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週刊!タレント解体新書 第31回

ムロツヨシという「余計なこと」をする男 日本テレビ『しゃべくり007』(8月10日放送)を徹底検証!

 その点でいっても、ムロツヨシの余計なことをするという行動は、実は本人のこれまでの歴史に裏打ちされている。洋泉社MOOKの『21世紀深夜ドラマ読本』というムック本での、ムロツヨシへのインタビューを読めばそれがわかる。『勇者ヨシヒコ』シリーズの福田雄一との出会いについて、ムロツヨシはこう語っている。

<――福田さんに出会う前は、ほかの監督たちから、ときには「普通にやってくれ」と怒られたと聞いたことがあります。

ムロ 「ちゃんとやって」とも言われました。アレッ? ちゃんとやって? 「ちゃんとやる=コレ」なんだけどなぁって。「余計なことすんな」って言われたときもありますね>

 そういった過去もあった。だが、ムロツヨシはそこで自分を変えることはなかった。嫌われたり、煙たがられたりしても、普通にやるよりはやりたいことをやって何かを思われたほうがいい、と考えてそのままのムロツヨシを通したのだった。そして現場にも恵まれ、共演者や、視聴者が、徐々に「アリかな」と気付くようになる。

<ムロ そしたら、これまでいろんな現場でウザがられていたのが、今度は一気に「ムロさん、なにかやってくれるんですよね?」って感じになってきて。好きなようにやらせてもらえる環境と経験はとても大きかったですね>

 つまりムロツヨシは、余計なことをし続けることで、「余計なことをするムロツヨシ」という商売道具を手に入れたのだ。そこには意志と、歴史がある。その都度都度で学んだ知恵もある。だからムロツヨシがする余計なことは、共感と笑いを呼ぶ。一朝一夕ででっち上げた、薄っぺらい技術ではなく、むしろそれはムロツヨシの芸であるといってもいい。

 ムロツヨシは仕事がない時期に、さまざまな飲み会に顔を出し「ムロツヨシです。使ってください!」とお願いするというのを日課にしていたそうだ。だがおそらく、もうその必要はないだろう。2015年、明らかに、ムロツヨシの時代が訪れつつある。

【検証結果】
『しゃべくり007』において、ムロツヨシは自身のことを「マイナスからのゼロ」という言葉で表現した。最初にマイナスの印象を与えておいて、それをゼロに持って行くのだと。それは結果としてゼロではないかと突っ込まれるが、マイナスからゼロまで持って行った勢いがあるから、そのゼロはただのゼロではなく上に向かうゼロだ。この発想というか哲学は、どんな仕事においても役立つ考え方だといえないだろうか。最初にマイナスを与えるという一見余計なことは、振り返れば、決して余計なことなどではないのだった。ムロツヨシ、やはりただ者ではない。
(文=相沢直)

●あいざわ・すなお
1980年生まれ。構成作家、ライター。活動歴は構成作家として『テレバイダー』(TOKYO MX)、『モンキーパーマ』(tvkほか)、「水道橋博士のメルマ旬報『みっつ数えろ』連載」など。プロデューサーとして『ホワイトボードTV』『バカリズム THE MOVIE』(TOKYO MX)など。
Twitterアカウントは @aizawaaa

最終更新:2015/08/13 21:00
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