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アスリート列伝 第20回

32年の現役生活に幕を下ろした“球界のレジェンド”山本昌を支えた2人の男

「勝利至上主義」を徹底した落合は、若手であろうがベテランであろうが、徹底的に実力主義で選手を起用した。落合が中日の監督に就任した04年当時、山本昌の年齢は38歳。普通のチームならば、若手選手に出場機会を奪われてもおかしくない年齢だが、落合は彼の実力を信頼し、ローテーションの一角として起用し続ける。そして、13年にGMに就任した落合は、48歳の山本に対してこう言った。

「マサ、50歳までやってみたらどうだ。誰もやったことがないんだから、挑戦してみろ!」

 相次ぐ故障に見舞われながらも、その言葉に奮起させられた彼は現役を続行。14年には1勝をもぎ取り、プロ野球最年長登板記録を更新した。そして、15年10月7日、50歳2カ月の山本は、対広島戦に先発し、打者ひとりに対してスクリューボールを投げて、セカンドゴロに打ち取った。長い長いプロ野球人生の終わりだった。

 50歳になっても、山本は「自分がプロ野球選手に向いているのか、いまだにはっきりした答えは出ない」と語る。しかし、そんな彼には唯一にして絶対の才能があった。

「ひとつだけ誰にも負けない点がある。それは“しつこさ”だ。自分のできることをコツコツとやり続ける。しつこく、しつこくやり続けて、僕はこの世界を生き抜いてきた。才能やセンスに溢れ、光り輝く人生は素晴らしい。プロ野球の世界には、そういうスター選手が数多くいる。でも、僕にはできなかった。ただ、才能やセンスがなくても、時間さえかければ、鈍く光る生き方はできるのだ」(『山本昌という生き方』)

 32年という長い時間をかけて、自分を磨いていった山本昌。その光は、どんなスター選手にも生み出せない特別な輝きとして、日本球界に記録された。

最終更新:2015/11/27 21:00
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