日刊サイゾー トップ > その他  > 「メルカリ」のゲームアカウント売買に違法性は…?

フリマアプリ「メルカリ」のゲームアカウント売買容認に違法性はあるのか? 弁護士に聞いてみた!

 それにもかかわらず、アプリ上でゲームアカウントやデータが多数取引させている現状に、一部のユーザーからは不信の声が続出。Twitter上では違反者を指摘する声も多数寄せられているが、メルカリ側は「権利者が禁じているもの、個人情報の記載されたもの等については引き続き出品を禁している」「権利者よりご連絡をいただいた際には内容を確認のうえ、然るべき対応を行っている」と回答。ユーザーの声も虚しく、現在もゲームのアカウントなどが多数出品されている状況だ。

 いくらアプリユーザーから要望があるからとはいえ、運営元が禁止しているにも関わらず、ゲームデータの売買を容認することに違法性はないのだろうか。弁護士法人 ALG&Associatesパートナー弁護士の山岸純氏に聞いたところ、次のように解説してくれた。

「レベルを高くしたり、アイテム等をたくさん持っているキャラクターを育てるためには、ゲーム内で課金するなど各ゲームの運営元に対し、相当のお金を支払うことになります。ゲーム内でレア・アイテムを取得するには、ゲーム内で課金するなどして、各ゲームの運営元に対し、お金を支払うわけです。

 本来であれば、ユーザーはこれらの運営元に対しお金を払い、レベルアップしたりレア・アイテムを取得するわけですが、もし、これらがゲーム外で取引されるならば、本来、運営元に入るべきお金が入らないという結果を招くことになります。

 したがって、この点が『アイテム購入などの課金によって利益を生む』という運営元のビジネスモデルを妨害することになるわけですから、業務妨害罪(刑法233条)が成立する可能性が生じます(3年以下の懲役か50万円以下の罰金)。

 ところで、メルカリ側は、『権利者よりご連絡をいただいた際には内容を確認のうえ、然るべき対応を行っている』とのことですが、上記のとおり、“被害者(権利者)”はあくまで運営元となるので、権利者から被害の申し出があった場合に対応する、という態度はいわば正しいことになります。

 なお、“アプリ上での売買を容認すること”ことをもって、幇助(他人の犯罪を助けること)の責任を問うのは難しいでしょう」

 こういったリアルマネートレードは、業務妨害罪にあたる場合もあるが、「メルカリ」の運営方針については責任は問われないとのこと。運営元からの申告がない限り、メルカリがゲームデータの出品を取り締まることはなさそうだ。なお、メルカリ側は違反商品の出品について、「対応に時間をいただいているが、確認した不適切な商品やいただいた通報はひとつひとつ事務局で確認している」という。出品を取り下げるには、しばらく時間がかかりそうだ。

 今回は「メルカリ」を例に挙げたが、こういったマネートレードは、他のフリマサービスやオークションサービスでも見受けられる。法的には問題がなくても、今後さまざまなトラブルを招きかねないだろう。ユーザーのためにも、今一度、運営方針や利用規約の見直しを検討してもらいたいものだが……。

(協力=山岸純/ALG&Associates弁護士)

最終更新:2016/10/28 07:15
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