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野球賭博、覚せい剤、女性問題……腐敗止まらぬ、巨人軍の「闇」

 クライマックスシリーズでDeNAに敗れ、今シーズンを終えた読売ジャイアンツ。2016年は球団にとって、球場外でも苦しい1年となった。

 2月には、OBの清原和博氏が覚せい剤取締法違反で逮捕され、3月には、昨年膿を出し切ったはずの野球賭博問題で高木京介投手が謝罪し、契約解除。さらに、昨年野球賭博で解雇された笠原将生元投手、松本竜也元投手は練習中も「声出し」(試合前の円陣で声出しをした選手は、チームが試合に勝った場合にはほかの選手たちから祝儀として現金を受け取り、負けた場合には逆に全員に現金を支払うというもの)と呼ばれる賭けに興じる選手たちの姿を証言。その結果、桃井恒和球団会長、白石興二郎オーナー、そして、「ナベツネ」こと渡邉恒雄最高顧問の引責辞任が発表された。

「週刊文春」(文藝春秋)記者・西崎伸彦氏は『巨人軍「闇」の深層』(文春新書)において、それらの問題を巨人軍が抱える構造的な問題と看破している。「紳士」たるはずの巨人選手に、いったい何が起こっているのだろうか? 

 一連の野球賭博事件は、15年9月30日、読売ジャイアンツ球場に、野球賭博常習者で大学院生の松永成夫がやってきたことに端を発する。彼は、福田聡志元投手に貸した195万円の返済を求めて乗り込んできたのだった。その後、芋づる式に笠原、松本らの関与が発覚し、球界を揺るがす大事件へと発展する。

 3選手の解雇が決定し、事態は沈静化の兆しを見せたものの、16年2月、笠原の告白から再び事件は動きだす。文春の取材に応じた笠原が、野球賭博に至った経緯をつぶさに語ると、この記事に触発された松本は、選手寮内で恒常的に行われていた賭けトランプや賭けマージャンなどの実態を告白し、練習中にエラーした選手に対する賭けの実態を証言する。さらに、文春の綿密な取材によって浮かび上がってきたのが、高木の名前だった。文春側が巨人軍に対し、正式な質問状として高木の野球賭博への関与を確認すると、回答期限の翌日、巨人軍は緊急記者会見を行った……。

 なぜ巨人軍では、このような犯罪行為が横行しているのだろうか? 筆者は、過去の事件を検証しながらその原因を探る。

 かつて西崎がスクープし、世間の注目を集めた、原辰徳監督の恐喝事件。過去の女性問題で恐喝を受け、1億円もの大金を暴力団員に支払っていた経緯を報じたものだった。しかし、実は記事になる前、この動きをかぎつけた巨人軍側は、新聞広告や電車中吊りなどの、すべての文春の広告から原監督に関する記事を塗り潰すなどして削除するよう求める仮処分申立を東京地裁に起こすなど、躍起になって文春側に対して圧力をかけてきた。彼らは、原監督は脅迫の被害に遭っただけであり、恐喝の相手が反社会的勢力に所属する人間だという認識はなかったと言い逃れをしている。

「プロ野球の憲法」と呼ばれる野球協約には、「暴力団、あるいは暴力団と関係が認められる団体の構成員又は関係者、その他の反社会的勢力と交際し、又は行動を共にし、これらの者との間で、金品の授受、饗応、その他いっさいの利益を収受又は供与し、要求はまた申込み、約束すること」に対して、1年間もしくは無期の失格処分を規定している。加害者側が「反社会的勢力」であると認められれば、シーズン途中での原監督の退任も避けられなかったのだ。また、警察側も巨人軍に対して、加害者は「反社会的勢力」ではないと説明。実は、原監督は09年、暴力団排除をうたう警視庁のポスターに起用されており、反社会的勢力との交際が発覚すれば、警察としてもメンツが丸つぶれとなってしまう。余談だが、覚せい剤取締法で捕まった清原氏も西武時代に「覚せい剤うたずにホームラン打とう」というポスターに起用されている……。結局、原監督はお咎めなしのまま、続投した。

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