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『逃げ恥』幻の主演候補・KAT-TUN中丸雄一のちょうどよい「使い勝手感」と、漂う「不安感」

『逃げ恥』幻の主演候補・KAT-TUN中丸雄一のちょうどよい「使い勝手感」と、漂う「不安感」の画像1ジャニーズを代表する器用貧乏さん

どうしてあのタレントは人気なのか? なぜ、あんなにテレビに出ているのか? その理由を、業界目線でズバッと斬る「ズバッと芸能人」。

 現在放送中の人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)で主演・新垣結衣の相手役を務めるのは、俳優で歌手の星野源。35年間彼女ナシで、恋愛経験ゼロのサラリーマン・津崎平匡(つざき・ひらまさ)を好演している。

 だがもう1人、ドラマの原作者で漫画家の海野つなみさんから主演候補に挙げられていたタレントがいたことをご存じだろうか? それが、アイドルグループKAT-TUNのメンバー、中丸雄一(33)である。
 
 海野さんは今から1年ほど前、読者の間ではドラマ化するなら誰が津崎役にふさわしいかと盛り上がっていたといい、その中に、星野、中丸、長谷川博己、及川光博、高橋一生といった名前が挙がっていることをドラマのプロデューサーに伝えたという。もちろん、海野さんは読者の要望を伝えただけで、それ以上の意思はない。また、その「伝言」に、どこまで効力があったかわからない。ただ事実、その中に名前のあった星野が選ばれている。

 だが、『逃げ恥』に出演しなくても、中丸のブレークに関しては機が熟している。

 毎週日曜朝の情報番組『シューイチ』(日本テレビ系)には2011年の放送開始時より出演し、すっかりおなじみだが、ほかにも最近では『解決!ナイナイアンサー』(同)、『池上彰のニュースそうだったのか!!』『Qさま!!』(テレビ朝日系)、『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』『プレバト!!』(TBS系)などで頻繁に見かけるようになっているのだ。

 彼が各番組からオファーされる理由は、どこにあるのだろう? 

 それはまず、大前提として「身軽さ」にある。現在KAT-TUNは、今年5月から無期限活動停止中。グループとしての露出が続いているのであれば、そこから1人だけ気軽に番組へ呼ぼうとはなりづらいが、それも今のところ、幸か不幸かクリアされている。

 もちろん、本人としては常にKAT-TUNの看板を背負って活動しているのであろうが、作り手側としてはなるべく、グループのしがらみにとらわれずにキャスティングしたいのだ。

 声のかけやすさは、彼の「たたずまい」にもあるだろう。KAT-TUNメンバーである亀梨和也(30)、上田竜也(33)、さらには嵐・松本潤(33)、関ジャニ∞・錦戸亮(32)、滝沢秀明(34)といったほかの同世代のジャニーズと比べても、中丸は「薄口」で、貫禄はそれほどない。だが、それがかえって、安心して出演依頼ができるイメージを作り上げている。

 さらに彼の持ち味は「フットワークの良さ」「使い勝手の良さ」「真面目さ」だ。これは、毎週彼が『シューイチ』で担当しているレギュラーコーナー「まじっすか」でも、幅広く知られている。

 このコーナーは、話題のスポットや噂の人物に中丸が直撃取材するというものだが、司会の中山秀征から毎週、生放送後のスタジオに居残りさせられ、取材するネタを言い渡される。もちろん、その際、中丸に拒否権はない。否応なしに、ロケへと向かわされる。この「使いっ走り」感がよいのである。

 また中丸は、このコーナーの中で「芸能界一のパティシエを目指す」という不定期企画に挑んでいる。だがある回で、有名パティシエのアドバイスに従ってスイーツを作ったら、意外とすんなり完成してしまったことがあった。しかし、スタッフの狙いは悪戦苦闘する彼の姿。そんなとき中丸は場を察し、「台本通りにいってないですよね」と、制作サイドの思惑まで気にしているのだ。
 
 あるとき、怪獣をモチーフにしたユニークなメニューを提供しているカフェを訪れた中丸。店前に置いてある怪獣の着ぐるみを着られるサービスがあるというので、彼も試着。そのまま商店街を練り歩いたのだが、ロケはあいにく平日の午前中。喜びそうな子どもの姿もいない。と、なぜか猛ダッシュする中丸! なんでも「撮れ高」を心配したのだという。

 このように「今、何が求められるのか」を考える謙虚な姿勢は、視聴者同様、テレビマンからも好感を持たれている。しかも彼は昔から、超ビビリとしても知られている。『モニタリング』には、もってこいの逸材である。

 そんな親しみやすい一面がある一方、「高学歴」であることも、作り手がそそられるポイントだ。彼の最終学歴は早稲田大学。卒業論文では「黒人音楽のグローカリゼーション」という難しい考察に挑み、最高評価の「A+」を獲得したという。そんな知性派な一面が、池上彰のニュースショーやクイズ番組などから声がかかる理由にもなっている。

 さて、以前出演した『ナイナイアンサー』で中丸は、「30代のジャニーズが多い。いろいろなところにチャレンジしていかないと、生き残れない」と、不安を打ち明けた。

 そう、彼には常に、そこはかとない、将来への不安がつきまとっている。そもそもKAT-TUNの充電期間は1~2年とされているが、先のことまではわからない。不安があるから、制作サイドの思惑を気にすれば、撮れ高も心配する。特に宣伝案件もないにもかかわらず、芸人などに交じってクイズにも挑戦する。そうした不安を原動力に変えて、中丸号は今日も、芸能界の大海原を、飄々と進んでいくのである。
(文=都築雄一郎)

最終更新:2017/06/13 13:54
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