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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.376

叶わなかった未来と愛すべき日常生活との交差点。 阪本順治監督×藤山直美の奇妙なコメディ『団地』

danchi01藤山直美の映画主演は実録犯罪もの『顔』以来となる16年ぶり。岸部一徳と息の合った熟年夫婦を演じている。

『ドラえもん』やSF映画を観て、子どもの頃は21世紀になれば月や火星に自由に行けるようになっているんだろう、科学が進歩して日常生活の煩わしさから解放されるようになるんだろうなとバラ色の未来社会を夢想していた。でも、実際に大人になってみると、子どもの頃に思い描いていた未来像とずいぶん違うことに愕然とする。その一方、高度経済成長期にはモダンなライフスタイルとして憧れの存在だった集合住宅(団地)は、時代の流れと共に色褪せたものへと変わっていった。叶わなかった未来と経年劣化が目立つようになったかつての憧れがクロスする、奇妙な感覚のコメディ映画。それが阪本順治監督の新作『団地』だ。

 本作の主人公であるヒナ子(藤山直美)と清治(岸部一徳)の夫婦は、以前は漢方薬局を営んでいた。でも、半年前にお店を畳み、郊外の団地へと引っ越してきた。団地全体から昭和な雰囲気が漂い、子どもがいないヒナ子たち夫婦が慎ましく暮らすには手頃な物件だった。落ち着いたシニアライフを送ろうとしていたヒナ子たちだったが、毎日いろんな人たちが訪ねてくる。自治会長の正三(石橋蓮司)はお調子者だが、その妻・君子(大楠道代)は夫が浮気していると愚痴をこぼしに来る。久々に現われ、「五分刈りです」とおかしな挨拶をする真城(斎藤工)は漢方薬局の常連客だった。健康そうな見た目とは裏腹に虚弱体質らしく、今も夫婦が作る漢方薬を欲しがっている。ヒナ子は清治のための食事の準備に加え、スーパーマーケットでパートタイマーとして働き、なんだかんだと忙しい。

 ヒナ子たち夫婦が団地に引っ越してきたのには、理由があった。夫婦にはひとり息子がいたが、事故であっさり亡くなってしまった。お店に来るお客たちに気を遣われるのも辛く、きっぱり仕事は辞めてしまった。人生をリセットするつもりでの引っ越しだった。かつての憧れの空間だった団地でのセカンドライフのスタート。清治は君子から次期自治会長に推され、団地ライフの向上を目指して立候補するも、まさかの落選。「意外と人望なかったのね」と君子はつれない。ヒナ子は勤務先のスーパーマーケットで顔なじみのお客ひとり一人に声を掛けていると、年下の主任から「どんくさい」とどやしつけられる。熟年夫婦のセカンドライフもなかなか難しい。


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