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「禁じ手」か「新境地」か……いきなりフォーマット放棄でミステリー化した『IQ246』はどうなる!?

 土門が、由里に完全にアリバイのある20時まで生きていたことが明らかになったのです。土門は20時に部下に電話し、自分が殺される様子を実況中継していたのでした。

 というわけで、「天空の密室殺人」が完成しました。『IQ246』で初めて、視聴者に犯人が伝えられないまま沙羅駆の謎解きパートに入ることになります。

 視聴者として、これを展開のバリエーションと取るか、ドラマのフォーマット破りと取るか、『IQ246』は新境地を切り拓いたのか、あるいは禁じ手に落ちたのか、悩ましいところですが、せっかくだから楽しみたいので「新しい展開きた!」「どうなる!?」と心を奮い立たせることにします。

 すると、後出しの情報がジャンジャン出てきます。

 土門の致命傷は、一度目は浅く、二度目は深く押し込むように、同じところを“二度刺し”されていたものでした。さらに土門は脳腫瘍で、余命半年ほどでした。そして土門と由里は愛人関係ではなく医者と患者であり、さらに実の父娘でした。土門は由里の母親を冷遇し、出世のために理事長の娘と結婚。由里のことも認知していなかったそうです。

 由里はそんな父を憎んでいました。母の死に際に「せめてお見舞いに」と土門を訪ねた由里ですが、もみあいになって土門に突き飛ばされ、左手の人差し指を負傷していました。土門は責任を持って治療をしていましたが、外科的な処置をすべて施しても後遺症で指は動かなくなっていました。

 土門のマンションの暗証番号「90211691」は、逆にすると「19611209」で、これは由里の母親の誕生日だそうです。

 で、娘に刺された土門は、いったん息を吹き返したものの(「M」の計画は、また失敗してる)救急車を呼ばずに部下に電話して声を聞かせながら、背中に刺さったままのナイフに体重をかけて自殺をしていたのでした。娘を殺人犯にしたくないという親心だそうです。

 さて、ここまで後出しにされるなら、そりゃ読めるわけないですよ。3話目まではサスペンス劇だった『IQ246』が、4話目でミステリー劇になりました。そうならそうと先に伝えてくれれば、もうちょっと気持ちよく楽しめたかもしれないんですが、サスペンスだと思って見ている側からすれば、まるで「視聴者に謎を読ませない」ことだけを目的として作られたようなお話に見えちゃいます。これが、けっこう不快でした。父娘の愛憎劇そのものは見応えのある雰囲気だっただけに、肩透かしを食らって、振り返ったら肩パンされたような、そんな気分です。

 次回から、どうするんでしょう。4話目でフォーマットにブレが生じたことが、なんとか、どうにか、良い方向に転がることを祈りたいです。沙羅駆、執事・賢正(ディーン・フジオカ)、刑事・奏子(土屋太鳳)、観察医・森本(中谷美紀)のキャラクターはいい感じで落ち着いてきたので、できれば楽しく見たいのです。お願いしますよ、TBSさん!
(文=どらまっ子AKIちゃん)

最終更新:2016/11/16 18:59
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