けてきた。オールモノクロ、フォト・ルポルタージュという形式でまとめられた本書だが、いったい、彼が写し撮った現実とはどのようなものだったのだろうか? そして、そこから見えてきた原発事故被害の「本質」とは――。

――震災から4年以上の月日を経て、なぜこのタイミングで本書を発表しようと思ったんですか?

八木澤 2011年4月から、浪江町津島という地域に入り、継続的にそこの住民たちと付き合っていく中で、写真を撮影してきました。写真家として、これらの記録を眠らせておくわけにはいかず、震災が風化している状況に対して一石を投じるというわけではありませんが、この現実を伝えていきたいという気持ちがあったんです。

――「震災が風化している」というのは、東京で生活していると特に強く感じます。

八木澤 報道でも取り上げられることが少なくなっていますね。被災地以外に住む人は「もういいよ」と食傷気味になっている感も否めない。また、取り上げられたとしても、震災の悲惨さばかりに目が向けられています。今回の震災には、もっといろいろな側面があるということを伝えたかったんです。

――「いろいろな側面」として、酪農家の置かれた現状や、復興景気に沸くいわきの歓楽街など、さまざまな福島の風景が描写されています。

八木澤 同じ「福島」といっても多面的であり、ひとつの視点で収めることはできません。原発事故によって避難した人々の中にも「故郷に帰りたい」という人もいれば、「(賠償金によって)毎日パチンコができるし、車も買えるから、このままでいい」という人もいる。人によって、置かれた状況によって、考え方はそれぞれなんです。


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